43.至福 その6
まるで身体が目当てで慎也と付き合っているみたいで不謹慎だとリコは思った。
それを考えれば、一樹とのデートの方が、よほど純粋で、リコの理想のお付き合いに近い気がする。
だとすれば、一体自分は慎也の何が良いんだろう?
強がってるくせに時々みせる弱さ、クールそうなのに、ポロッとみせる笑顔と照れ屋なところ……。
羅列してみると、思い出しただけでリコはドキドキしてしまう。
後は、やはり男らしい優しさも兼ね備えているところだろうか……。
本当に、自分でも呆れるくらいに慎也のことが好きなんだと認めざるを得ないリコだった。
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お昼は店舗内のファミレスで食事にした。
「また激辛メニュー狙うの?」
というリコに、
「激辛は飽きた」
などと、慎也はうそぶいた。
なんとなく強がる慎也が可笑しくて、リコはクスっと笑った。
リコはパスタ系を頼んだが、慎也はステーキと何故かイチゴパフェ。
リコはまた吹き出してしまった。
「何だよ?」可笑しそうなリコに、慎也はムッとしてみせた。
「やっぱり、び…慎也のそういうところってあたし大好き」
満面の笑みにやられたのは、慎也の方だった。
買い物とは言っても、バイクではそれほど沢山は持ち帰れないため、ショッピングバッグ一つか二つが限界である。
まだもう少し二人で居たい。
そう思っていたリコに慎也が言った。
「こないだのバラ園の方へ行ってみたいんだけど」
二人が来たのはバラ園のそばにある、小さな教会だった。
平日は観光客向けに開放しているようだ。
リコは礼拝堂入り口にある教会のパンフレットが目に入った。
毎週日曜日の礼拝の他に、結婚式なども希望すれば出来るらしい…。
結婚……――。
まだ付き合い始めたばかりなのに、結婚なんてという思いのリコだった。
こじんまりしているが、清楚な雰囲気の中に落ち着ける礼拝堂の空間。
平日の教会にはリコ達二人以外誰もいなかった。
「キレイで可愛いところだね」
「うん…」
慎也は、リコの背中から反対側の腕に、腕を回した。
その感触にリコはキュンとしてしまう。
「こんなトコで結婚式なんて出来たらいいなあって…」
そう言ったのは、慎也だった。
リコは驚いて、慎也の顔を見つめた。
礼拝堂を眺める慎也は照れくさそうにしながら、真面目な顔をしていた。
「誰と?」
リコは、わざとからかって聞いた。
「そりゃもちろん、リコに決まってんじゃん」
あまりにあっさりストレートな答えに、リコは戸惑った。
「まだ付き合い始めたばっかじゃない」
リコはやや呆れて言った。
こんなに早く結婚のことを口にされるなんて、思っても見なかった。
「結婚したら、結構大変だって友達も言ってたよ。私は、まだしばらくこのままがいいなあ」
慎也の肩にもたれかかりながらリコは言った。
慎也はそんなリコに、少し淋しそうな微笑みを浮かべた。




