3.出会い その2
数日後、勤務を定時で終えたリコとハナは、約束のお店へ向かった。
そこは会社のあるオフィス街から程近いところにある高級イタリアンレストランだった。
今どきの上がらないお給料のリコたちにとっては、普通ならとても気軽に入れるお店ではない。
内装や装飾、客層のレベルにひたすらため息である。
「い、いくらくらいするのかな?」
「コースでざっと2〜3万ってとこじゃない?」
「えー!?」
リコは一気に不安が込み上げてきた。
「どうしよう、今月お給料日までまだ間があるのに…」
「いらっしゃいませ。ご予約ですか?」
二人に店員が声をかけて来た。
「あ、えーと、名前は、何だっけ?」
二人がしどろモドロしていると、
「中村さんに本城さんですか?」
振り返って見ると、若いが身なりの整った男性が立っていた。
「なんとなく雰囲気でそうかなと思って。」
ハナとリコは少し恥ずかしそうにうつむいた。
二人の男性は席までエスコートをしてくれて、ようやく食事が運ばれて来た。
「スミマセン」
「気にしなくていいよ。むしろそれが普通なんだから」
男性の一人が人懐っこい顔で言った。
「そうそう、ご挨拶が遅れたね」
そういって男性は名刺を差し出した。
名刺には企業名と、「沢田一樹」という名前。肩書きには「代表取締役」となっていた。
社長というのはどうやら本当だったらしい。
リコはもらった名刺を前に堅くなった。
ハナは既にもう一人の連れの男性と盛り上がっていた。
リコの目の前は社長の彼のみ。
「そんなに堅くならないで。こう見えても、多分君と同い年なんじゃないかな?」
「えぇ!?」リコは更に驚いた。
同い年なのに、方や取り柄もないOL、方や社長…。
世界があまりに違い過ぎた。
「あの、良いんですか?」「何が?」
「その、こんな私なんかと合コンって…」
沢田は吹き出してクスクス笑った。
「君って面白いこと言うね」
「え?」
リコは顔が恥ずかしさで真っ赤になった。
「そうだよな、ホントは僕らみたいな年齢では君の方が普通かもしれない…」
沢田は少し遠い目をした。
「だから、ふと最近寂しくなるのかな…」
微笑みつつも、沢田はどこか寂しそうな表情をした。
「沢田さん…」
沢田の思わぬ寂しげな表情に、リコは一瞬ドキッとなった。
数日後、勤務を定時で終えたリコとハナは、約束のお店へ向かった。
そこは会社のあるオフィス街から程近いところにある高級イタリアンレストランだった。
今どきの上がらないお給料のリコたちにとっては、普通ならとても気軽に入れるお店ではない。
内装や装飾、客層のレベルにひたすらため息である。
「い、いくらくらいするのかな?」
「コースでざっと2〜3万ってとこじゃない?」
「えー!?」
リコは一気に不安が込み上げてきた。
「どうしよう、今月お給料日までまだ間があるのに…」
「いらっしゃいませ。ご予約ですか?」
二人に店員が声をかけて来た。
「あ、えーと、名前は、何だっけ?」
二人がしどろモドロしていると、
「中村さんに本城さんですか?」
振り返って見ると、若いが身なりの整った男性が立っていた。
「なんとなく雰囲気でそうかなと思って。」
ハナとリコは少し恥ずかしそうにうつむいた。
二人の男性は席までエスコートをしてくれて、ようやく食事が運ばれて来た。
「スミマセン」
「気にしなくていいよ。むしろそれが普通なんだから」
男性の一人が人懐っこい顔で言った。
「そうそう、ご挨拶が遅れたね」
そういって男性は名刺を差し出した。
名刺には企業名と、「沢田一樹」という名前。肩書きには「代表取締役」となっていた。
社長というのはどうやら本当だったらしい。
リコはもらった名刺を前に堅くなった。
ハナは既にもう一人の連れの男性と盛り上がっていた。
リコの目の前は社長の彼のみ。
「そんなに堅くならないで。こう見えても、多分君と同い年なんじゃないかな?」
「えぇ!?」リコは更に驚いた。
同い年なのに、方や取り柄もないOL、方や社長…。
世界があまりに違い過ぎた。
「あの、良いんですか?」「何が?」
「その、こんな私なんかと合コンって…」
沢田は吹き出してクスクス笑った。
「君って面白いこと言うね」
「え?」
リコは顔が恥ずかしさで真っ赤になった。
「そうだよな、ホントは僕らみたいな年齢では君の方が普通かもしれない…」
沢田は少し遠い目をした。
「だから、ふと最近寂しくなるのかな…」
微笑みつつも、沢田はどこか寂しそうな表情をした。
「沢田さん…」
沢田の思わぬ寂しげな表情に、リコは一瞬ドキッとなった。