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RISKY―傷だらけの十字架―  作者: 桜井敦子
27/110

26.謀略 その3

慎也の勤めるバイク屋。


平日の午前中は客も少なめでのんびりしている。



「あ〜退屈ー。シン、今度の休み久しぶりにどっかツーリングでも行かねえ?」

店の奥の応接室で漫画雑誌を読みながら、近藤は慎也に行った。



「そう言えば最近俺もツーリング行ってねえな」

慎也はのんびりしている近藤とは違い、展示バイクの汚れのチェックや入れ替えなど、忙しく働いている。


近藤は何か面白いものはないかと、応接のテーブルにある雑誌をいろいろパラパラめくっている。




その中で、一冊の週刊誌の記事に近藤の目が止まった。


『関東興和会の弱体化と生き残りの策略』


近藤の脳裏に仙崎のことが頭をよぎった。




「興和会、かなり神奈川県警に目を付けられているみたいだな」

近藤のセリフを慎也は無言で聞いていた。




「仙崎とは関わるなよ、シン」

「分かってるよ」

店の奥からの近藤の声に、慎也は仕事をしながら答えた。


「尾藤ちゃん、オモテに来客」

店長に言われて、慎也は「はい」と返事をして外に出た。




待っていた客に慎也は不快な表情になり、はあっとため息をついた。




二人連れの片方は、トップだけを僅かに残して剃り上げた頭、耳には多数のピアスと鼻と口の下にもしている。

大きめの派手なデザインのTシャツとハーフパンツの袖や裾からはタトゥーがのぞいている。


もう一人はど金髪の髪を逆立て、明細柄のパーカーにネックレス、カーゴのハーフ丈という格好である。



「慎也先輩、お久しぶりっす」

二人は慎也に向かってそう言った。




「あんまこっちには来るなって言ってんじゃねえか」慎也は二人を店の裏側の第二駐車場へ追いやった。



「族抜けて何年経ってんだよ?オマエらここに来て、余計なことすんなよ」

慎也は不快な顔を崩さず、後輩たちにクギをさした。



「分かってるっすよ。けど今日はどうしても慎也先輩に相談したいことがあって」

「相談?」

不快にしていた慎也の表情が変わった。


「オレら、今仙崎先輩に追われてるんす…」

金髪の方が言った。


こんなところにまで仙崎の手が伸びていたのかと慎也は思った。




「オレ、ユウジと二人で脱法ドラッグの仲介をやってたんすよ」

「族出てからヤクザにはなりたくなかったんで、二人でハーブ売ってたんすよ」

暴力団に入って上納金を納めることを嫌う、現在の若い不良たちは、半グレとして活動をすることが増えている。


このユウジたちも、いわゆる半グレで、裏取引や違法取引を、暴力団の援助や仲介なしに行っていた。



「オレたち、こう言っちゃなんですけど、結構儲かっていたんすよ」

「そこで、仙崎たちに目を付けられたってワケか?言っとくけど、俺は半グレとま関わり持ちたくねえからな」慎也が面倒臭そうに言った。




「オレら、こんなんやめてカタギになろうって決めたんす」

慎也は少し驚いて、二人に視線を向けた。



「仙崎先輩にも言ったんすけど、『だったら入手ルートよこせ』って言われて」「…」



「オレら言ってもダメだと思ったんで、慎也先輩なら横つながりで話聞くんじゃないかと思って」

「頼れるのは慎也先輩しかいないんすよ」


慎也は後輩にこう言われると弱かった。



「あんま期待すんな」

そう後輩に言ってその場から立ち去った。

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