25.謀略 その2
関東興和会の主だる収益源は、何と言ってもゼネコン尾藤建設からの多額の配当金である。
興和会が設立した別名義の会社の所有としているため、興和会に足がつくことは無いからである。
仮に内部告発を受けても、表向きは無関係を装っているため、今のところ無事でいるのである。
ITに詳しい若い元族の後輩どもは、最近は上下体質の厳しい組に入りたがらず、半グレ集団となっている。
旧体質の上層部はITには精通しておらず、ITに強い世代の半グレたちは、愛想つかしていた。
旧体質の暴力団にあって、仙崎はいわゆるインテリヤクザと呼ばれる部類に入り頭も切れることから今や上層部には貴重な存在となっていた。
仙崎はIT音痴の上層部に手を焼きながらも、組の体制を立て直そうとしていた。
「そう言えば、最近半グレどもは、慎也のところに出入りしているって話らしいな」
グラデーションのサングラスに金の極太ネックレスをした、いかにもその筋の仲間の一人が仙崎に言った。
「そうらしいな」
仙崎はディスプレイを見つめながら、答えた。
「ケッ、俺はアイツが族のころから気に入らなかったぜ。いつもすかした面しやがって!」
仲間の一人が木刀で机を叩きながら、吐き捨てるように吠えた。
「だから、アイツを俺は吸収したいワケさ」
仙崎がつぶやいた。
「尾藤なんか吸収してどうしようってんだ?アイツはケンカが強いばっかじゃねえかよ?」
不機嫌そうに、仲間の一人が答えた。
「慎也を取り込めば、この辺の半グレの大半は吸収出来る。だからヤツを逃すワケにいかねえんだ」
「なるほどな」
「だが、アイツを取り込みたい理由はそれだけじゃない」
「え?」
仙崎の言葉に、仲間は耳を疑った。
仙崎は口の端を歪ませ、不気味に微笑んだ。




