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17.悪夢 その5
父親から性的虐待を受けて以来、慎也の人生は一変してしまった。
あの日以来、父親はまた家に帰らない日々が続いた。
慎也が学校から帰ると家には誰も居らず、部屋は暗かった。
慎也はしばらくは毎晩のように、夜一人で泣いた。
やがて、その涙も枯れはて、彼の心には虚無感だけが残った。
そして、次第に中学のワル仲間とつるむようになり、高校に入ると更にエスカレートして行った。
父親は、慎也の名義で作った銀行口座に、小遣いとして毎月30万振り込みをしていた。
高校生になった慎也は、それで中型二輪をとり、CB400のバイクを転がすようになった。
建設資材置き場の放火をしたり、単管を持って資材を破壊したりして、憂さ晴らしをするようになって行った。
もちろん、警察車両を傷つけたり、警察官を殴ったりなどもした。
当然そのような事をすれば、警察にも捕まった。
高校の時の逮捕歴は実に十数回に上った。
酒とタバコを覚え、夜中までワル友達と遊びほうけた。
だが、慎也はその事を当時は全く悪いとは思っていなかった。
慎也は一刻も早く父親との悪夢を忘れたかったのである。




