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RISKY―傷だらけの十字架―  作者: 桜井敦子
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15.悪夢 その3

父親の顔を見るなり、慎也の顔から血の気が引いていった。




「お前の居場所が分からなくなって、ずいぶん探した」

「…」

慎也は固い表情のまま、黙っていた。




「こんな小さなバイク屋で仕事してるのか」

父親は駐車場の向こう側の店舗を見つめて呟いた。




「何の用だ…」

慎也は父親を睨み付けて尋ねた。




「私も長年、この仕事を一人でこなして来た。だが、私もそろそろ第一線を引いた方が良い歳になった」

「…」




慎也は父親と視線を合わそうとはしなかった。




「それに、お前ももう、25だ。私の跡取りとして、そろそろうちで実績を積み始めてもいい頃だろう…」

「ヤクザに汚れた会社でか?」




慎也の冷たい問いかけに、父親は続けた。

「建設不況と言われる今の時代に、生き残りがかかっている。お前にはまだその厳しさが分からないだけだ。慎也、私はお前にこの会社を残してやりたいのだ。」




「それで、アンタはお袋と俺と妹をないがしろにしたんだろ?」

「慎也」

「仕事を理由にろくに家に帰らねえで…だから、お袋は妹を連れて出て行った…!だけど、お袋との離婚届けでは、勝手にアンタが俺の親権者になった!」

「慎也、私にはお前がどうしても…」

「俺はアンタを一生許さねえ!」

慎也は吐き捨てるように言った。




店の入り口で仕事をしていたリコは、慎也が戻って来たのに気が付いた。




「シン…」

慎也はリコに気が付いたが、そのまま何も言わずに行ってしまった。




リコも慎也の顔色が悪いのに気が付き、それ以上は声をかけられなかった。




(何か、あったのかな…)




************


「お疲れ様ー」

今日も遅くまで続いた仕事が、どうにか終わった。




だが、いつも閉店間際までいる慎也の姿がなかった。



「あれ?シンちゃんは?」リコはそばにいた近藤に尋ねた。



「ああ、何かシンの奴、具合悪いって夕方頃帰ったよ」




「何かあったのかな?」

「さあな…」

二人は心配そうに店の中にあるCB1300SFのポスターを眺めた。



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