108.永遠 その1
―結婚式当日―
リコは純白のウェディングドレスに身を包み、美しい花嫁姿となっていた。
「わぁー、リコーめっちゃきれいー!」
「いいなあ、慎也さんとリコって美男美女カップルだよねえ」
はしゃぐ友人達とは対照的に、リコの表情は物憂げにふけっていた。
「慎也・・・本当に戻って来るのかな・・・?」
その言葉に一同は黙り込んでしまった。
――どうにか式予定日に慎也の退院が間に合い、嬉しい筈であった。
だが慎也は、退院当日突然一人で姿を消してしまったのである。
「患者さま帰られてしまったんですよ。わたし達は止めたんですけど」
リコは残された荷物だけを引き取り、病院を後にした。
それから式までの二日間、慎也からは何の連絡もなかった。
まだ身体だって万全ではないはずなのに。
今どこでどうしているのか。
まさか、また仙崎達と会っているのでは。
良からぬ想像がリコの頭をよぎった。
その時不意にリコの携帯が鳴った。
発信者は、慎也だった。
「どこにいるの!?」
リコは開口一番、慎也にたずねた。
「突然居なくなってゴメン。」
「今どこに・・・」
「わりい、それは今言えないんだ。でも式までにはちゃんと戻るから」
「慎也・・・」
「ホント、ゴメン。でも、マジ心配しないで。ヤバイこととか何にもしてねえから」
電話から聞こえて来る慎也の声は優しく、穏やかだった。
「リコのことは変わらず好きだから」
やや照れながらも、慎也ははっきりと告げてくれた。
「分かった。じゃあ、式までには必ず帰って来て」
慎也を信用しようとリコは心に決めた。




