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第八話 あぁー・・・典型的っていうか

更新が遅くなりました。

いよいよ出ます。

「じゃあ、達者でな!」


「あぁ、父さん達も体に気をつけて」


突然だが出発だ。

先日、メリルとのゴタゴタもなんだかうまくいったり、村はずれの賊を倒したりなんだりした日から5日。

いよいよ村を出て王都へ向かう日となっていた。


「ちゃんとご飯食べるのよ?それからえぇと・・・っ」


「母さん落ち着いてって!また帰ってくるからさ」


なんだか感慨深い。俺・・・僕を心配する人なんていなかった。あったのは蔑みと哀れみと。

そして恨みのこもった視線だったのに。今、『俺』はこんなにも暖かく見送られている。


「ユーリーっ!準備は良いーっ?」


そして、俺を好いてくれる人がいる。


「あぁ、行くか!」


マリアさんとの別れをすまして来たのであろうメリルに言葉を返す。

そして振り返り、


「・・・父さん、母さん」


「あぁ」


「なぁに?」


「お世話に、なりました・・・っ」


勢い良く頭を下げる。今思えば俺はあまり可愛げのある子供じゃなかったと思う。こんな俺を育ててくれた事、そして愛してくれた事に感謝の気持ちが溢れてきた。


「・・・あぁ、行ってこい!」


「えぇ・・・いってらっしゃい!」


ここから、また始まるんだ。

この世界での冒険が、この世界での、人生が。


「・・・はい、行ってきます!」


俺はもう振り返らない。次に我が家と対面するのはここに帰ってきた時だ。




__________

「はぁっはっ!、くぅっ!?」


なんという事でしょう。

私、シルヴィア・メイ・ローラントは焦っていました。


「へっ・・・貴族の嬢ちゃんにしては粘るなッ!?」


「くくっ、いつまで保つかねぇ!?」


私は馬車で家への帰路を急いでおりました。今日は母の聖誕祭、娘である私が出ないのでは示しがつきません。


「くっ・・・私は貴方達などには屈しませんッ!」


「ははっ、聞いたかよぉ、『ワタクシ』だってよぉ!」


(人数は・・・12人、さすがに一人では厳しいですね・・・)


護衛である兵士は、不意打ちによって既にやられてしまいました。

共にいたメイドは捕らえられてしまっています。


(どうしたものでしょうか・・・)




__________

「ねぇ、王都は案外近いんだし、少し寄り道でもしてかない?」


村を出てから3時間、王都まではあと4時間ほどでついてしまう。

ユーリもメリルも肉体強化、体力補強の魔法を使っているので、常人の数倍の速度で旅路を進んでいた。


「あぁー・・・でもなぁ、ギルドで討伐の依頼でも受ければいくらでも来る機会があるだろう?向こうに今日中に着いたとしても、入学日まで5日しかないんだぞ?」


はっきり言えばユーリだけなら転移魔法でさっさと行ってしまうのだが、まだメリルにはユーリが転移魔法を使えることは教えていない。転移魔法を使えると言うのはかなり高等な魔術師でなければいけない。いざと言う時でなければ使いたくなかった。


「えー・・・いいじゃない」


「だけどなぁ」




『・・・っ!・・・ぉいっ!!』




「・・・?」


なんとなく声が聞こえた気がする、戦闘中の様な。


「・・・おい、メリル」


「えぇ、聞こえたわ」


何も言わずに2人、走り出す。




『・・・やめなさいっ!』『へっ!いい加減にあきらめなっ!』




近づくと声が鮮明になってきた。

そこにいたのは綺麗な金髪の女の子と、汚らしい盗賊に、捕らえられた(?)メイドさん。


「メリル、俺がやる、さがってて」


「え、ちょ、ユーリ?」


言ったが早い、俺は真っ直ぐ駆け出した。まだ向こうは誰一人俺に気づいていない。

女の子の構えた剣が弾き飛ばされ、詠唱も間に合わない彼女にすべはない。


「いやっ、いやぁああああっ」


「くくっ、さぁ、残念だったなお嬢ちゃ」


盗賊の言葉は途中で遮られた、胴体と首が離れてしゃべる奴がいるわけがない。


(いたら見てみたいもんだけどね・・・)


「・・・な、なんだてめぇはっ!」


状況(仲間の体と首がバイバイしたこと)に気づき、声を荒げる盗賊共。

だが俺は完全に無視し、女の子に話しかける。

まじまじと見て気がついたが、かなりの美少女だった。


「ねぇ、大丈夫?」


透き通るような碧眼、柔らかそうな毛先のカールした金髪。

身につけている物は派手ではないものの、かなりの高級品なのがうかがえる。


「・・・え?・・・あの、あなたは?」


「それはあとで、大丈夫?大丈夫っぽいね。んじゃ待ってて」


早めに捲し立てたのは、盗賊が剣を構えたから。


「さぁて、覚悟はいいかなお前ら」


最近も、具体的に言えば5日ほど前にも同じ様なセリフを吐いた気がする。

そして、またしても阿鼻叫喚が広がるんだろうと呆然と思った。



____________

「ねぇ、大丈夫?」


急に声をかけられて、シルヴィアが硬くつむっていた目を開くと、目の前に綺麗な男の人がいた。

男性とか青年と言うよりも、まだ少年と呼んだ方が正しい気がするが、女性のように華奢な彼に救われたのだと理解するのに数秒を要した。


「・・・え?・・・あの、あなたは?」


(すごい、綺麗・・・)


質問をしながらも、シルヴィアは彼に見とれていた。


「それはあとで、大丈夫?大丈夫っぽいね。んじゃ待ってて」


そう言って彼は私に背を向け、先ほどとは打って変わって獰猛そうな笑みを浮かべると


「さぁて、覚悟はいいかなお前ら」


そう言って、盗賊達をなぎ倒して行った。



__________

「・・・ふぃー。終わったかな?」


とりあえず盗賊を殲滅すると、メイドさんの手と目を封じていた縄をほどく。


「う、うぅ・・・。ありがとうございます」


「いや、大丈夫でしたか?」


そう言って顔を近づけると顔を赤くしぼーっとしたあとに


「・・・はっ、し、シルヴィア様は!?」


と叫んで周りを見渡し、先ほどの女の子を見つけると一目散に駆け寄って行った。


「シルヴィア様、お怪我は!?」


「・・・えぇ、大丈夫です」


どうやら平気なようだ。それでもって女の子はシルヴィアと言うらしい。


「ユーリー?もういいのー?」


「ん、あぁメリル。終わったよ」


「そう、んじゃ行きましょ」


「あぁ」

盗賊の装備品は回収したのでもう用はない。

ならば王都を目指すまで、と先を急ごうとすると。


「あ、あの!」


「ん?なんです?」


さっきの女の子とメイドさんが話しかけてきた。


「どうも、ありがとうございました」


「あぁ、べつに気にしなくていいです」


(つかメリル、なんでお前が答えてるんだ?)


だが女の子は真っ直ぐ俺を見て


「いえ、本当に助かりました」


と言った。メリルがすごい形相で女の子を睨んでいるがおかまいなしに女の子は『お願い』をしてきた。


「あの、もし王都へ行くのなら、護衛をお願いしたいのです。ダメでしょうか?」


「護衛・・・ですか?」


「えぇ、きちんとお礼もしたいのです。・・・ダメ、ですか?」

一つ言いたい、


(上目遣いは、ずるいだろう?)


「いいですよ」


俺がOKを出すのにタイムラグはなかった。

新ヒロイン、シルヴィアさんです。

まぁお察しの方もいらっしゃると思いますが、彼女は・・・

次回のネタバレは控えます。

感想、アドバイス、誤字脱字の指摘など、お待ちしてます。

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