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第五話 気がついたら告白してた。

前回、いろいろとぶちまけてくれちゃったメリルさん。

今回はメリルサイドでお送りします。

メリル・レアドールは走っていた。疾走とはまさに今の彼女の事だろう。


「なんなのよっ!全くいつもいつもアイツはっ」


絶え間なく口から漏れる文句の数々、それは、肩の辺りで切りそろえられた赤毛に、パッチリとしたエメラルドの瞳。

走っているせいか、それとも怒りによる物なのか、上気した頬。そんな彼女を構成する「可愛らしい」だとか「守って上げたくなる」だとか言う雰囲気を全く持って台無しにしていた。


「はぁ、はぁ、はぁー・・・」


怒りが収まってきたのだろうか、いや、家に着いたため足を止めた。

呼吸を落ち着けてから扉を開く。

ギギィィと木造の扉が軋んで不快な音を発する。そんな些細な事でさえ、今の彼女にとってはイライラの種だった。


「あら、おかえり。早かったわね?」


「・・・ただいま」


家に居た母マリアに迎えられたがふてぶてしい態度をとった。基本真面目な性格なので、後で自己嫌悪に陥るのは目に見えているのに、ユーリに対するもどかしさからそんな事まで頭が回らない。


「・・・晩ご飯、いらない」


バタンッ!!と自分の部屋のドアを閉める。


「あ、ちょっと、メリル?」


そんな娘の態度に何があったのかは一目瞭然。きっとまたユーリ君にやきもきしてイライラしているんだろう。そんな事を思いながら娘にたいして何かすべきかと考えるが、きっと今は何を言ってもダメだろうとやめておく。


「ご飯、用意しといてあげますかね・・・」


これでも14年、あと少しで15年もメリルの母をしているのだ。夕飯時になったら気まずげに部屋を出てくるに違いない。

そう思って、少し微笑んでから家事をするのだった。


==========

「・・・はぁー」


だらしなくベットへ傾れかかり、ため息を吐く。


(どうしていっつもこうなんだろう・・・。怒鳴るみたいに叫んで、走り去って・・・ん?)


違和感に首を傾げる。あのとき、私はなんといっていただろうか。



『離れたくないからに決まってんでしょうがっ!馬鹿なの!?頭はいいけどあなたって馬鹿でしょ!?なんで私があなたに合わせるか?どうして大事な事をあなたと同じと言って決めるか?そんなの好きだから、あなたとッ、ユーリと離れたくないからに決まってるじゃない!それ以外に何があるってのよ!?だって一度離れたらもう逢えない、きっとあなたは世界中を旅して、離れた所に行っちゃうわ!それに学院なんて行ったらどうなると思う?いままで周りに私しか居なかったから自覚してないのかもしれないけどあなたってカッコイイの!しかも強くて頭も良くて、おまけに英雄2人の子供よ!?これでモテないわけないじゃない!!』



余計な所もあるが、重要なのは他にある。


(・・・『好きだから』?『離れたくない』?)


「・・・・・・い、嫌あああああ!?」


(告白じゃない!?もうこれ告白よね!?)


とんでもない事に気がついた。告白だ。アレは間違いなく告白である。子供の頃から密かに憧れていた”ロマンティック”な告白。

もちろんそれは自分からで無くユーリからで、いつも鈍感な彼が自分を抱きしめながら(それも後ろから)『メリル・・・好きだ』なんて、言って欲しかった。


(欲しかったのにぃ!!)


明日からどうやって彼と接せばいいのだろうか。そもそも結局王都へ行くべきか否か。


「行きたい・・・でもなぁ。・・・・・・ユーリはなんて言うのかな?」


こうして彼女の時間は悶々としながら過ぎて行った。



決断の日まで、あと7日間。

今回も短めですね。すいません。

ユーリくん、どうするんですかねぇ。

まぁハーレム形成しちゃうんだから結局くっつ・・・。

次回をお楽しみに。

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