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第三話 やりたいように、やればいい

「ユーリ、そろそろ帰ろう」


「いや、父さん。もう少しやってから帰ろう」


「・・・」


「・・・父さん?」


黙り込んだ父さんを不審に思い、首を傾げると、


「かわいいなぁユーリは!」


そう言って抱きしめてきた。親馬鹿健在である。

10歳になったユーリは父ライルと剣術の稽古を、母シーラと魔法の修行をしていた。

そして今現在12歳と10ヶ月、今日も父との訓練の日で、いつものように特訓をしていた。


「・・・父さん、やろうよ」


「あぁ、すまんすまん」


もう一度構え、親子で向き合う。


「「・・・」」


無言で向かい合い、相手のスキを探る。


「・・・っ」


先に動いたのは俺だった。剣を低く構え、凄まじいスピードで切り掛かる。


「おっと、・・・中々やるじゃない、か!」


それを父さんはギリギリの所で避けると、少し距離をとって体制を立て直す。

そして切り掛かった俺が体制を直す前に距離を詰めてくる、そして切り掛かるが既にそれを読んでいた俺は無詠唱魔法を放つ。


「どわっ」


俺のはなった水の龍は父さんを直撃し、父さんが怯んだスキに首元へ剣を当てる。


「父さん、俺の勝ちだよ」


「ははっ・・・参ったな」


剣を仕舞い、父さんへ手を差し出す。それを掴んだ父さんが立ち上がり、言った。


「11で母さんをお前が負かしたとき、せめてお前が15になるまでは勝ち続けると決めたんだがなぁ」


「その頃には俺に敵なんていないんじゃないかな」


「ははっ、大した自信だな」


「事実だよ。・・・じゃあ帰ろうか」


「そうだな」


そう言って父さんは俺の頭をなでるようにポンと叩いて歩いていった。


==========

家に帰るとすごいごちそうが用意してあった。

なんでも水晶で俺たちの訓練を見てて、父さんを倒した記念に用意してくれたらしい。


「すごいわねぇ、父さんって”聖剣”なんて呼ばれてて、世界一なのよ?」


「でも魔法はからっきしさ」


「なに言ってるのよ、そのためのわたしでしょう?」


「シーラっ!」


「あなた!」


抱きしめあう両親の横で俺は黙々と夕飯を食べていた。


「・・・はぁ。2つの意味でごちそうさま」


そう言って部屋に行こうとすると、


「あぁ、待ちなさい」


急に真面目になった父さんに呼び止められる。隣を見ると母さんも真剣だ。


「なに?」


「お前ももうすぐ13だ。将来について考えなさい」


「・・・将来?」


「あぁ、この村にお前と同年代なのはメリルだけだ。何故かと言うと15になると基本子供は王都へ行くからだ。王都で学園に行くも良し、働くも良し、冒険者として生きるのもありだ。もちろん稀に村に残る者も居る」


「・・・」


「まぁ、15歳まではあと2年もあるわ。よく考えるのよ」


「・・・わかった」


きっと残るのもありなんだろう。だが創造主の意思が気になった。彼女は俺をどうしたいんだろうか。


『君は、どうしたい?』


今でも、耳に残る彼女の言葉。


「ゆっくり、考えろよ」


「あぁ」


俺は一体どうしたいんだろう。


==========

部屋に戻り、ベットへ横になる。


「はぁ、どうしたい、か」


「ふむ、好きなようにしたらいいじゃないか」


「・・・」


「ん?どうした?」


「・・・いや、どうしたじゃなくて」


普通にいた。堂々といた。横に寝っ転がっていた。


「なんで、いるんだ?」


「創造主はどうしたいんだろうと考えていたのは君だろう」


創造主がいた。


「いや、普通に出てこられても困るっつーか」


「くくっ、随分砕けたな。昔は「僕」と言っていて、敬語だった」


「あー、なんだか吹っ切れてね」


「くくっ相変わらず面白いな君は」


相変わらず楽しそうだ。

俺の横に寝転がったままこちらを見つめる創造主。というか・・・


「あのさぁ、目のやり場に困るんだけど」


何故か無駄に露出が多い。キャミソールの下は何も付けていない感じだし、短パンからは長い足が伸びている。

全体的に気怠げな雰囲気が出ており、無駄に色気が漏れている。


「ん、なんだ気になるのか?」


「・・・いや」


「というかもっと言う事があるだろう?」


「そうだった。・・・あんたの思いを聞かせてほしい。なんで俺をここに送った?」


「・・・」


「俺は・・・どうすれば良い?」


「・・・君をここに飛ばしたのは、君が面白かったからだ」


「面白い?」


「あぁ、人間と言うのは、どれだけ自分に非があったとしても、ほかに原因を探してる。だが君は違った、君に非は欠片もなかった、だけど君は自分に非を、原因を探してた」


「・・・だけど俺は、母さんを」


「あれは君の所為じゃない」


「・・・自己犠牲の精神を持った人間なら俺以外にも」


「君が言っているのはボランティアだなんだと言っている人間か?あれは違う、ああいう人間は誰かの優位に立ちたいだけだ」


「・・・」


「私はな、君に幸せになって欲しかったんだ」


「幸せに?」


「あぁ、そのためにはあの世界じゃダメだった。君の部屋にはファンタジーな本が多かったからね、せっかく他の世界に行くのならこういう方が良いだろうと思ったのさ」


「・・・」


「今、君は幸せか?」


幸せ、幸せとは何だろう。今の両親はやさしくて、村の人も好意的。

幼なじみのメリルとの関係も、昔では体験できなかった心地よさで、これは、きっと。


「俺は、幸せだよ」


「・・・それは良かった」


そこで創造主は少しためると、僕の手を引き、不意に顔を近づけた。


「んぅっ・・・!?」


唇に触れる温かく柔らかい感触、目の前至近距離にある創造主の顔。

そのまま数分、いや、それは錯覚で数秒だったのかもしれない。


「・・・どうだ?」


顔が離れ、いつもの不敵な笑みではなく、やさしく微笑みながら創造主は聞いた。


「いや、どうって言われても・・・ん?」


「わかるか?」


体の中の魔力の循環が緩やかになった気がする。思考もスッキリとしていて気持ちがいい、試しに剣を持ち上げてみた。


「・・・軽い、そう言う事か」


「あぁ、理解が早くて助かるよ」


つまりは、創造主の口づけによって俺の魔力やら知能といったスペックがさらに上昇し、その制御能力もあがった。


「さて、今ひとつ問うよ。君は、どうしたい?」


あの時のように創造主は問う。今の俺にはなんの足枷もなくて、やりたい事をやれる。


「俺は、俺のやりたいようにやるさ」


きっと俺は王都に行って、冒険なり恋愛なりなんなり。


「やってやろうじゃないか」

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