第二話 あぁ、これって所謂転生ってやつ?
御崎 遊璃は、目が覚めると御崎 遊離ではなかった。
(・・・なるほどね。そういうことか)
瞳を開けて飛び込んできたのは金髪の美しい女性と栗色の髪をした整った顔立ちの男性。
2人とも日本人ではありえない色の瞳に涙を浮かべ、僕の事を抱きしめる。
「あぁ、目が開いたわ」
「この子は君の生き写しの様だね、シーラ」
「えぇ、でも、瞳はあなたそっくりよ、ライル」
「将来は美人だな」
「あら、男の子ですもの、きっとかっこ良くなるわ」
微笑ましい言い合いをする男女、おそらく夫婦だろう。
彼らの話題となっているであろう赤ん坊は僕だった。
右手を顔の当たりに近づけると視界に入るのは可愛らしいプニプニとした手。
声を出そうとすると聞こえる赤ん坊の喘ぎ声。
「あー」
「「しゃべった!」」
仲良くハモって喜ぶシーラとライル。
(あぁ、これって所謂転生ってやつ?)
人知れず、心の中でため息を吐く遊離だった。
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創造主が言っていた”記憶”。確かにあった。
①ここは魔法と剣に支配される世界。
②僕を哀れに思った創造主が試しに送ってみた。
③父ライルと母シーラはこの世界の”英雄”で、ライルは剣、シーラは魔法で世界を救ったらしい。
④創造主の計らいで、僕は相当な魔力と知能を保持しており、剣ももう少し成長すれば扱う事ができる。
⑤この世界での僕の名はユーリ・レイヤードという。性別男。
と、いうことらしい。
「あー」
「うふっ、かいいわぁ」
「そうだねぇ、君に似ているだけあるよ」
「あら、あなたと同じ瞳の色も素敵よ?」
「ははっ、そう?」
そして、この両親はかなりの親馬鹿でバカップルであることがわかった。
「・・・あーうー」
「うふふふ」
「あははっ」
(・・・はぁ)
自分の考えや気持ちを相手に伝えられないのはもどかしい。
ただ生まれたばかりの僕を壊れ物のように大切に、丁寧に触れる彼らの指先の温かいが心地よかった。
「かわいいなぁもう、さっすが君の子だ!」
「あら、貴方の子でもあるのよ?」
「ああ、喜ばしいよ」
僕の誕生を喜ぶ両親(まだ実感は無いが)を見て、ここでの生活も悪くない、温かいものになるだろうと思った。
今回はかなり短めです。