プロローグ
不定期な更新となります、ご了承ください。
射抜く様な視線が彼に突き刺さっていた。
「___なぁ、アイツだろ?」
遠慮なく不躾に彼を指差す彼ら、黙って見つめる彼女達。
「あぁ、アイツだよ。・・・・・・・・・人殺し」
(耳が痛い。心は痛まない、もう慣れた)
「人殺し、そうとまで言われてんのによく学校来れるよな?」
「だよなぁ、あれじゃないか?心のビョーキ?」
「ハハハッ!かわいそーっ!」
「だよなぁ!」
いつからだっただろうか、学校という小さな疑似社会の中で。
僕という存在の価値が消えたのは。いや、そもそもそんなものは、最初から無かったのかもしれない。
”あんなモノ”から生まれた僕は、きっと、
(疫病神、ね)
『この疫病神が!』
(・・・・・・っ)
嫌な事を思い出した。
きっと何も考えない方が良い、きっと、そうだ。
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「ふむ・・・」
一人の人間が苦悩していた。
そんな人間なんて腐るほど下界にいる。私はそんな人間を見てきた、ずっと。
「なかなか、面白いじゃないか」
人間は浅ましい、欲に塗れている。こちらの予想を遥かに越えて、増えた人間ども。
奴らは未だに増え続けている。
そんな愚かな人間は、たとえ傷ついてもその悩みは自分基本の物で、それによって周りがどうとかは考えない。
見ればこの少年は周りから蔑まれている。その原因は彼自身の物ではなく、彼の親族にある様だ。
だが彼はその原因を責めない。むしろ自分の中に原因を探している。
そんなモノはあるはずも無く、結局彼は悩み続ける。
「くくっ」
思わず笑みが溢れる。
「はぁ、マスター。怪しいですよ?さっさと仕事して下さい」
「いいじゃないか、中々面白い奴がいる。人間も捨てたもんじゃないな」
「下界の観察も良いですが、マスターが書類にサインしてくれないとこちらも困るんです」
「・・・」
この少年はこの世界には勿体ない気がする。
きっとこの世界は彼にとって過ごしにくい世界だろう。
いっそのこと違う世界へ飛ばしてしまうのも良いかもしれない。そう言えば彼の部屋には魔法やら剣の物語の文献が多かった。
「・・・ふむ」
「マスター?」
「あぁ、なんだ?」
「なにか良からぬ事考えてませんか?」
「なぁに、素晴らしい事さ」
「全く、マスターがこういう時は良い事が一つもないんです」
「くくっ、楽しみにしてくれ」
「・・・はぁ」
ため息をついた部下の事など気にもせず、マスターと呼ばれた”彼女”は彼を見つめ続けていた。
こんな感じで進めて行きます。
というか登場人物の紹介が何一つないです。
なにはともあれ、次回にご期待ください。
感想や誤字脱字などがありましたら遠慮なくどうぞ、お待ちしてます。