結論を言うと大人気女優がマイナーVRゲームで十年間フレンドな大親友だった結果ポロっと言ったらマイナーをブームにしてしまい慌てて身バレしてくれたわけですが
VRをやっているのだが、もうかれこれ十年になる十二からやっているから二十二歳になる。そう思うと随分やっているなと思う。
こんなにやってるが、ゲーム自体はほぼほぼ人口が少ない超超マイナーゲーム。冒険ものではあるがギルドに入れるが最初に行ったようにマイナーすぎて人など集まるわけもなく。
ギルドで二人だけ。それが十年なのでネット友達だが、親友という間柄。もう家族と言ってもいいのではないだろうか。とはいえ、オフであったことはない。会ったこともないし実際の姿も知らない。知らなくていい。
それに、もうそろそろやめようと思っていた。なぜなら最近有名女優がやっているとかなんとか言ったことでマイナーのゲームが一気に超ブームにより人が増えたのだ。
全くスカスカのゲームが一夜にして某ランド並みの人口密度。笑えない。ため息をつく。
「はぁ。せっかく長々と続けていたのに」
人気になったらやる気がなくなってしまって。今の所さすがにユーザーとして消すことはないが、ここ最近は全くログインしてない。
ピコン
スマホが鳴る。唯一無二の親友であるアリスだ。女の子、今は女の人か?
彼女は自称女というがネットの世界なので半分信じている。こちらも男と言っているので向こうももしかしたら信じていないかもしれないが。ネットなんてそんなものだろうな。
「ん?ああ、ログインしてないからケガとかカゼとか心配されてるのか」
なにか一言でもメッセージを送っておけばよかったかな。悪いことをした。
「有名女優がゲームを紹介して人が増えたからやる気をなくしたっと」
正直にメッセージを書くと送信した。送り返されてきた言葉は変に焦っている。どうかしたのだろうかと首を傾げてログインしてほしいと頼まれる。彼女が頼むのなら流石に願いを叶えようと思える。親友だから。苦笑してダイブ。電脳世界に付くと彼女はそこにいた。
「ユウダイ!」
「アリス。何も言わずにインしなくてごめん」
「ううん。私が悪いから」
「え?いやいや悪くないって」
「ううん。私のせいだし。はあ」
アリスはずっと自責を感じているらしい。
「まさか、あの一言でここまで増えるなんて。いや、もうわかってなかった自己管理不足というか」
頭を振るとアリスは落ち込む。
「ユウダイ、これからもログインしない?」
「うーん。低浮上にはなるけどくることはあると思う。精々アリスと話す時くらいだな」
「そ、そんな!?」
アリスはショックを受ける。まぁそうだろうかと思う。なんせ、週に一度は必ず一度は会っていたからだ。
ユウダイだって本当は会いたいがどこへ言っても人が良すぎるのだ。やる気が失せる。
「わ、私、いやだ。ユウダイと会えないなんて!」
「え、あ、うん?」
だから、親友に会えない気持ちはわかるが、そこまでか?
と思案していると大声で名前を叫ばれてびっくりする。
「な、なんだ?」
「あのね、あの、わ、わたしの本当の姿見せたい……」
「え?……いやいや、別に知る必要なきしな」
「でも、見せたい。お願い。そしてね、もしよかったらこれからも定期的に一緒にゲームしたい」
「いやぁ、でもなぁ、あんなに人いるしなぁ」
「!──見てユウダイ!」
アリスの電子が消えた。フッと。
「アリス!?見せなくて良いって言っただろ……!?っ、え!?ん!?え!?」
目を閉じたが閉じる瞬間だけ見た。その間に見えたものを頭が浮かべたので見覚えのある顔に閉じていた目を開ける。
「アリス……っていうより神姫アリス!?」
「実は芸名じゃなくてアリスは本名なんだ……驚かせてごめん。私がつい、言ったから。だって、ウワサで近々このゲームがサービス終わらせるかもって」
「いやいや、そんなの毎年ウワサされてるだろ?」
驚いたけど長年の親友だから、落ち着くのも早い。知っている限りアリスの芸能活動は子役の時かららしいので、会った時にはもう芸能人として働いていたとなる。
「でも、今回はガチっぽかったし」
「あー、なんか会社がどうのこうのってやつな」
会社の経営が赤字でもう無理そうって噂もあったから。
「とはいえ、そんなに金はかかってないからまだ五年ほどはあるって話だけどな」
「実は十八から資金支援してる」
「え、支援?すごいなそれは」
「うん……一応筆頭株主」
「えー」
「あ!?ユーくん引いた!?」
「いやいや、大人っぽくてすごいなって」
ユーくん呼びがいつものアリスらしくて笑う。そうか、ゲームがサービス終了がなかったのはそういう背景があったのかもしれない。
「ありがとうなアリス十八ってことは四年続けられたのはアリスのおかげなんだな。そこまでされてたのなら、なんだかやる気になれるかも」
「かもってところ、あやしー」
「バレたか」
ズボラな性格なもんで。
「ごめんって。でも人が多くてウンザリしたのは本音だしなぁ」
「それは、私のせいかな。うう」
泣きそうな顔になったアリスに苦笑。
「まあ、うーんじゃあ、回避記念でどっか行くか?」
「え!?り、リアルで!?」
「は?いや、ここでに決まってるだろ」
手を振ってそんなわけないだろと息を吐く。
「そろそろ、リアルで会おうよ……私たち会って十年になるのに」
「ネットで会ったら現実で会わないほうがいい。今までここまで上手くやれたのは現実のオフで会わなかったからだろ?」
「……私はここまで晒したのに」
「勝手に身バレさせたんだが?」
むくれるアリスにアバターをつけさせて、公園で共にハンバーガーを食べる。サンドイッチもある。アリスの料理の熟練度も己の熟練度もカンストしているから。美味しい。
「アリス。アリスはすごいな。でも、おれはすごくない。ズボラだから」
「知ってる!でも、また会いたいよ」
「身バレしたのに?」
「前々から教えようと思ってた。だってオフで会いたい。親友だもん」
十二の多感な時期からずっと友人で家族でお互い大切に思っている。だからこそ、会わないほうがいいと思っていた。
「私……会いたいよ」
「会ったら、ただで帰れなくなりそうで嫌なんだ」
「っ!わかってるのならきてよ!」
「は?来れるかっ」
お互い痴話喧嘩みたいなことを言い合う。
「据え膳って言葉知らないの?」
「いや、スキャンダル御法度な職業で言うなよ」
思わずツッコミをやる。
「事務所とマネージャーには言ってある。付き合ってる彼氏がいるって」
「はん?付き合ってないだろう?」
「ううん。十六の時から付き合ってて今は結婚前提で付き合ってるって」
「フライングどころか黒焦げすぎる」
「それはフライヤー」
「いやいやいや。先回りしすぎて逆に元通り的な?」
「三百六十度のことだね」
「付き合ってるはないだろ、付き合ってるは」
「あとで反対されるよりかはいいかなーって」
「ダメだったら?」
「そんなの嘘だって言えばいいし!」
「いやぁ」
さらに言おうとすると名前を叫ばれる。
「会おうよ、会おう。会って、初めましてって言うの。そして、告白して付き合って同棲して、結婚しよう」
「逆プロポーズ強い」
「誓います!!」
「ええ?」
「みなさん!聞いて!私今この人にプロポーズされてうんって言いました!拍手お願いしますー!!」
「いや言ってない言ってない」
「おおーおめでとー!」
「おめでとう!」
周りが多くなった弊害のせいで、拍手されまくった。確かに何もせずにはいられないって言ったけど、プロポーズじゃない。
「ほら、わたしたちを皆祝福してくれて、これで自他共に世間から認められた!」
「お前が誰か知らないからだろ……」
頭と首を振りため息を吐いた。
「じゃあ、私待ってるから」
アリスはふわりと笑ってユウダイの手を握り、立ち上がらせた。
「今度はユウダイに告白されて、一緒に婚約指輪買いに行きたい」
「……お金、引き出しとく」
真っ赤になった彼女の笑顔は初めて会った幼い顔つきの日から、なにも変わらず純粋で可愛かった。
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