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第1話 異世界なのか現実なのか分からない

頭が痛い…いや、痛いのは頭だけじゃないな


体全体が痛くてしょうがない


痛みが引くのを待って、もう一度、周りを見た。


俺はおそらく今赤子になっている…?


周囲に同じ赤子の子供がいる。一人じゃない。寝かされているのは、俺だけじゃなかった。視界に


入るだけで、四人。いや、もっといる。みんな、俺と同じくらいの大きさだ。


そして、全員に、羽があった。


白い小さな羽が、それぞれの背に生えている。


眠っている子の羽は閉じられ、身じろぎする子の羽はかすかに開く。


誰も、それを不思議がっていない。当たり前に、生えている。


俺は、自分の背中を意識した。


動かない体で、神経だけをそこへ向ける。


背に、感覚を探す。あるはずの重み、あるはずの違和感を。


——ない。


俺の背中には、何もなかった。


平らな、ただの背中。羽の根も、その兆しもない。この部屋で、俺だけが。

天使じゃ、ないのか。俺は。


じゃあ、何だ。


ここには天使しかいない。人間が見渡す限りおそらく俺しかいない。


俺は真っ先に『異世界転生』を疑った。


天使というファンタジーな存在を見たからだ


俺は人間、それはおそらく確定事項か…正直少しショックだが


もしかしたら今後人間で良かったと思える瞬間が来るかもしれない


いやむしろ俺含めここにいる赤子全員が転生者なんて言うショッキングな落ちじゃなくて良かったとすら思う


いや、どっちだとしても、今やるべきことは言葉を覚えることだ。情報は後で手に入れればいい。


こういう時どうするのが正解だろうか


言語を独学で覚えるのは、さすがに無理があるだろう。なら、年寄りに教えてもらいたい。そのほうが習得が速い。


周囲を見渡してみて気付く


――あれ?年寄りどこにも居なくね?――


どういうことだ? 確かに、羽の生えた天使の年寄りなんて解釈違いだ。人間から見れば、死人でしかない。


けど、若い者ばかりで、年寄りが一人もいないのはおかしいだろ。


ここはおそらく赤ちゃんを集める場所


現代日本で言う産婦人科か孤児院そのどちらかに当たる場所だ


周囲にいる天使はようやくアクションを起こしてくれた


何かを赤ちゃんに言い聞かせる


すごく真剣に、必死なところ申し訳ないが今の俺はただの赤ん坊だ


…ということはだ


ここがどこかここにいるのが誰か分からない、そもそも言語も通じない、しかも俺は


何故か赤子、つまり自分の事も分からない、うん詰んでるな


ここで気付いたが、もしかしてここにいるのは先生だろうか。


孤児院と学校を一緒にやってる組織、ということは十分にあり得る。


先生らしき天使が何かを必死で教えている


この先生はいつまでやってるんだ…


赤子に何を教えようとしてるんだ?分かるわけないだろ!?


いやもしかして情報を教えてるんじゃなくて単語を教えてるのか?


親が子供に教える時に名詞あるいは固有名詞から教える


教育方針でよくあるやつだ


先生らしき人物が自身を指さし何かを言ってる


なんだ?名前か?それともパパママとかそういうやつか?


メイと聞こえる……まさかこの教師自分の名前理解させようとしてる?


くそっ…⁉よく使う単語とか教えてくれよ…後々役に立たないだろ⁉


というか今更だが魔法とかあるのか?


異世界ならあるはずだが試してみよう


簡単なイメージがあるやつから火を出そうと念じると何も起きない


失敗か…次に氷を試してみる


小さな氷の塊が出た…成功か?


氷が行けるなら、水も行けるはず。ベッドの外に水の球が零れる。


氷より感覚的に水の方がやりやすかったな…どういうことだ?


どういう基準でどこからエネルギーが補充されてるのだろうか


だが、これで分かった。魔法が使えるなら、ここは異世界だ。ほぼ間違いない…と


思う。


魔法をリアルに使える人間なんて、地球で聞いたことがない。


だが水は生活以外で使い道がない


というか水だけ使えても、現代のインフラがない異世界生活では多分あまり役に立た


ない気がする


なら氷をある程度自由に生み出せるようになるのが当面の目標だな


氷の塊が何故か多数落ちている謎の現象が時々議論されていたが、


それ以外に大きな失敗はなかった


っていうか時間だけはアホほどあるから、その一環で寝返り練習していく中で


考えて気付いたがみんな長距離移動は飛んで移動してる


おそらく飛行による移動手段が車やバイクみたいなポジションなのだろう


だとすれば周囲を見てみる


……やっぱりだ


やっぱり、見渡す限り階段がない⁉ たぶん、見えないだけで少しはあるんだろうけど。


使わないんだ!飛んだ方が速いから?


いや、おかしい。人間だって、歩けるのにバイクや車や電車を使う。


何で天使は飛んでるんだ?


考えて最悪の結論に至る


天使は飛行にエネルギーを消耗しないのか⁉


だとすれば、社会的戦力やサバイバル生活という点において、人間とは比較になら


ないほどの可能性を秘めている。


強すぎない…?


いやまだ分からないな、羽は飾りで飛行魔法という存在がある可能性だってある


そもそも、人間サイズを浮かせるなら巨大な羽がないと飛行できない、みたいな科


学議論を見たことがある。


だとすればあれは物理的な現象ではなく魔法?


でも魔法だとして疲れない発動方法があるんだ!おそらく


ここで根本的な問題に気が付く


俺は前世において一体いつどこで死んだ_?


絶対におかしい。だって、内定を貰った後のことが、ほとんど記憶にない。


全くと言っていいほどに。


思い出そうとしても…あれ?


……あれ?なんだ思い出しそう


けど頭が痛い…めっちゃ痛い!一体なんだこれ⁉


???「久しぶり!ユウトはさ今なんの仕事してるの?」


「ITエンジニア!?凄い!私ね最近親の研究で面白い事が出来そうなんだ!楽しみにし


ててね凄いニュースがみられるから!」


あれ?そうだなんで忘れていたんだろう


自分の名前を…俺はユウト


それが名前だ


あの後何があったんだっけ?


いや今はひとまず言葉を覚えることと魔法の特訓に集中しよう


あーあ…それにしても、異世界なのか現実なのか分からない

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