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42:完璧な変装?

「ハッピーマスカレードデー!!」

「……パパラ、ですね。仮面して変装しててもバレバレです」

「えー、バレちゃった?でもリクは全然わかんないよ。変装完璧」

今日はマスカレードデー。仮装舞踏会のようなお祭りの日だ。

今回はルミナフェスタと違って生徒の家族や王族まで招かれている。面倒ごとに巻き込まれたくない私は、気合を入れて完璧な変装をした。

髪は黒のボブに。特徴的な瞳も魔法で黒く染める。さらに仮面で表情を隠せば、誰にも気づかれるはずがない。――パパラ以外に。

「リクシィ嬢。今日は随分と雰囲気が違いますね。……ですが、とてもお綺麗です」

不意に背後からかけられた声に、心臓が跳ねる。振り返ると、そこにはグレーの仮面をつけたセリアス様がいた。

「な……なぜ……?」

「リク、ドンマイ。バレちゃったね」

横でパパラが笑う。――絶対、あなたが近くにいたせいでしょう!?

「もしかして、誰かから隠れておられましたか? ……失礼しました」

去ろうとするセリアス様の腕を、思わず掴んでしまった。

「なっ……なぜ、私だと?」

彼は一瞬だけ目を逸らし、静かに答えた。

「――一目でわかります」

そんなド直球に言われるとなんだか恥ずかしい。

なんで……。

「セリアス、パパラー! と、初めまして?」

「ゼイン様!」

ちょうど現れたのはゼイン様。戸惑った様子でこちらを見ている。

……そう、それが普通の反応です。ありがとうございます!

「ゼイン……/ゼインくん……」

私とセリアスの声が重なった瞬間、ゼイン様の目が僅かに見開かれた。

「なんだよ……なんでそんな憐れむ目で俺を見るんだ?」

「ゼイン様」

もう一度名を呼んでやると、ゼイン様は完全に固まった。してやったり!

「リクシィ!? すごい!変装完璧じゃん!やっぱり魔法か?」

「はい、魔法です。すごいでしょう? 全然わからないでしょう?」

得意げに胸を張った瞬間、別の声が背後から飛んできた。

「ねぇ、姉様。そんなに喋っちゃ変装の意味ないよ」

「リオ!」

そこにいたのは私の最愛の弟、エリオットだった。

「ご、ごめんなさい。嬉しくて……。あの、あの王子はもういらっしゃってる?」

「まだだよ」

差し出された腕を迷わず取る。

「では皆様、また後で!」

そう言って、私はリオと共に両親のもとへと向かった。胸の奥がまだざわついているのを必死で隠しながら――。

◇ ◇ ◇

――リクシィがいなくなった後。

「えっ……あれ誰? 今の可愛い系の男子、誰!?」

混乱しているゼインを横目に、パパラは口元を押さえて忍び笑いをしていた。セリアスはもう隠そうともせず肩を震わせている。

「リオくん。リクの弟だよ。あっははは……もう我慢できないわぁ!」

ついにパパラも笑い声を漏らす。

「えっ、あれが噂の弟くん? ……かっこいいな」

「ゼイン、面白すぎますよ」

セリアスは仮面の下で、僅かに口角を上げた。

――リクシィを一目で見抜ける自分の魔力が見える目を密かに誇りに思った。

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