24:ルミナフェスタ初日
セリアス視点です。
今日はルミナフェスタ初日だ。
初日は舞台発表が行われる。
僕のクラスは明日からチェス大会を運営するため、今日は完全に自由だ。
アレクサンドラ嬢のクラスは劇をやるらしい。
せっかくだし、見に行くつもりだったが──
「フォルセティア様、今お時間よろしいですか?」
ガタンッ!
「フォルセティア様!?」
声こそ出なかったが、思わず飛び退いて壁に肩をぶつけてしまった。
「だ、大丈夫です。それで……僕に何か?」
試験が終わっても、アレクサンドラ嬢は何かと話しかけてくれる。
「今日、劇をやるので……もしよろしければ見に来てください」
「もちろんです。楽しみにしています」
そう言って、劇の準備へと戻っていく彼女の後ろ姿を見送る。
最近は凝った髪型をしていることが多い。
そして──そんな時、よく一緒にいるのはゼインという青年。
……まさか、二人は付き合っているのだろうか。
「セリアス=フォルセティア様、どうかなさいましたか?」
振り返ると、そこにはパパラ=サフィア嬢が立っていた。
「いえ、特に何も」
「リク……リクシィ様のことを見ていたようでしたので、何か用事があるのかと。研究一筋な彼女にも、ついに春が来たのかと」
研究一筋……つまり、彼女は誰とも付き合っていない?
サフィア嬢はふっと笑みを浮かべて、
「あ……失礼いたしました。では、これで」
劇が始まるまで少し時間があるが、僕はもう講堂へ向かうことにした。
彼女が魔法を使った演出をするかもしれない。
できる限り近くで見たい。
……今胸の奥で湧いているこの嬉しさは、きっとそれが理由だ。
やがて舞台の幕が上がる。
動きやすそうなドレス姿のサフィア嬢と、真っ白な軍服を着たゼインが登場。
舞台が暗転し、低く響くナレーションが流れる。
「かつて同じ大陸で栄えた二つの国──
光の魔法を操る『黎明の国』と、闇の魔法を司る『黄昏の国』。
その二つの国は、一つの宝石をめぐって戦争をしていた──」
「エルシア様、なぜ敵国『黄昏の国』の王子などを呼び出したのですか! あなたは『黎明の国』の姫なのですよ!」
ゼインが声を張る。
「ジル、落ち着きなさい。カイ王子はとても聡明な方です。それに──私には、あなたという騎士がいるでしょう?」
サフィア嬢は余裕ある笑みを浮かべて、優雅に嗜める。
そして舞台にふわりと魔力の気配が広がる。
暗がりの中、黒い軍服をまとった長髪の人物が現れた。
……魔力でわかる。アレクサンドラ嬢だ。
中性的な顔立ちの彼女が、メイクでさらに男性的に見える。
「そなたが黎明の姫か? 何故、俺を呼び出した?」
魔法で少し声を変えているのか、いつもより低く、落ち着いた声。
主要人物として現れるとも思っていなかったし──
彼女が男装している姿に、僕は言葉を失った。




