エレナの過去
「うん、大分慣れてきたね」
エレナと手合わせしているうちに、溜琉転現した体にも大分慣れてきた。
「ありがとう。エレナさんと手合わせしたおかげだよ。」
エレナはその言葉を聞き微笑むが、突如として真剣な顔つきになり、こう切り出した。
「私は昔ね、皇都にいたんだ。」
「皇都に?」
「皇都には、私のお父さんがいたの。そのお父さんが、怪獣や星命者が生まれるきっかけとなった実験事故を起こしたんだ。」
「えっ」
ルタは驚いた。
皇都の実験事故はエレナのお父さんが引き起こしたものだったのだ。
「私はお父さんが大好き。今もそれは変わらないの。でも、お父さんが引き起こした事故は…言い逃れ出来ないくらいに酷いものだった。」
エレナは続ける。
「そのせいで星命者や怪獣が生まれた…私はその償いをしたいの。事故で亡くなってしまったお父さんの代わりに。」
エレナの過去を知ったルタは
「でも、エレナさんが悪いわけじゃないですよ。あまり気に病まないで。」
「ありがとう。ルタ君。」
それとね、とエレナが続ける。
「私はね、かつてある怪獣を封印したの。」
「その時に大怪我を負った。呪いにもかかっちゃったの。」
その話を聞いて、エレナのその姿の意味がやっと分かった。
「その怪獣は知性を持っていて、そんじょそこらの敵より強かった。呪術めいた技も使えてたし。」
「…本当に強かった。倒しきれないと思った私は封印する道を選んだのよ。」
エレナは語る。
「これから戦う怪獣は強いやつも多い。だから、気をつけてね。」
エレナの言葉に、ルタは強く頷いた。