邂逅
こんにちは、白黒明夢と申します。
拙い文章での投稿にはなりますが、よろしければご覧いただけると幸いです。
もう駄目かもしれない。
僕も、隣にいる幼馴染のせつなもそう思っていたが、それでも走る。
「はぁ…はぁ…!」
ただ平穏に過ごしていただけなのに、何故こうもあっさりと平穏は崩れていくのだろうか
後ろからは沢山の人の悲鳴と、獣の咆哮が聞こえる。
怪獣だ。
大きな獣が街に突如として現れた。
そして無差別に人を襲っている。
「噂には聞いていたけど、とうとうこの街にも…!」
せつなが言う。
10年前、皇都で起こったとある実験事故があったらしい。その実験事故が原因で、それ以降あらゆる場所で異形の怪物が目撃されている。
「うわぁ!」
「大丈夫か!せつな!」
転ぶせつなを心配し、抱き起こそうとしたが…
「ギシャァァァァ!」
その目の前に怪獣が。
「…くそっ!」
怪獣を目の前にして、恐怖したが、幼馴染を守りたい。
そう思い怪獣に向けて体を向け、まっすぐ怪獣を見る。
「ルタ!?」
「せつなは僕が守る!」
その時、空から炎が「降ってきた。」
その炎は怪獣をたちまち包み込み、怪獣がたじろぐ。
炎の先に誰かいる。怪獣とは別の誰か。
炎が晴れた先にいたのは、助けと呼ぶにはあまりにも痛々しい姿をした少女だった。
「あれは…?」
包帯を巻き、松葉杖をついている少女は、その痛々しい見た目とは裏腹に、勇気を持った眼差しで怪獣を見つめていた。