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回収と零火召喚

よくもまあ人を息をするように人を殴れるものだ。俺がもし実家とかに連絡したらお前の家潰れるかもぉとは考えられないのか???


「グハッ、も、もうやめ、うっ!」


第3体育館倉庫。

椅子に縛りつけられた四肢。破かれた制服。足跡の残る上裸の体。


ガチムチのゴリラたちとそれを従えているであろう親衛隊のチワワ達に囲まれた状態で暴行を受けている俺は今、リンチを受けているらしい。


鳩尾に入った蹴りは、特になんの効果もなさなかったが呻いて怯えておく事にした。


「も、もうやめてくださっ、ぐはぁっ!」


「な、なあ、こいつさっきから怯えてるばっかで殴りにくいんだけど……」


「な、なに!!宇治宮様に近づいたこいつには仕置が必要なの!!」


「わかるだろ!!」


「わ、わかるけどよぉ……でもこれって先生が来たら…」


「じゃあ早く終わらせることよ!!」


確実に仕置はお前らの方に必要だろうがよ。てか人一人さらって倉庫で多人数暴行ってそれはもう犯罪なんだよ俺が言えたことじゃないけど。


「ふんっ、もうお前もわかっただろっ!!!」


体重の乗っていない拳が顔面に当たる。


「ごはぁっ!!」


空気を吐いて呻いておけばだいたい満足するだろ。


「他人に言ったら、どうなるかわかってるだろ!!今度は暴力じゃすまないよ!!」


その読みのとおりに、しばらく殴って蹴ってをしていた親衛隊と彼らが従えていたゴリラたちは俺を放置して去っていった。



―――ところでこれどうやって帰ろうかな………。





とりあえず縄を抜けて、スマホは――ギリ壊れてない。よかった。


連絡先は、零火れいか


心の準備をしてポチ、とボタンを押すと、スリーコールで相手は出た。


「零火、」


『もしもし!!!!!!雪さんから電話かかってくるなんて珍しいですね!!!なんですか?結婚します?』


耳がキーンとする…


「しない。ちょっと迎えに来て。」


『いいですけど、どこです?』


「第3体育館倉庫。着替えも。」


『りょーかいです!ちょっと生徒撒いてくるので待っててください!』


「急げ。」


早く帰りたい。


『はい!!!』


うるせえ返事をぶち、と切って、


そしたら俺は俺で俺の仕事をしよう。


たしか第3体育館に仕掛けておいた監視カメラと盗聴器は…たしかしめて13個だった。


流石に文句は言われないだろ。


棚の上、バレーボールの中、ラケットの底、籠の中、胸元のネクタイピン、その他エトセトラ。



最後に蛍光灯の上においてある小型カメラを脚立を駆使して取って、全部の機器からSDカードを抜いてポケットに入れて、任務完了。


あとは零火を待つだけ。


そう思った瞬間、示し合わせたようにバン、と扉が鳴った。


マナーモードのスマホが鳴る。

ダラダラと取り、通話ボタンを押すと、


『かけてる鍵?』


「かかってる鍵」


『じゃあ離れてくださぁい。』


言うが早いがパン、と破裂音が鳴り、同時に鍵部分が丸ごと吹っ飛んだ。


『「雪さーん!!!」』


ダブル声。電話を切った。

飛び込んできた人影に上段蹴りをかまして吹っ飛ばし、一言。


「服。」


「はぁい!!!!」


ホコリの舞う体育館、吹っ飛ばした方角から投げつけられた紙袋には、スペアの学生服が入っていた。


着替えていると、後ろから冷たい指が肩にかかった。


「雪さーん、お久しぶりです」


「久しぶりってほど久しぶりじゃないでしょ。あと0.5秒以内に指はずさないと切り落とすよ」


「やァ怖い!!」


キャラキャラと笑うのは、制服にフードを被った青い目の男。

中性的な顔立ちには軽薄そうな笑みを浮かべている。


「計画は?」


「首尾よく。」


ポケットのSDカードを1枚見せると、たちまちその笑みは深くとろけた。


「さァっすがァ…俺の雪♡」


「誰がお前のだよ死ね。」


「えっ殺してくれるの!!」


「一人で死んでろ……。」


ふい、と横を向き、そのまま撤収用意を始めると、むぅーといいながらも丁寧にカメラや縄なんかをバッグに収納していく。


「っしょ、」


大体の片付けが終わった辺りで立ち上がると、先に立ってた零火が顔に目を寄せてきた。


「なに。」


「えぇぇ……ちょっと待って、この傷は誰から?」


どうやら頰の傷を指しているのか。

大した怪我ではない――というか何時間かしたら消えてるような傷だから気にしたらいけないんだけども。


「俺今日囮でおびき寄せるって言ったよね?」


「………成程。やり返してないんだ。」


「そりゃ犯罪記録録画するための行為だからね。やり返したら怒られる」


「…………あいつら殺してくる」


「待て」


殺気立って外に行く零火を殴って止めた。さすがに今やられるのは困ります。


「うわぁ雪さんからの拳だぁ…へへ」


「どうせ命令が下りるだろ。」


「……まあそっか。」


「あとこれほぼお前のせいだからな。」


「うわぁぁあごめんなさい殺してくださいぃ!!!」


「それはご褒美じゃねぇかよ。」

じゃ俺は帰る、というと、送っていきます!!と言われた。

いらねえ。

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