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プロローグ
そこは中庭。
狭い中庭につれてこられた僕は、3人のチワワ達に囲まれた。
「うわ、また親衛隊?」
「また氷室?」
「あいつも学習しねぇよな」
通り過ぎる生徒を横目に、無惨にも踏みにじられた弁当箱を放心状態で眺める。
「ちょっと、聞いてんの!?お前のせいで宇治宮様のお手が煩わされたんでしょ!」
「身の程をわきまえなさいよね!!」
「あんたに御視線が注がれるのすらもったいない話なんだから!!」
目の前で文句を言う彼らの言い分は理解できないけど、彼らは宇治宮様の親衛隊。これもしょうがないこと。
俺が宇治宮様の様なお人に目をかけてもらった代償だ。
「こんな汚い弁当なんて宇治宮様には出せねえよな!!」
「お前が”約束をすっぽかした”分は僕らがちゃーんと埋め合わせておいてあげるから!!」
「もう宇治宮様の前に顔なんか出すなよ!!」
去っていく彼らを眺めながら、俺は呟いた。
「俺の牛肉…………」




