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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第二十五章:カチコミの時間じゃい!

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675.川を渡るだけでこの騒ぎ

 砂嵐に紛れ、爆弾を保持したドローンが編隊飛行。

 その名の通り蜂の羽音のような振動と共に廃墟の合間を横切っていく。

 

 それらもまた、フラッグによって自然発生的に現れたモンスターの一種。

 例に漏れず永級1号の強い影響を受けており、厄介度が大幅にプラスされている。


 それらは死んだ町の分岐路や行き止まり地点に爆弾を投下、起爆して、何も居ないのを確認してから次の地点で同じ事を繰り返す。


 探している。

 何を、という点は、細かく言及せずとも自明だろう。


 建物内部は見ないのだろうか?

 答えは、「その必要はない」、だ。


 外から順に、重機が振るう鉄球やフォークで解体されているのだ。

 隠れられる場所なんて、そう遠からず無くなるだろう。

 

 と、路面を破ってドリル三つを頭につけている水棲竜らしき一匹が蹴り出される!

 続いて地中からの発破はっぱ連発!

 生成された土で舗装された斜面を先頭車両が駆け登る!

 

 先頭の装甲車両を正面から止めようと悪魔めいた皮を持つカバが突進!

 だが外付けされた氷が破砕されることで衝突のショックを受け止める!

 そのまま不可視の爆風と時速100kmの30tにドつきのめされる!


 地下空間に展開していた魔力隠蔽結界内での食事・仮眠時間を終えた彼らは主要道路沿いに東進!

 

 その行く手に降り立つ巨大モンスター!

 ギリシャ彫像に似た外見の銀色物体!

 異様なのはパラボラアンテナめいた突起を背部に持っている点!


 アンテナが太陽の方角に向き、表面がビカビカと光り、胸が肋骨のように左右展開!

 ごくぶと光線放射!

 魔力と光と熱が混ざったそれを、煉瓦造りの物も含めた白い壁が防ぐ!


 正面衝突の爆音は女性の悲鳴を思わせた!

 弾かれたエネルギーはランダムに撒かれ、周辺の建造物がグズグズと溶け飛ぶ!


 ヘリコプターや巨大な鳥に運ばれて彫像が更に2体追加!

 侵攻部隊の両側面を取ったそいつらは同じように光線発射シークエンスを進め、


 それぞれに一本ずつ青白二色の線が撃ち込まれる!


 折り畳んでから反撥力を解放されたことで素早く伸ばされたその先端には、

 片方には狼男が、もう片方には剣士が結び付けられており、


 竜胆色に染まった斬撃連閃で胴を刻まれ内部エネルギー制御を失調、爆発して果てた!


 正面の一体は冷却が済み次第の2射目を放ったが、それらが当たったのは角度を工夫して配置された黄金板!光線は防がれ、しかも一部が反射され、頭部を貫通!


 怯んだそいつの股下を車列が潜り抜ける際、腹辺りで上下を分かつ広い楕円ゲートが出現!

 

 その出口は彼らの後方、追跡していた数百匹の真上!

 落下と共にかなりの数を巻き添えで潰す!


 砂嵐は尚も囲うように追い、逃げる車列は正面に一切の敵の存在を許さない!

 

 数十分のチェイスの末に、やがて見えてきたのは運河だ!

 

 イフリ大陸と中東地域を分断する象徴的な水流!


 陽州から東洋までの海運をスムーズに行う為に建設されたものだが、今は車両通行を妨害する壁として立ちはだかる!


 当然、土によって橋が掛けられていくが、汚濁した水流が鎌首を持ち上げる!

 それ自体がモンスター!

 瓦礫を多量に含んだ土色の濁流が水没と質量の2面攻撃を仕掛ける!


 そこに古茶の水球がぶつかり、一部水分の操作が不自由に!

 ささやかながら全体の連動を確かに妨害し、釘を打ったように動きを抑制! 

 そこに雪の結晶が吹き込み、凍らせていく!


 対岸からの攻撃を防ぎ、撃ち返しながら先頭集団が渡河とかを敢行!

 だがそれは誘われていた行動!

 凍った波を割ってタール漬けになったような黒い魚竜が突っ込んでくる!


 車が直接刺される事は回避したが、頭を土に埋めた彼らはその場で尾を回して近くの敵を叩き飛ばす!


 氷や白い壁が生み出され水中に落ちないよう被害者を受け止める!

 楕円ゲートがその進行方向に出現!対岸までひとっ飛び!


 後続も続こうとして、橋の下から燃え盛るタンカーが急浮上!

 狭い道を行くことを強いられ縦に伸びた列を半ばから寸断!

 そのまま爆破を連発して通行妨害継続!

 

 咄嗟に出した楕円ゲートでタンカーの真上から飛び出すように空間を繋ぐ!

最後尾から全体を見ていた使い手による判断!


 あとは先に行っていた側がなんとかしてくれるだろうという開き直りによって、車体も安全な着地も丸投げた!


 果たして、ゲートを出た先には氷の斜面が作られ、一時停止した先行車両が彼らの駆け込みスペースを守っている。


 このまま抜けられる、と思ったのも束の間、ヘリコプターのローターブレードがゲート出口を出待ちして切り込んでくる!


 数台を巻き込んで現れる煉瓦造りの立方体!

 プロペラの回転を詰まらせながら斜面を滑り降りる!

 

 最後にゲートから出た車両に乗っていた潜行者が、新たなゲートを作りヘリコプター撃墜!


 車列が再度発進し、陣形を作り直そうとする、その隙を狙って押し寄せる砂嵐!

 運河からは数々のモンスターを腹に溜めた津波!


 一際高く鳴る風!

 嵐が穴を開けられる!


 天使の光輪から出た白い両腕が空間を引き裂き、

 「水面」と判定された津波を二つに割った!


 各車順次リスタート!

 

 だがその先には次の関門!

 

 これまでの道路でさえ、何十年も放置されてズタズタだった。

 だが運河の先には、もう道が無かった。


 そこは風や河川の浸食作用で彫り出された、自然設計地獄難度サーキット。


 車が通るどころか、人が登ることすら無謀に近い、天然の危険迷宮。

 モンスター達が潜んでいることもあって、ある意味では地上に作られたダンジョンとも言える。


 目的地である旧聖都、現在の永級1号まで、直線距離で300km超。


 どんなに急いでも3時間を越える道のりは、どこが最短ルートかも分からないまま、時に衝突を避ける為の減速を、時に大きく迂回することを強いられ、実際には倍以上に伸びることになる。

 

 タイヤが何度も段差につまずき、ガクガクと上下に振さぶられ、舌を噛まずの詠唱遂行も、困難となるコンディション。


 崖の中か、土の下か、空の嵐か、どこから敵が襲い来るか分からない中、


 普通に走らせるだけでも事故死頻発必至な地形に、


 彼らは勢いそのまま突入していた。


 単なる起伏、天然の構造物が、


 ちっぽけな能力者達に牙を剥く時だ。

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