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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第二十四章:リアルタイムで世界を変えろ

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2061/8/31 14:00~2061/8/31 15:00 part2

「ぐうううううっ!!」


 懐の佑人をかばいながら、乗研はシールドとぶ厚い筋肉で破片を受ける!

 地面に落ちて破裂した物品の数々、それが飛び散らせたほぼ全てが、彼を目掛けて刺さり込んで来たのだ!


「おじちゃん!だいじょうぶ!?」

「クソが……!俺は『おじちゃん』かよ…!」

「爆ウケ…っ!」


 強化した肉体でなんとか乗研を路地から引っ張り出す六本木!

 狭く逃げ場のない空間からは取り敢えず抜けられた!


 だがそうなると、人が多い広い道に姿を曝すしかなくなり、当然騒ぎになり始める!

 黄金板の一部が上手く機能しないので、尚更なおさら彼らには隠れ場所が無い!


 昼休みも終わったくらいの時間帯とは言え、それでも無人は有り得ない。

 通報は必ずされるだろう。

 彼らの現在位置が完全に露見し、直に警察がやって来る!


「み、見られてやがった…!」

「なんて…!?」


 佑人を衆目から隠すように、這いつくばる姿勢で周囲を睨み回す乗研!

 六本木はライオン人形で、その傷を全力治療!


「さっき、視線を感じた…!確かだ…!黄色く濁った目が、光って、点滅して…!」


 点滅。

 それも、パターンが一定周期で。


「モールス信号…とは違ったみてえだが、あれは、あのパターンに、意味が籠められてやがった!」

「おめめパチパチが、詠唱って、そんなんアリ…!?」


「俺の黄金板をポッポ野郎が取り除いたのが、俺達を『見せる』為だとしたら……!探せ!俺達はどこかから、今も見られてやがる…!見られ続けることで、どういう原理か、周囲一帯が俺達を殺しに掛かってきやがる!」


「“親愛なる食卓にてシルバー・ニアー・ファミリアー”ァァァァァ!!」


 このままでは治療を続けてもジリ貧、魔力切れで何も出来なくなる!

 そう考えた六本木は、魔法の形態を変化させる!


 タヌキ、ライオン、パンダ人形を残し、他全てが消失!

 ベージュの霧を数m範囲に広げ、高精度情報処理モードに移行!


「これで…っ!少し“先”くらいなら……ヤバじゃん!ちょい!離れて!あんたら!めちゃヤバだって!」


 様子のおかしい彼らを遠巻きに見物し、スマートフォンで撮影までし始める通行人達。

 彼らに手振りでもっと離れるように言った彼女だったが、それが聞き届けられる前に予測通りの事態が発生!


 軽トラックが彼らに突っ込んできた!

 黄金板でそれを止めようとした乗研は、運転手がパニックを起こす一般人だと気付いてしまう!


「ふざけやがってえええええ!!」


 身体強化全開!

 両脚でアスファルトを削り焼き、できるだけ衝撃を吸収しながら、なんとか穏当停車ソフトランディング


「…!これっ!ノリパイ!ガソリン漏れててヤバ!バリクソヤバ!」

「降りろアホ!」

 

 腕力でドアを破壊し運転手を回収!

 黄金板で野次馬も含めた全員を守る!


 電柱が何故か折れて、電線が千切れ、高圧電流による火花が散って、引火!

 爆発炎上!

 燃えた金属片が背中から降り注ぐ!


 運転手を黄金板で運び出しながら、ベージュが示す軌道予測に従って回避!

 

 だが一部が計算を外れて乗研の頬を焦がす!


「マ!?ハズしてる!?なんでっ!?」

「いいから能力を発動し続けろ!多少の誤差はどうしても——」


 走り出そうとした六本木がスッ転んだ。

 何かにつんのめったのだ。


 足にぶつかったのは、トラックから外れた車輪。

 問題なのは、ベージュが示した位置と、実際の位置が、ズレていること。


 予測の位置ではなく、現在位置が、間違って感知されている!


「これ……!?」

「おいおい、それは冗談がキツいだろうがよ……!」


 先程から、何度もだった。

 黄金板が無効化され、急に姿を消すことが、何度もあった。

 

 しかしそれは、もしかしたら、消されたのではなく——


——自分から?


 バキり、乗研は何かを踏み砕く。

 ブチり、何かを踏み千切る。


 膝から下に力が入らなくなり、うつ伏せで倒れ伏せるしかなくなる!


「バカ、言ってんじゃ……!」


 彼の脚が、破壊されている。

 いつ、誰がやったのか?

 ついさっき、彼自身がぶっ壊した!


 肉体の運動能力だけを引き出しながら、強度を上げていた魔力が解除され、自然な力学で自爆した!


「俺達の、魔力が……!」


 奪われている!

 否、より正確に言うならば、乗っ取られている!


「ずっと、ずっと襲ってきやがったのは……!」


 彼ら自身の魔力!魔法!


「魔力の気配を感じねえ攻撃!感知できないエネルギーで、俺達の魔力に干渉し、操作し、襲わせてやがった…ッ!いや、それとも、俺の黄金板の能力を無断使用して、その不正アクセスを隠してやがったのか…!?」


 その目に見られた者は、無自覚のうちに自分で自分を攻撃する!

 どんな強者であっても、敵は自分自身。

 術にまれば、必ず命を落とす!


 最強は、最強によってのみ殺される。

 ならば最強自身に殺させるのが、最も容易い解決手段!


「古い漫画であったな…!無敵の超人が、そいつの細胞から生まれたガンで自滅するやつ…!あれを万人に起こしやがるってのか……!」


 そしてそれは、自分の力であり、物語。世界認識の根幹である為、自分のダメージがよほど激しくならないと、疑わない!

 五感に騙された時、それを疑える人間が居ないのと同じように!


 攻撃された時、外敵ばかりを探してしまい、「敵が居ないのに」とまどうしかできない!

 人間は、生物は、ミクロの自殺行為に、あまりに無頓着むとんちゃく


「ノリパイ……!これ……!ほんと、ゴメンなんだけど……!」


 息も絶え絶えな六本木を見ると、その顔の周りに、パンダ人形が登っている。


「もう、治せない、っぽい…!」


 赤ん坊の格好をしたそれが、大きく肘を引き、


「この子達、言う事を聞かないし、消せない…!」


 えぐり込むようなパンチ!

 眼球を守った目蓋を削り取る!


「まじだるっっ!!」


 身動きが取れない!

 そして更に、ベージュの色が濃くなっていき、肉眼の視界を奪い始める!


「クソッ!この魔法の感覚が、当てにならねえってのに!」


 ノイズで五感を潰す作戦!

 受け取る情報量を多くしたことが、完全にあだとなった!


「このっ!クソッ!」


 六本木が手足を振り回し、明後日の方向に燃えさしを蹴り飛ばす!

 乗研はまだ制御できる数少ない黄金板を、自身の近くに引き寄せる!


 そして、その絶好の狩猟チャンスを見て、狩人達が動き出す。

 クリスティアが用意した、殺傷能力の高い潜行者達。


 暗殺者達が、ベージュの霧という分かりやすい目印に向けて、各方位から接近。


 その中に入らずとも、殺す方法は幾らでもある。

 

 一人が掌の中にエネルギーを溜めて、


 爆弾のように放り込み、

 



 また、爆発があった。

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