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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第二十三章:呪いが解ける時

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632.めっちゃやり返してる!

 ベージュの“伝達”により、片方が一定範囲を完全に支配した戦場。


 それでも火力で拮抗きっこうするモンスター勢力、その横暴さには驚嘆せざるを得ない。

 別の見方をすれば、ill(イリーガル)謹製きんせい手駒てごま共が、学生と互角で遊んでいるのは、情けない限りと言えなくもないが。


 


 当然、それで済ませてやるほど、彼らは子どもを思いってはいない。




 弱者は平気で踏みにじる。

 情けのかいする隙などない。

 それが彼らだ。


 プライドを競っているなら、この押し合いを続けただろう。

 けれどもこれは「戦争」である。

 禁じ手も審判もなく、ただ敵対者を消していく作業である。


 子どもの「遊び」に付き合ってやる必要など、どこにもない。

 いさ強兵きょうへいの顔付きを前に、彼らは真顔で答えを示す。


 長距離砲撃という答えを。


 無限軌道で走り、4脚をコンクリートに突き刺して本体を固定。

 銃身長だけで10m弱の巨砲を地面と水平に構え、幾つかの建造物越しに狙いを定める。


 ベージュが届かない地点から、その発生地点目掛けて、超速の一撃でち抜く。

 間にぶ厚い遮蔽があるので、魔法そのものが触れられないだけでなく、視覚や聴覚で察知され、反応されるということもない。


 「気付かれる前に殺す」、それを可能とするテクノロジーこそ、只人ただびとをしてディーパーをほふらせしめる、パラダイムシフト。


 戦場の主役から、“魔法”が正式に降りる。

 その合図としての号砲が、今、鳴ら〈させると思ってんのかあッッッ!!〉


 横から打ち寄せる海水の波!

 それに乗ったシャチと人の混成体が砲身を殴りつける!


 内部が波打ち変形!発射は暴発となり、上部が丸ごと吹き飛ぶ!

 続けて複数人が飛びついて残った部位を切り刻む間、超音波索敵続行!

 

 離れた場所に配置したもう一体が、機銃を何本も生やして応戦!

 海水層と水色の障壁で防ぎながら建物の合間を縫って接近!


〈ろくちゃん!〉

『さんくす!』


 無線を通じて六本木に連絡し、自らの位置情報で敵が居座る地点を共有する。

 虎次郎が投げたのだろう、石像型眷属が高く跳び、それが砲台型を視認。


 使い手である壱百の認識が、六本木の魔法によって全体に伝達。

 発砲のタイミング読みから軌道計算までが瞬時に済まされる。


 飴色が数本、ビーム光線のように残影を残して放たれる。

 幾つかの壁が緩衝材となって校舎に到達する頃には速度を半分未満に落とされている。

 

 貫通後、六本木が避けた先を狙おうと、Uターンする余力を無数の魔法弾が撃墜する。

 

 もう一射、となる前に、巨大石像が上空からヒップドロップ!

 針鼠のようにたくさんの機銃を、仰角ぎょうかくで一斉射させて破壊しようとする砲台型!


 その足下でチョロついて外から装甲を剥いてやる遊撃パーティー!

 モンスターが背負う砲身が上下にわかたれ、半分に折り畳まれ、横並びの2門に変形!


 それでまず石像を灰燼かいじんかえしてから、脚で蹴って勢いをつけ、ギャリギャリとキャタピラで路面を削る急後退!


 上体が持ち上がり、下を向く。

 機銃と連装砲で急襲部隊を相手取る!


 


 砲台型やスナイパーは、遊撃部隊に横槍を入れられている。

 その勝敗を待つのは愚策。

 計画遂行が困難となったら、いつまでもこだわっているよりは、代替プランを走らせるべし。




 バイク車列。

 チェーンを伸ばし、露出した校舎の鉄筋に引っ掛けてジャンプ!


 タイヤで廊下に切り傷を作りながら、飴色の鞭と短銃身機関銃を振りかざし、防御陣に接近戦闘を仕掛ける!


 迎え撃つ前衛!

 そのうち剣を持つ者達は、竜胆色の刃を装着している!


 射撃を固めて作られた鞭が打ち振われ、内装がズタズタに裂かれていく!

 隠れる場所を奪ってやったとばかりに、貫通力が高く取り回しに優れた左手のマシンガンのトリガーを引きめる!


 銃を横に倒すことで、銃口が跳ね上がる反動がそのまま横に払う掃射そうしゃ動作に!

 “馬賊ばぞく撃ち”!


 それで動きを鈍らせながら必殺の間合いに入ろうとして、


「そっちから来るなんて!」

「ラッキー!」

「私達を誰だと思ってんのかなー?」


 逆に敵側から吶喊とっかんするものが居た!


 6人。

 それぞれが重装のアーマーで全身を覆う彼女達は、円舞えんぶの如く回転しながら確かに前進している!


「行くわよ!ユヌ・フォルマシオン・ドゥ・リス!」

「「「「「はい!先輩!」」」」」


 チェーンを収縮して短いロッドにしてから突き刺す動きで伸長させる!

 指揮者らしき一体をつらぬくことを意図していたが、竜胆色の剣先で跳ね上げられ目的を果たせない!


 ボディの銃口や左手の機関銃をへいしゃ

 白い球系フィールドがそれを柔らかく減衰させ、前に出た一人が両手の盾で受け止める!

 

 その次の少女は身のたけを超える大剣を振り下ろしてローズボンボンの斬断ざんだん撃を!


 次は大きく前に踏む動作でビリジアンを床に敷いてタイヤの回転数を下げ、


 次はハンマーで叩きつつサフランイエローで全員を包み手傷を癒しながら加速させ、


 次は東雲しののめ色の竹槍状生成武器を投げて突き刺す!


 6人が順に技を繰り出し、その隙を他が埋める連携。

 いいや、途中で組み替えて並びを変化させ、次手じてで誰が来るかを予測させていない!


 6枚の花弁を持つ一つの花のように、一心同体波状(はじょう)攻勢こうせい


 常に守り、攻め、そして敵へと向かっていく!

 この中に居る限り、攻撃後の無防備を気にせず、相手に与えるダメージの大きさだけで、自らの行動の択を選べる!


 トロワが生み出した、自分の剣を敵に届ける最適の型!


 斬撃、打撃、刺突のフルコースを入れられ、何本目かの竹槍がバイクに突き刺さり、それは消えずに内側から焼いて損傷を広げていく!

 かつての騎士が取ったあらゆる攻撃方法を、たった6人に網羅される!


 竜胆色の突き。

 ベージュが効果を伝達し、傷痕が一つ穿うがたれて、その手を引くことなく竜胆色を重ね打つ!


 崩れた!

 前輪が横向きに流れ傾いたそいつを6人でタコ殴り!

 

 チェーンと機関銃で3、4撃までは誤魔化したが、それ以上は直撃を貰い続ける!


 焦熱しょうねつの竹槍が増えていく!

 車体を踏まれてビリジアンで体内が詰まる!

 防御を越えた飴色が敵に当たろうとすぐ治される!


 まるで1対1であるかのような顔をしながら複数で一つを囲って叩きのめす!

 遂に撃破!


 そこに3台追加!

 外からのあめあられも継続!


 だがベージュが道を示し、離れた敵にも攻撃を押し付ける!


「相手の間合いを読まなくていいだなんて、」


 トロワ達6人は竜巻のような進行を再開!


「随分と簡単な試合ね!眠っていても勝てるわよ!」

「「「「「いっえーい!かっくいーい!!」」」」」


 モンスターの認識に、世にも奇怪な生き物として記憶されながら、


 徐々に優位へと登り詰める!

 

 旗色が鮮やかにひるがえり始めた!

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