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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第二十一章:ゴングを鳴らせ!ガチンコバトルだ!

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576.宣戦布告…?

 本当に勿体ない話ではあるんだけど、後輩君二人は今回お留守番である。

 他の教室だって勿論警戒対象なんだけど、八志先生のところは明胤学園内で誰もが認める別格なのだ。


 こっちが出せるガチガチに最強の状態じゃないと、普通にボロ負けする。

 慣れたメンバーで、最高の連携で当たるべき。


 二人も納得してくれた。

 彼らは大会参加が初めてらしいけれど、それでもこれまでの9年間で、あの教室の手強てごわさはしっかり認知している。


「ススム君、大丈夫?」

「もう全然!世界大会経験者ともなればこんなの、いまさら緊張のうちに入らないよ」

「得意顔で言っているが、そうでなくては逆に困るぞ」

「私が居ながら負けを恐れる方が異常者よ!」


 なんかこの感じも「いつも通り」になりつつある。

 気は抜かないが、肩の力は適度に抜けている。


「調子悪そうだったら言ってね?ぎゅうっ、ってしてあげるから」

「むしろ調子崩すんでやめてくれ」

「ええー?」


「バリ問題発言なんですけど。なんか隠さなくなってきてるくない?ってかモロバレじゃね?」

「カミスム、ニブチンー……」


 煙草の主成分みたいな罵倒が横から飛んで来たけど、この二人からよく分からんいじられ方をするのも毎度の事なので、右から左に通り過ぎて行った。


「ふぅー、さ、あ、て、」


 と、ミヨちゃんがそこで全員の顔を見回す。


「みんな、忘れてないよね?」


「クソっ、忘れていて欲しかったぞ…!」

「あれやるの?また?」


 往生際が悪い先輩方からブーブー文句が垂らされているが、これももう恒例行事なんだしいい加減に慣れればいいのに。

 こういうのは頭をカラにしたモン勝ちですよ?


「恥ずかしいのよ、あの感じ」

「ノリ悪いじゃーん。アゲてこーよ」

「うぇーい……!」

「オレサマの威厳が……!」

「ゆうてますけども」


 やいのやいの言いながらも、とどこおりなく右手が重ね合わされる。

 ミヨちゃんが一番上に乗せて、


「“特別獅子奮迅クラス”!略して“トクシ”!ふぁいとー!」


 それを下に押し込む!


「「「オー!」」」

「「オー……」」

「おー………」


 ………ホントにぴったり合わねえなコレ。




 



 会場内は、熱帯雨林だった。


 温度も湿度もたっかいのなんの。

 ピキョンピッキョンと鳴き声が聞こえるけど、モンスターは居ない筈だから、とするとコアが持ってる記憶に、その音まで含まれてるってことだろうか?

 

 その辺から恐竜でも出て来そうな雰囲気がある。

 シダ植物っぽいものが繫茂はんもしてるし。


「みんな、どの辺かなー……?」


 ちょっとした山道みたいになっている、崖や傾斜に囲まれた箇所に誘導された。

 去年も一戦目は木々の中だったけど、それと比べても緑の密度が濃い気がする。


 これは合流が面倒くさそう。

 俺がいなけりゃ、だけど。


 まずトロワ先輩と二人で前線を作る。

 プロトちゃんとテニスン先輩と小競り合いを長引かせていれば、嗅覚を頼りにニークト先輩が後方から加わって、層を厚くする。


 一方後ろでは、六本木さんがビーコンを出して、ミヨちゃんと狩狼さんを呼び寄せる。


 敵が撃って来るだろう遠距離攻撃については、前線は俺が、後衛組はミヨちゃんがブロックすることで対処。


 注意するべきは、シエラ先輩の攻撃に混ざって、液体に変身した雲日根先輩が送り込まれて、知らないうちに後ろを取られること。


 俺も魔力で気配を探ってはいるが、気付けない場合もある。

 常に意識していないといけなくて、その「どこに居るか、どこから出て来るか分からない」という部分が、あっちの狙い通りなのだと思う。


 地形が入り組んでいて、水分も多いこともあって、その能力の隠密性には追い風が吹いている。結構やりにくくなるな。


 さて、どこまで上手くいくか。


 ………


 ………………


 いや、心配はない。


 ここなら、気兼ねなく戦える。


 久しぶりに、何の憂いもない戦場だ。


 殺し合いじゃない、のびのびとやれる闘争だ。


 端末がカウントを開始する。

 5秒前、

 3、

 2、

 1、

 

 ブザー!魔力廻転!気配探知!トロワ先輩には開始早々派手に暴れて欲しいと伝えてある。居た!木々をり倒して移動してる!


 一足飛びに向かおうとして、より強い反応!

 魔力弾を二つ撃ってそれらにぶつける!


 ライトイエローの電流路!

 先輩に向けて撃たれていたその先端を二本とも断ち飛ばす!


 以前と比べたら伸びる速度が段違い(ダンチ)

 矢が弾丸に変わったくらいの劇的変化!

 

「やっぱ成長してるか!」


 次々に突き出される電光線を魔力爆破でさばき壊す!


 木々の幕に切れ目。

 赤髪ツインテールと視線がれ合う。


「やるじゃーん!でもあんまり好きにはさせないから!」

「そっちこそ!」


 幾つかの角度から魔力ミサイルを撃つも、水色の障壁に阻まれる!

 ライトイエローに巻き付かれたテニスン先輩が、凄まじい速度で彼女のもとに引き寄せられている!


「イェップ!人使いが荒いお嬢様ダッ!」

「カミザコとスットロ見つけたよ!突っ込むから!」

「うわっ!トロワ先輩!あいつら2対2に電撃勝利するつもりです!」

「甘く見られたものね!」

 

 盾役の俺とテニスン先輩が向かい合い、それぞれの後ろから攻撃役の二人が遠隔で叩き合うフォーメーション!

 

 そこに仕上げが入ろうとしている!

 指ピストルを互い違いに組み合わせ、イナズママークを作るプロトちゃん!

 

「来ます!」

「完全詠唱ね!お相手してあげるわ!」


 構える。

 電流路の迷宮を作るなら、まずは周囲を爆風で負圧にして、安全地帯を確保しないといけない!


 反応魔力を撒きながら待ち構え、

 なんとはなしに目が下を向く。         視界の端でプロトちゃんも、

                        そちらに眼球を傾けていた。


 アリーナの丁度中間地点あたりと思われる場所から、白っぽい青色をしたイルカの頭が出て来た。


 その口が前後に大きく開かれ、中から凸凹デコボコに固まった岩石のような表皮の、肥大で巨大な多眼たがんの化け物が生えふくらんだ。


 突如生じた体積に、それが持つ異常な熱に、一帯は吹き飛ばされ、焼き払われた。

 

 モンスターの頭上に、ドレス姿の女が立っていた。

 

 そいつの背後に、岩と岩が繋がって作られた、六芒星魔法陣が重なり合った立体図形が組まれていた。


辺獄現界アマゾニン・ダンジョン


 グツグツとした熔光ようこうを発する飛散物が、シャワーのように緑を削りした。




              「“爬い廃レプタイルズ・タイルズ”」




 地面から角ばった岩々が突き上がり、あちこちで熱焔ねつえんが噴出した。


 いしつぶてが舞い、マグマが踊った。


 炭素生命の楽園が、一瞬にして無機の窯底かまぞこに書き換えられた。


 俺の周りでは、地面の隆起がより高々としている。


 囲い込まれている。


 上部が閉じられたのを見ると、円錐型の空間なのか。


 破って出ようと壁に魔力と足をぶつけ、それを果たすまでに必要な時間が、ひたすらに膨大だと分からせられた。


「逃がしませんの、ちんちくりん」


 そいつを前に、この壁に掛けられる手間暇なんて、あろうはずがないのだ。


「受けて頂きますの。こちらの要求を」


 “臥龍メガサウリア”。


 そいつが衆目の中、

 

 校内大会を襲撃した。

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