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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第三章:友達よりも敵が増えるペースの方が圧倒的に速い件

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54.コラボ配信との向き合い方に答えなど無い part1

「えー、以上が、大まかな経緯となりまして…、そうですね、要約すると、『凄い人にスカウトされた』って感じです」


『スカウトって言うか…』

『ススム、お前は落ち着くってことを知らない』

『少しは大人しくなったと思ったらこれだよ』

『まあススムレベルになると、他配信者からコラボの誘いとか来るよな』

『基本二人の配信になる感じ?ススムのソロが好きなんだが』

『は?ふざけんなオフパコヤリモク野郎』

『ローマンってのがネックで寄り付かないだけだからな』

『裏切ったなススム…!お前は俺と同類だと思っていたのに!』

『まあく~ちゃんならやるよな、という信頼』

『そのアイドルみたいな子、そんなにエキセントリックなのか』

『どうして断らないんですか?く~ちゃんのファンに不誠実な態度ですよね?たとえく~ちゃん側から申し出があったにしろ断る責任があると思います』


「何度も念を押しますが、交際関係だとかカップル営業だとか、そういうのでは一切!ありません!お互いに潜行者としてのメリットがあった、それだけです。

 確かに、元から“く~ちゃん”さんのファンであった事は事実です。僕を協力者に選んでくれて、嬉しくも思います。しかし!だからこそ!パーティーメンバーとして浮ついた、半端な仕事をするつもりはありません!決してです!

 そんな事をすれば、潜行者として戦う“くれぷすきゅ~るチャンネル”への、最大の侮辱になります…!僕は“く~ちゃん”さんの潜行を、命に替えてでもサポートする…っていうのは当たり前か、決意表明にはならないですよね、すいません」


『あ、これガチなやつだ』

『目が据わってるぞ、ススム』

『狂信者だ!吊るせ!』

『その人を尊敬してるんだね!ススム君!』

『さてはコイツ割とディープなヨミトモだな?』

『よく今まで潜伏してたな、ってくらいには強火のヨミトモじゃね?』

『答えになっていません。ファンを不安にさせないのが仕事ではありませんか?人を不快にさせるような要素をコンテンツに混入しないでください。迷惑ですし、く~ちゃんの立場を貶めます。』


「それから、これも周知しておきたい事なんですけど、僕も、“く~ちゃん”さんも、メインは変わらずソロ潜行配信です。ただ、一人だけでは限界な事、パーティーの中でしか見えて来ない事もあります。そういった、チームで何かを試す際にのみ、互いに頼る、といった形態です」


『良かった、ソロは続けるのな』

『彼女が出来たら捨てられるのかと思ったよ』

『女に狂って破滅するのが簡単に想像できるから…』

『ススム、捨てないで』

『ススム、女はクソだぞ』

『質問への返答、感謝する、ススム』

『良いように使われてこい、ススム』

『まあ俺は別にお前がアイドルと付き合っても応援するぞ』

『ガチ恋したら言えよススム、聞いてやる』

『さっきから本人とススムの「アイドルじゃない」発言聞いてないやつ多くない?』

 

「………なんかみなさん、僕が異性にチョロそうとか思ってません?」


『はい』

『はい』

『うん』

『ええ』

『まあ』

『そこで不本意そうな顔をする所が既にチョロい』

『受けになれるだけの素質がある』


「いや最後のは意味が分かんないです」



 いつもより数万単位で跳ねる数字、ちょくちょく長文を挟む怖い人達を、なんとか見ないようにしながら、俺は経緯説明を終える。事実部分は淡々と、大枠のみ。あとはコメントとの質疑応答の形で、伝えなければならない要点を消化。


 しかし、この同接数を、頑張れば見なかった事に出来る辺り、俺も段々鍛えられて来ている。一年前の俺が同じシチュエーションに居たら、配信が始まるなり一言も喋れなかっただろう。

 特に「怖い人達」が本当に怖い。今回の件で、ストレートに「殺すぞ」とか言われるより、「怒ってないですが、理屈としてどうなんですか?」みたいな丁寧な文章を連打される方が、こちらの胃腸に悪い事が分かった。どっちにしろギリ無視できるんだけど、俺の気持ち的にね?


「それでですね、まずは近いうちに一回、浅級で二人行動を試してみよう、って事になりまして、その時の配信は“くれぷすきゅ~るチャンネル”の枠で行いますので、それだけご注意お願いします」


『りょ』

『了解です』

『承知した、ススム』

『まあ撮影機材的には、あっちの方が良い物使ってるだろうしな』

『画質高くなるから逆に助かる』

『視聴者が吸われるぞ、ススム』


 確かに、撮影環境の問題は、まだ未解決だ。

 しっかりした追尾式カメラとか、100万で格安なんていう世界。俺みたいに動き回る奴を、自動で追ってピントを合わせてくれるタイプだと、サラリーマンの年収を覚悟だ。そこにメンテ代が乗っかるので、長く使ってると、8桁が迫り………

 そういった事情でダンジョン配信界では、どっしり構えるタイプ、パーティーで言うなら(ルーク)ポジションの人が有利だったりする。カメラがピント合わせやすいから。じゃあ俺みたいにスピード型はどうすればいいかと言うと、見づらいの承知で引きのを撮るのが一般的だ。

 消費前提ローマンダンジョンカメラマンなんて、半分闇バイトみたいなのが流行るわけである。………言うほど「半分」か?


 カメラについては、自前の物を用意しても、良い頃合いかもしれない。やっぱり、ある程度ズームに耐えられる高画質で、遠巻き定点位置取り撮影になるかな?


「そこは、追々考えて行く事にしましょう」


 言わなければならない事も終わったし、今日の本題に戻るか。


「現、在、は…、19時過ぎくらい、よし、門限にはなんとか間に合いそうです」


 俺は足元で螺旋階段へ変形するラポルトから飛び降りて、“魔人窟イヴィル・ビル”第10層の床を踏んだ。

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