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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第十八章:おい邪魔だ!全員触れるな!指一本!

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497.そこにあるんだ!そこに居るんだ! part2

 右掌からの黒棘射出を外側に避けることで、敵視点では自身の体で陰になる場所へ!左肩を前に出して対手に最短で届くような全身利用左フック!

 だが装甲表面に黒燃焼こくねんしょうを発生させ熱膨張爆圧と共に中型腕を振り下ろす事で割り込んでガード!左中型腕が生成した燃ゆる剣による追裂ついざきは体重を前に落としたダッキング回避で空を切る!

 

 大型腕からの釘打ち機構に似た高レート叩きつけを懐に入るスライディングで躱し中型4本腕のラッシュを拳と魔力噴射で外側にパーリング!そのまま広い股下を潜り抜けてZ軸で見て上の側を取り、位置エネルギー的有利の立場を確保!振り返りながら尻尾で払う攻撃を頭方向に浮いて躱しながら重力加速両足ドロップキック!


 魔法で生成した棘の散弾をガクガクと角ばった残像線を描きながらの回避で通り抜け腕によるガードの上から突き蹴る!二股に開いた試作アーマーの足先、言うなれば甲懸サバトン部分のそれぞれから足裏まで入っているスリット、そこから回転刃を出して装甲を削らんとする!


 魔法で作られた部位は耐えきれず崩壊!だが内からの爆発で勢いを殺されたところに鋭利な3本爪を持った足による蹴り上げが間に合う!青年は魔力爆破で後方宙返り離脱!

「反応装甲…ッ!真似してんじゃねよキモいなッ!」

 爪先当たりから出た魔力が足裏を通って踵で体内に戻る無限軌道的周回運動を作り、壁面を滑り詰めて再度の仕掛け!

 

 “刺面剃火オール・ラウンド”は壁と垂直方向に飛び出し棘と砲型魔具の斉射!

 だが魔力のキャタピラスケートで滅茶苦茶に交わる曲線図形を描くように躱され、しかも棘は壁に衝突するとその白の効果によって破壊されてしまうので、先程までのように回り込んで取り囲むという事が出来ない!


 ここまできても、信じ難い事に両者無傷状態継続!

 高速戦闘に三都葉瑠璃は援護を挟む事すら出来ない!

 体に掛かる強力且つ方向があちこち変わるGに耐えながら、背中にしがみ付き意識を寸断されないように気合を入れ直すので精一杯!


 壁を迂回して出ようとした機兵は見えない爆発に押し返される!


「ボッと見上げてるだけだとでも、」


 既に、配置されている!

 周囲に幾つもの反応爆発魔力!


「思ってたのかよ!!」


 不意に体勢が崩れた敵目掛けて日魅在進が直線ジャンプ!

 

 砲型魔具からの炎を直角に躱してから元の方向へ90°ベクトルを戻して突蹴とつしゅう

 炎と固体化で出来た剣とを両腕から魔力噴射で開くように受け流しながら、内にある右腕に脚からの回転刃で斬りつけ手を放させようとする!

 が、腕から発される黒炎で止められ、しばしの硬直の間にそれが足を掴んで金属化!


 カーボンブラックの刃が両側から迫るのを交差させた手で止めつつ、反対の足で枷を蹴り壊そうと何度も打つ!

 背中側から棘が来る!

 魔力噴射で弾こうとするも、接触直前に炎に戻り広がって、一部に集中させたことでジェット出力が弱くなった部分を巻き囲む!


 更にそこから炎の尾が本体まで伸びて、繋げる形で固形に!手足胴の拘束がより厳しくなる!

 それを待っていた大型機械腕によるダンプトラックの突進のようなパンチ!

 棘と炎も付与されたそれは頭からの噴射だけでは止めきれない!

 

 左拳と頭、二つの距離はあと10cm程度。

 そこに挟み込まれるのは魔力で引っ張り上げられたダンジョンケーブル!

 だがその張力でもまだ不足なのは確実!

 

 押し込む。

 殴り抜ける為に。


 ばきばきばき、

 

 砕けた。


「まだ、だとおおおお!?」


 瑠璃が紅白の腕を背から生やしながら右から追撃しようとする!

 今割れたのは、日魅在進の頭ではない!


「面倒臭い!まだ死なないのか乳臭い子どもがぁぁぁあああッ!」


 なんとケーブルが、拘束に使われていた枷の全てに、外からぐるりと巻き付いていた!

 “刺面剃火オール・ラウンド”の拳が押す力は、そのまま張り詰めに伝わって、日魅在進の純粋な筋力も併せて、即席の鎖をへし折ったのだ!


 大型腕が当たる瞬時を狙って大きく後ろに身体を()()らせながら魔力噴射と共に顔の前で炸裂させるような魔力爆破!スリッピング・アウェイは間に合い、飛び離れ拳も紅白の斧も空振らせ、再度壁を背にする!

 回転刃で手枷足枷も完全に取り除く!


「太い、しぶとい、死に損ない……!」

「ぶつぶつモゴモゴ何言ってんだよ!聞こえねえんだよ!お偉い割にその歳で陰キャか?ラップみてえな口調もかっけーとか思っちゃってるからか?」

「うるさいですねぇぇええええ!」

「お前には負けるよロングブレスオバサン!」


 右の足裏を背後の白に接させ、キックジャンプを構える。

 

「そっちのお前も何シカトしてんだ。いい加減そのきったねえ手を放して」〈おーい!〉

 

 と、下から少年のようなソプラノが聞こえた。


〈おーい!ススム君!〉


 地面からイルカが、“飛燕サルタドール”の本体が顔を出している。

 海棲哺乳類の表情など読めない筈だが、とても陽気な顔に見えて気が立ってしまうのは、脳天気に響く声のせいだろうか。


〈ごめん!もう来ちゃった!〉

「は?」

〈頑張ってね!〉


 そいつが言い終わるや否や、の出来事だった。


 数秒の間に濃縮した驟雨しゅううが、まるで大地が落ちたかのような巨大質量が、空から落ちて来た。


 救世教の壁が破壊され、衝撃波が虫の嵐を舞い起こす。


 彼らの前に現れたのは、黒い雲のような存在だった。


 それはバッタの塊で、全体で20m近い大きさだった。


 雲の中、そこだけ夜になったような暗がりから、六つの複眼が鈍くともる。


〈ぐぅぅおおおおお、ぎゅごごごるるるるるんるるんるるるん〉


 彼らの横隔膜を外から揺さぶるような震動は、腹が鳴った音だった。


 彼らは、一目で理解した。


 それが何であるのかを。


〈しぃねぇえええええ〉


——こんなデカい気配…!


——さっきまで全く…!


 それぞれが内心で惑い、


——まさか……!


 そのモンスターが脚力に優れる事に思い当たり、同時に正解に辿り着く。


——上から!?


 そう、落ちて来た。


 それは、高く跳び上がってから、上空で真の姿を解放、

 重量級ボディに任せ、降って来た。

 

 だから直前まで、気配を感じられなかった。


 バッタに埋もれたせいで詳細は見えないが、

 胸や腹や背がウゴウゴと動き、

 そこで何らかの印が結ばれたようだった。


辺獄現界アマゾニン・ダンジョン


 そう聞こえた。

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