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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第三章:友達よりも敵が増えるペースの方が圧倒的に速い件

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48.ここは敵地か新天地か part1

「お、おわあ………」


 俺の足はそこで止まった。

 え、これ、俺って入って良いのかな?良いんだっけ?


(((何をしてるんです?ヘタレなススムくん)))

(いや、何と言うか、校舎どころか校門時点で威圧感が…)

(((減点です。今更過ぎますね。編入試験の際に、来た事あるでしょう?)))

(いや、あの時は外様だし、物見遊山気分でいれたし、憶えた事が抜けてくのが怖くて反すうしてたからそれどころじゃなかったし………)


 俺の前にそそり立つのは、明胤学園の正門である。

 桜舞う中に構えられたそれは、ヤクザの屋敷の正面玄関みたいな、「質実剛健」そのもの。

 いや、逆か。ヤクザ側が、こっちを参考にしてるんだ。


 回土えど時代のお偉い侍の屋敷の門を、そのまま使っているらしく、朱塗りの威容の背後には、零環れいわまでの歴史がうず高い。


 今日はまだ始業式と入学式の準備中、って段階なのに、活気と人波が沸き立っている。邪魔にならないくらいの脇で、マスコミの皆さんも撮影中だ。いや、あれは俺も撮りに来てるな。

 自惚うぬぼれとかでなく、マジで新聞とかTVにまで俺の話が出たのだ。素顔や本名は一応伏せられたが、調べればトップに出て来るので、有って無いような配慮である。

 潜行者に関する話題は、ただでさえ国民全員を惹き付ける。その上ローマン、世界初記録、しかもあの明胤学園入学となれば、良い飯のタネになるのも分かる。


(((スースームーくーん?)))

(はい、行かせて頂きます)


 俺は大きく開いている門を通り、中に——


「あ、すいません。そこ車が通る場所なんで、こっちからどうぞ」

「あ、はい」


 締まらねえなあ。




 校舎もまた凄まじかった。

 なんか壁が全部ガラス張りなオシャレな建物とか、いかにもめい期に建てられてそうな、古い洋風建築だとか。都度新築・改築を繰り返して来た結果、この学校独自の混ざり方をしてる。節操が無いと言えばそれまでなんだけど、権威と新鋭の両方を感じられて、名前だけの場所じゃないと見せつけている。温故知新、ってヤツかな?

 植物も多種類植えられており、バッタらしき虫が複数匹、舗装路脇の草むらで飛び跳ねる。

 色んな世界が一緒になってるみたいで、ワクワクしてきた。


「え、と、まずは、寮って何処だろうな…?」


 広いな…。丁都内のこれだけの土地を使って、ほとんど学園都市みたいにするなんて、どれだけの資金を動かせば良いんだろう?


「慣れるまでは何度か迷いそうな…、うお、バスが通ってる!送迎用の特別な奴で、外にも通じてんのか…。ほんとに一つの街みたいだな」

(((此の辺りだけ、中世の城下を彷彿とさせる、設計思想をしてますね)))

(国の有事って時には、ここを要塞みたいに使う事も考えてんだってさ。偉い人とかも逃げて来るらしい。まあ優秀なディーパーが一杯居るんだし、安全っちゃあ安全なのか)

(((潜行者を国のかなめとする。方針自体は、明確で分かり易いですね)))

(ここがテロリストに襲われる妄想する時は、まずテロリスト側を盛らないといけないな…)

(((活躍出来そうですか?)))

(………駄目だ。俺が負けるか、俺の所に来るまでに全滅してるか、どっちかだわ)

(((夢の無い妄想ですね…)))

 

 逆にここがセキュリティペラペラだったら、国的には大問題だろう。最高の潜行者養成学校とは、同時に最強でなければいけない。


 なんてことをつらつらと考えながら、途中途中の案内板も頼りにして、指定された第十学生寮に到着。

 丁都内なんだから、正直居住区から通うのでも良かったんだけど、明胤学園内に住む事を、入学条件にされてしまったのだ。

 一応俺が居ないと寂しがりそうな、じいちゃんの意見とかも聞いてみたが、「独り立ちの良い機会じゃわい。行って来んか!」とケツを蹴り上げられ、特に拒否する理由も無くなった。

 

 建物内に入ってみると、ロビーみたいな場所に、何人か案内待ちが居る。全員男子、なのはまあ当然か。同じ寮に住むんだもんな。俺もここで待てばいいのかな?先に管理人さんとかに、一声掛けた方がいいのか?

 聞いてみるか。

 一番近くのソファに座ってる生徒に、話し掛ける。


「あの、すいません」

「あ、はい、なんでしょう」

「これって、職員の方とかに」「おい!ちょっと!」


 と、隣に座っていた知人らしきもう一人が、割って入った後に何事かを耳打ちする。


「こいつってあの…」「え゛、まじ?ちっちゃ…」


 おいお前ら、何の話してるかは大体分かるからな?特にチビって言ったそこのお前、覚悟は出来てるんだろうな。


(((小柄、矮躯わいく、ちっぽけ、ミニ、リトル…)))

(な に 急 に!?)

(((いえ、何だか「低身長」の類義語を、羅列したくなりまして)))


 毎度のことながら後ろから刺される。カンナぁ?俺は恩もオンも根に持つぞお?


 という脳内のちょっかいは置いといて、

「え、えっと、あっちに寮長が居るんで、その人から色々聞いて下さい」

 そういう事を、ちょっとビビった様子で言われた。

 周囲からも、警戒の籠った視線をバシバシ感じる。

 さっき俺と話した二人が立ったと思ったら、抱えてるカバンを汚れでも落とすようにこすりながら、隅に置いてある家電のスイッチを入れに行っていた。

 目を凝らして見れば、三都葉製の空気清浄機だ。

 ふーん、そう来るかあ…。

 俺ってば顔が広い。

 

(((この分だと、学年中に顔が知れるのに、一月も掛かりませんね)))

(なんせ2、3割くらいの人は、もう知ってるだろうからな)

(((良かったですね?お望み通り、有名人に成れましたよ?)))

(俺はポジティブな感情をお届けしたいの!エンガチョされるのは心外だからな!?)


 悪名は無名に勝ると言うが、俺にとっては悪名こそやめて欲しいところはある。

 元々「向こう見ずの馬鹿」って悪名でバズった件についてどう思うか?

 ………見逃していただけると……。

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