表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第十五章:見てよこの層の厚さ!アツアツだぞ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

592/981

400.もはやこれまで part2

「意思決定に引っ掛かった、“優雅”というブレーキ。それが外せなかったから、あなた達は負けるの」


 まさしく強者ツワモノ揃い。

 貴族の矜持に相応しい、最高級のパーティーだった。

 6対6の力押し勝負になっていたら、勝てていなかった可能性が高いだろう。

 特にブリュネルが彼らと共に戦っていれば、戦場のほとんどを敵の魔法攻撃で埋められるという、阿鼻叫喚の地獄絵図だった。


 が、最初にQ(クイーン)K(キング)という主要二つが隔離され、そして閉じ込められた本人達が、相手を過小評価した。


 魔力切れスレスレを攻めながら、壁に穴を開けるか訅和を気絶させるか、その勝負はもっと早くに行われるべきだった。

 だが初め、彼らは余裕綽々を崩さなかった。

 胸を貸すかのような態度で、敵のやり方に付き合ってしまった。


 何故なら、そうしなければならなかったから。

 

 彼ら貴族は、優雅に、鷹揚に、相手を見下す。

 彼らの許には絶対がある。

 せこせこと焦ったりせず、その余裕で格の差を知らしめなければならない。

 でないと、人はすぐに畏敬を、畏怖を忘れるから。


 彼らは貴族であるが故に、丹本パーティーを超える強さを持っていた。

 

 そしてこれから、貴族であるが故に、負けるのだ。


〈このペテンを解けええええええ!インチキだ!勝ったのは私達だあああああああ!!〉


 バヤルドゥーがトロワを背後から攻撃しようとして、見えぬ魔力の爆発で膝を折られ、狼と水を得たシャチが2体でその前に飛び出し、押し返していく。


〈どけええええ!このっ!ブルーノさま!まだ負けておりません!我々はまだっ!ブルーノさまあああああ!!〉


「………このような、戦術とも呼べん、奇をてらっただけの……」


 ブルーノ・ル・ブリュネルは、忌々しげに眉根を寄せるも、やがて言葉も無くなったとでも言うように、盾と剣を攻撃態で構える。

 トロワは螺旋状の剣を、アーマーの左袖に擦りつけ、汚れを削り落としてから、涼しい顔で腰を落とす。


 味方を頼るようになって、彼女は丸く、弱くなったのだろうか?

 いや違う、彼女はそうは思わない。

 手段を選ばなくなったのだ。

 言い訳を差し挟まず、全力で信念を貫くようになったのだ。


の国では、これが、こんな下品な、美しくないやり方をする連中が、普通なのか?」

「馬鹿ね。『普通』じゃないから、並より遥かに良いから、ここまで登って来てるのよ」


 普通なんて言えないくらい優れているから、

 好ましいから、

 だから彼女は、彼らと歩調を合わせる事を選んだ。

 彼らとなら、負けてもいいかと思った。

 そこまで思えたからこそ、過去一番、


 

 勝ちたいと欲していた。



 互いに目の前の敵に集中しており、馬、狼、シャチの動物大乱闘すら聞こえていない。


 ここで後ろから撃てば、ほぼ確実にブリュネルを倒せる。

 それが分かっていても、進はそうしなかった。

 必要が無く、何より無粋だからだ。


 麗人の口笛が混じったような、か細い風が二人の間でいて、

 

 全く同期するように同じ刹那で踏み込む!

 

 ブロードソードを振り下ろしながら        剣が展開し布丈になって

バックラーで相手の突きを外に払う!   鋭い突きを放つ!

間合いを伸ばした斬り下ろしは  確かに彼女の肩口から心臓までを通過する!

 竜胆色の剣が盾に張り付くように逸れつつ   中ほどから別れ

                その先端が分離、

     ブリュネルの左胸目掛けて

突き刺さる!

 

「ぐぶっ!」


 それで体が後方に押され、剣筋が狂い、トロワの骨の半ばで青紫が止まる。

 互いに硬直は一拍もしないうちに済ませ、


「うおおおおおおおおおおッッッ!!」

「はああああああああああっっっ!!」


 ブリュネルは再度重心を前に移して剣を押し込みつつ先端を爆破。

 トロワは刃の根本側を盾に絡ませ剣先を相手の懐に入れ、竜胆色の傷口に重ねづき


 またもシンクロするように後方へ吹っ飛び、二人ともが次の一撃を続けようと相手へ歩を進め、そのまま前のめりに倒れた。


 試合終了のブザー。

 

「お、おのれえ……!」


 この同時脱落によって、フランカパーティーは全滅。


「当方が、土を舐める、などぉ…!」

 

 勝者、丹本パーティー。


「訂正するわ、大人しく」


 トロワは草と土で出来た柔らかなベッドの上で、風を頬に感じながら目を瞑る。


「剣は、あなたが上。認めるわ、私の負け」


——けれども、


()()()()()ね」


「この屈辱…!必ずや…!」


「あらそう?じゃあ、教えておくけれど」


 能力がどうこうではなく、

 心機一転、気持ちの問題として、

 彼女は魔法の呼び名を変えた。


「“強き牙を放つ匕首(キャラッド・コーグ)”、覚えておきなさい。それじゃあまた来年ね?『よく吠える挑戦者』さん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ