表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第十五章:見てよこの層の厚さ!アツアツだぞ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

583/983

392.怖いか?これがトロワ先輩だ、震えろ

「訅和とか言う小娘は」


 準決勝開始2時間前。

 

 それぞれの選手団が、顧問や不参加メンバーといった関係者と顔を合わせる事が出来るロビー。

 今回の編成の最終確認や、先生やトロワファンクラブ後輩ズ等による応援、などなど諸々気合の入れ直しをやっていた所に、彼は来た。


 フランカ代表の一人、お口ワルワル通訳イケメン君である。


「私がどうかしましたかねぃ」

「念を押しておこうと思いまして。当たり前の話ですが、お国柄なのかマナーには疎いようでしたから」


 訅和さんは、今日はムッとするような様子もなく、余裕綽々で彼の前に立って腕を組み見上げる。


「ビビってるんですかねぃ~?言いたい事があるなら、前置き無しにどうぞ~?」

「あれだけ大口を叩いたのだから、逃げないで下さいね?当然、参加するのでしょう?」

「えぃ~?相手パーティーに、参加メンバーの談合のお願いですか~?マナーがどうとか言ってますけど~?そちらこそプライドとか無いんですか~?お貴族様々(さまさま)~?」


 イケメン君は、形の良い眉を片側だけピクリと震わせる。


「やはり、礼儀がなっていませんね。私達が“貴族”である。そこに重責と特権が発生する。その意味を、私達の役回りを、まるで分かっていない。この分では、教育の質も推して知るべし、でしょうか?あなた達、時代遅れの負け組だけにしか通じない言語で書かれた、三文小説を読ませる授業時間を削って、フランカ語や上流でのマナーを躾けるべきでは?」

「“特別”とか“貴族”とかって偉ぶってるクセに、行動も口も軽いんじゃあ、ありませんかねぃ~?どっちのフォークから取るか、とかより先に、アンガーマネジメント学ぶ事をオススメしますねぃ~」

「まあ、その物知らずも許しましょう。よく吠える挑戦者に現実を教えて差し上げるのも、我々貴族の役目の内と言えます」


 そこまで言って満足したのか億劫になったのか、鼻で笑って毛先を指で弄りつつ去ろうとするも、


「ちょっとあなた?」


 トロワ先輩に横から呼び止められる。


「なんでしょうか?元貴族家出身の無名世間知らず娘さん?」


「あなた、コンタクトレンズとか使ってる?」


「………?」


 これにはイケメン君だけでなく、その場の全員が「何言ってるんだろう……?」って困り顔。


「私は、裸眼ですが……?」

「あらそう?てっきり傷でも入ってるものかと。念の為、後で眼球を洗っておきなさい?ゴミが入ってる可能性が高いわよ?」

「あの、何が仰りたいのでしょうか?」

「あなたの目が曇ってるって言ってるのよ」


 急にストレートパンチが来て、またしても彼の眉根の距離が微減する。


「ここにきて、謂れのない侮辱ですか?」

「謂れならあるわよ。どうしてそんな、何の変哲もない子に夢中になっているわけ?このパーティーを取り沙汰するなら、まず最初に注目すべき大人物が居るでしょう?」

「はあ、あ……?」

「そう、私よ!」

「はあ……はあ……?」


 おっとイケメン君、トロワ先輩(ぶし)は初めてか?

 それは対策が足りてないんじゃないかな?

(((どうしてそこで、あなたが得意気になれるんですか?)))


「まあ!今更遅いけれど!もう何を聞かれても、何も答えてあげないわ!まず真っ先に私の所に来れば、考えてあげなくもなかったと言うのに!」

「順番がどうあれ敵に情報を売ろうとするな脳筋!」

「っつーかパイセンが出んの確ってる流れになんじゃん。バチクソ迷惑」

「暴露系ー……?」

「そちらのお仲間が、何か仰ってますが?」

「私に声が集まるのなんて、いつもの事ね!」

「「「「「キャー!トロワセンパーイ!!」」」」」

「この人は大丈夫なんですか?」

「私に聞かれてもねぃ」


 フハハ!

 こっちにはニークト先輩とトロワ先輩という、顔デカ二枚看板が居るのだ!ナメて貰っちゃあ困る!


「今オレサマに流れ弾が行かなかったかジェットチビィ!」

「俺は何も知りません」


 トロワ先輩はビシっと人差し指を向けて、


「あのブリュネルとかいう恥知らずに伝えなさい!政治闘争が得意な家みたいだけれど、剣なら私の方が強い!そう——」


——絶対に!


「そうだそうだー!」

「トロワせんぱいに酔い痴れろー!」

「見てろよ!びっくりするからな!」

「あ、まずい、先輩が素敵過ぎて眩暈が…!」

「かっとばせー!」

「こっちの先輩すんごいんだからねぃ!」


「ススム君とこもりちゃんが自然に混ざってる……」

「「はっ!?いつの間に…!?」」

「こっちが聞きたいのだけれど?」


 トロワ先輩の注意がこっちに移った隙に、付き合ってられないとばかりにイケメン君は去ってしまった。

 挨拶も無しなんて、とか言いたい所だが、こっちのコントに付き合わせた自覚もあるので、ビミョーに責められない所はある。

 

「じゃ、みんな!気分が高まってる所だし、折角だからアレ、今やっちゃおっか!」

「アレ…?ああ、“アレ”ネ……」

「うん!勢いは大事だ!」

「イェア…!付き合おうじゃネーカ」

「別に試合開始直前で良いだろうに……。まあいい。やるならとっととやれ」


 というわけで、登録メンバー12人の右手を重ね、


「それじゃあ皆さんご唱和ください!」


 ミヨちゃんが号令を掛ける。


「“特別獅子奮迅クラス”!略して“トクシ”!ふぁいとー!」


「「「「「「「「「「「オー!」」」」」」」」」」」

「オー……!」


「………」

「……辺泥ちゃぁん?」

「ワッツハプン、コマンダ?」

「いえ……前から思ってたんだけど、この掛け声、なんと言うか……」

「言うな辺泥。オレサマもお前と同じ気持ちだが、形が精神の体裁を整える事もある」

「ええ、そうね………」


 先輩方ー?

 俺にもミヨちゃんにもがっつり聞こえてますよー?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ