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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第十四章:じ、上等だ!纏めてかかってこいや!

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382.お高くとまってられるのもここまで!

「こっち…!こっちだ…!」


 火球が数発、連射される。

 曲線軌道を通る中、一つだけ直角に進路を変えている本命が混ざっている。


「当たるかっ!」


 着弾前、俺にある程度近付いたタイミングで起爆し、コーラルの火焔が行く手を阻みつつ、最も鋭く追跡できる1発が俺の前に抉り込んで来る!

 だけど俺はその檻が作られる前に魔力爆発を済ませている!

 その部分だけ火の輪が欠けている!


 燃焼には酸素供給が不可欠。

 爆発という衝撃波によって空気が押し退けられて出来た負圧状態、そこでは火をうまく燃やせない!


 スカスカの低圧になった場所に周囲から気体が流れ込み作られた風に乗る事でよりはやく飛翔し脱出!


 着地即再跳躍!

 ジェット噴射!

 加速!

 魔力爆発での力づく軌道変更!



      た瓦

     っ  礫

積み上が     や残  壁

           った を

             蹴

            っ

           て

          速

            度

              を

                維

                  持し

                   なが

                    ら

                     不

                    規

                   則

                    挙

                  動

               を

            取        ない!

          っ       まらせ

           て  狙いを定


「こっち…!確かこっち…!」


 自分で引き起こした激しい複数パーティー間戦闘と、人工とは言えダンジョンが持っている修復機能。


 それらが合わさり地形や情景はみるみるその姿を変えてしまう。

 

「そう、ここ!ここらへん…!なんだけど…!」


 少し、いけない。

 中央からの方角や位置関係で、だいたいの場所は覚えていたのだが、ちょっと離れている間にガラッと変わっている。久しぶりに降りた駅の内装がオシャレになってた時みたいな戸惑い。

 あの時に居たのが何処だったか、それが特定できない!


「まっずぅぅぅい…!」


 道端に居た誰かの眷属を爆破しながら眼球をコロコロ動かし続ける!

 だが上から新たに何かが降って、下敷きにされてたら見つけられない!

 全霊探知は、使うと頭グルグルするから、この後も長い事を考えるとやりたくないんだよなあ………。

 こういう時、遠隔でコアを起動できるような仕掛けが……ギャンバーだとレギュ違反だからどっちにしろ使えないけど。


「どこ行ったー…!?おーい…!?掘るしかないのかー…!?」


 ワイバーンは高度を保って焼夷爆撃を継続!火球で周囲の建物を燃壊ねっかいさせる事で俺の足場になり得る物を減らしていく!

 その背に虫の翅のような、白い器官が二つ。多分別の人の魔法だ。

 あれほどの変身魔法を続けているのに、魔力切れを起こさない、その理由があれなのだろうか?だったらやっぱり、避けているだけじゃ不十分。ちゃんと叩き落とさないとだ。


 制空権って本当に強い。

 あんなに高くて遠い相手に触れる手段が無いと、一方的な塩試合が簡単に作れるし。


 火球が今度は4×4の16発に分離して降って来る!

 うち1発にあの炎蜥蜴が混ざってる!

 魔力弾を高射砲のように連発してできるだけ撃墜!

 弾幕に開いた穴を抜けようとするも残った数発が軌道を変化させ追尾!

 俺はわざと止まって引き付け、着弾直前で魔力爆破を叩きつけながら連続バク転!

 俺がくるくると移動した後に焼け焦げた軌跡が彫り付けられる!

 最後の1発からスマルトの爆炎が上がり俺を包み込もうと全方位から回り込むが魔力爆破で酸素を飛ばしてやる事でその勢いを強制鎮静させる!


 近くのコンクリート片の山から飛びだす魔法生成体!

 ピンク色に四角い耳の猟犬!

 その子は口に咥えた物を俺に慣性で投げ渡す!

 キャッチ!

 ダンジョンケーブルとその巻き取り機構を腰に装着し直す!


「さんきゅーブラちん!」

 

 耳を振って消滅する彼または彼女に親指を立てつつ、自分の足の下で魔力爆破を起こして大跳躍!「助かったよ!」空中に見えない足場を配置しそれを蹴り渡る!


 ワイバーンは口を開き、その牙の先に火球を新たに生成。

 しかしそれを一度に撃ち放つのでなく、細かくエネルギーを取り出して小さな炎弾としてばら撒いた!

 朱い雨が土砂降る事で空中の魔力塊に当たり足掛かりを残らず処理!


 ゴキブリに向かって殺虫剤を噴射し続けているかのような必死さ!

 どうしても俺に近寄って欲しくないと見える!

 

「でもゴキブリって飛ぶんだよね!」


 ケーブルを横に伸ばす!

 通りすがりにその先を持って行く影!

 四角い耳を生やした鋭角三角形!

 狩狼さんの合体猟犬!


 引っ張り上げられながら炎の嵐を抜ける!すぐに魔力塊を空中に並べて踏み飛ぶ!ワイバーンは火炎機関銃の銃口をずらしながら遠ざかろうと羽ばたく!


「どうだっ!どっちに飛ぶか分っかんねえだろっ!?」


 俺と狩狼さんのこのやり方は、アイディアはあったものの練習はほぼ無し。

 互いが互いの動きに合わせるなんて出来ず、思うように飛ばず、だから次の移動先は「俺にも分からんっ!」


 猟犬を見ても、俺を見ても、予測出来ない!


「当ててみろ!その下手クソな鉄砲で!」


 数撃って解決出来るならいいけどね!

 

 ワイバーンの炎は軌道を少しは変えられるみたいだが、こちらの連携もクソも無い行き当たりばったり飛行に振り切られている!


 とうとう撃ち落とすのを諦めたらしいそいつは、尻尾に炎をそうてんしケーブルを焼き斬らんと横に薙ぐ!


「巻き取りィッ!」その予備動作を察知した俺はケーブルを縮め「離して狩狼さん!」猟犬の口から解放させる!


 巻き取りの勢いも乗せた慣性加速で横一閃を上に避けつつワイバーンを見下ろせる座標に!


「ヤッ」背中に魔力を集め、「ホォォォォーーーー!!」爆破と噴射で飛竜の背に足をぶっ刺す!!


〈ボゴオオオオオォォォ!?ォォォオアアアアア!!!〉

 

 そいつが衝撃で海老反りになっている間に背中の白い翅を砕き割る!

 魔力爆破を繰り返して纏おうとした炎を払い、足掻くように上へ浮く力、揚力を発生させたのと合わせて上から再度踏みつける!


 体を裏返して振り落としてくるが一手前の時点でケーブルを首に巻き付けているから完全に離れられない!


「つれないなっ!もっと付き合えよっ!」


 チンへの打撃が人間と同じように効くのは実証済みだ!

Wooooo(大詰めえ)ooonnnn(ええええ)!!」

 炎鎧えんがいがケーブルを焼き千切る前に魔力弾を頭に叩き込みまくる!

 巻き取り機構作動!

 クラついたワイバーンが瞬膜で守る前に人差し指と中指を並べて伸ばし重点強化する事で火かき棒の如き硬さに仕上げてから眼球に突き刺し、内から膨らみ破るような魔力ジェット噴射!痛みに叫んで開かれた顎を両方向に蹴り折って力のままにこじ開けてやる!

 口内で自爆特攻的にコーラルえんを点火しようとしていたところを爆風鎮火!

「狩狼さぁん!」

 大声で呼べばピンクの合体猟犬が待ってましたと口にホールイン!喉笛をかっ喰らう!


 突き刺し、削り進み、流血の代わりにコーラルの火花を散らしながら奥へ奥へ奥へ!


「獲った!」


 てんかん発作のように喉が詰まった響きを吐いてから、変身が解け、女性の姿に戻りつつ落下。


 一応地上まで運ぼうと近付いたが、モノクル型ゴーグルに覆われてない方のナマの青目と、唇を咬み裂かんばかりに歪んだ口元で、こっぴどく拒絶されてしまった。


 よく分からない言語で何か言ってるけど、呪うような声からして、理解しない方が精神衛生上良いヤツだろう。


「気をつけて」


 一応そう言って、無事地上に着けるかを最後まで見守る。


 医療班の人達も下で待機していたから、幸いにも万が一は起こらなかった。


「カミスムー…」


 魔力を利用してゆっくり降りる俺を、狩狼さんが出迎えてくれる。


「おつー…!まじバチボコに神ー…!」

「こちらこそ、」


 上げられた右手に俺の右手を打ち付けて、ハイファイブ。


「ありがと、本当に」

「おけおけー…、任せんしゃーい…!」

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