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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第十四章:じ、上等だ!纏めてかかってこいや!

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375.みんなよくそんな所まで考えられるよね……

 訅和さんから言い出した事だ。


 今大会から予選のやり方として選ばれた、バトルロワイアル方式。

 参加できる国が増えて行き、大きくなり過ぎたU18ギャンバー大会。その開催日数や試合数を絞り、収支を改善する事が目的だ。


 だけど、大きな批判点として、複数のパーティーが示し合わせて数的有利を得る、「談合」行為の防止策が不明瞭、というものがある。


 訅和さんは、今回高確率でそれが起こる、そしてその共通の敵に使われるのが、俺達トクシパーティーだろうと、強く主張した。


 辺泥先輩、雲日根先輩、テニスン先輩も追随した。

 学園内の大会でさえ、俺に勝った負けたで権力ゲームみたいなのが起こって、盤外戦術が飛び交ったのだ。


 漏魔症の扱いがマシと言われる丹本でこれ。

 俺を舞台から蹴り落としたい勢力や国は()()()と居て、世界大会で活躍しそうと見るや憤死するレベルの人まで居るだろうと、そう言われた。


 確かに、当然な流れだ。


 俺は周りの人柄に恵まれてるから、楽しく過ごせているだけ。俺が強くなれた前例によって、世界の漏魔症の立場が大きく変わった、なんてニュースはあまり聞かない。

 昨日まで人とも扱っていなかった相手に、今日から宜しく、なんて、お互いに溜飲を下げられないだろう。


 「そうすべきだ」という機運が高まっただけで、社会に混乱が起こる事は間違いない。「それでも正しい事ならやるべきだ」、とかなんとか、軽々しく言える口は、もう俺の顔のどこにも落ちてない。


 佑人君事件の時に見えた進歩は、早々起きないからこその、大きな一歩だったのだ。



 感情的にも実利的にも、漏魔症の待遇改善が真実味を帯びる事を、危険だと判定する人達が必ず居る。

 それの善悪は別として、「危険である」という一点に関しては、残念だけど反論が出来ない。


 

 俺を、漏魔症を、世界最強なんかにしない。

 してはいけない。

 その共通認識の中で、団結して集団心理を強める事で、極端な行動に移す勢力も出て来るだろう。


 みんなに言われて、確かにそうだなって、俺も思った。

 少し寂しいのは、無くならないけど。


 六本木さん、ミヨちゃん、ニークト先輩といった他のブレイン枠も納得し、後の全員もそれが来る前提で頭を切り替えた。


 後はどうやって勝つか、って考えるだけ。


「数十人で来る、つってー、あるイミでバリ弱っしょ」

「よゆー……?」

「ええ……?」


 六本木さん?モンスター数十体とは違うんですよ?

 国を背負って送り出された、それぞれの最強、それが数十人ですよ?


「ってもさ、初対面じゃん。連携、ってかコミュがそもムリくね?」

「それはあたしも思ったワ。敵だけ同じでも、母国語も違う、信教も違う、目的も温度感も微妙に不揃い、ルデトロワに来て初めて顔合わせ。しかも本来はライバルとなる同士。最高のチームとは言えないわネ?」

「ちょっと難しいわよねぇ。接着剤、または潤滑油ぅ?みたいな物を挟まないとぉ、ツーカーどころか、満足な現状の共有もままならないわよぉ?」

「『アレ』とか『ソレ』とかで通じるなんて、夢のまた夢だねぃ」

「た、たしかに…!」

「たし蟹ー……」


 狩狼さんが両手でピースサインを作って、チョキチョキと指を動かす。手を上に向けても萌え袖はしっかりそのままだ。可愛い。可愛いんだけど、修学旅行の時の記憶がチラチラ過ってしまった。


「国によっては人口や教育制度の問題から、大会に本腰を入れられない奴らも居るぞ!スポーツより先に現実の戦場に割きたい、という奴らがな!」

「そういう国のヤツはオフコース、ちょいとダウングレードなのが来るしかネエノサ。『セチガライ』、ってそういう意味ダロ?」


 それも、確かに。

 イフリの人達とか、“不可踏域アノイクミーヌ”が近くにあって気が気じゃないから、スッゴイ能力の若手が居たって、こっちに寄越す余裕は無いか。大会で万が一があって、大事な戦力が再起不能に、みたいになったら国がヤバイし。


「現状は威信やはくの為に、参加自体はほぼ全ての国がしている。ここに選手を出せないという事は、それだけ国防に余裕が無いかと見られるせいだ。国防の信頼は国の信頼そのもの!すぐに滅びそうな国の紙幣など、チリ紙にも劣る憐れな薄みに成り下がるからな!」

「でもだからと言って、本気本命全力投球までは出来ない、って事もあるんですね……」


 さて、彼ら談合組が、割と「烏合」って言ってもいい練度っぽいのは分かった。

 まあ現場でインスタントに結成した同盟なんて、そんな物なのかもしれない。

 ただそれでも、数は脅威だ。

 その有利を、どれだけ俺達が潰せるか。


「いっちゃんよいのは、あれっしょ!」


 六本木さんの提案は、基本を教える教師のように為された。


「連絡網遮断!TELLナシ!はいコレ一発KOガチヤバ」

「そうなるよね。私もその方向で考えてます」

「右に同じ~」

「それ正解ー……」

「それがいいと僕も思う!」

「このルールに慣れてないのは、向こうも同じ。その中でいきなり大規模パーティー行動をしようって言われても、分からない事だらけになっちゃうワ。敵はパーティー単位運用で、その中の一つを頭として決めてくるしかないでしょうし、だったらあたし達は、それを潰しちゃえばいいだけネ」


 これまた確かに。


 彼らのガチャガチャ連携を繋ぐ物は、俺への敵対意識と、魔法能力だけだ。

 特に数十人単位を一つの統制の下で動かせる能力となると、著しく限定されると思う。一人で全部賄えるならそれだけで「スゴ!」ってなるし、複数人でやるとしても、別々のパーティーから指揮官一人ずつ、とかやると死ぬほど面倒臭くなる。


 一番伝達に便利な能力を持ってる人がいる、特定の一つのパーティーに指揮役を任せて、他はその指示の下でパーティーごとに動く。そういうシステムを構築するだろう。


 っていうことは?

 そう、そのパーティー一つ倒すだけで、連合軍はガチャガチャからズタボロのバラバラになってしまう、というわけなのだ。


「ただそれはあっちも承知の上だし、そこをどうするかだよね」

「そこはまー、アドリブっしょ。あーしがなんか考えるし」

「頼もし過ぎるお言葉」

「はっはっは!アドリブか!腕も胸も高鳴るなあ!」

「うむ!要はとにかく一番痛い所を殴って殺せば良いんだな!ワガハイの得意分野だ!」

「この男作戦分かってるのか?おい!腰抜けシャチ!」

「その時の出目次第ネ」

「虎次郎先輩ってギャンブルなんだ……」


 

 

 この話し合いがあって、談合が実際に発生してるか見極められそう、一対多で強そう、長期戦に有利そう、フィールドの状態に左右されずアドリブ強そう、といった要素を総合して優秀っぽいメンバーを集めた結果、俺、ミヨちゃん、訅和さん、六本木さん、狩狼さん、亢宿君の6人となった。


 そしたらなんか、ど真ん中の一番デッカいビル——の死骸——に通されるし、同じビルに同居してしまった別の階のパーティーに損耗無しで勝った後、俺の魔力探知とアルパカ人形の遠視で不自然に戦闘が穏やかな方向を見つけるし、更にそっちから別々にではあるけど挟むような形で近付いて来るパーティーが5つ以上確認出来たし………


 あー、本当に不正ってあったんだな……と、残念な気分になってしまった。


 最終的に、亢宿君が下の階の柱に種を植え、屋上まで大樹で貫通し、俺が魔力探知で敵の接近を検知。

 「来る!」となったら大木が作った穴を魔力爆発とジェットを使って昇って、それを合図に敵の急所、司令部がありそうな所へこのビルをはっ倒す!という運びとなった。

 

 因みに俺達が狙った先は、西側の中くらいビル。怪しい奴らがそっちから来てたのもそうだけど、人が居れるそこそこの高所があって、指揮にも狙撃にも最適そうだったのが決め手だ。


 そりゃ堅実な防衛策の為とはいえ、持ってる火力腐らせたくないよなー?

 一応魔法に何かあった時の為に、自分の目で見れる所にするよなー?


 高い所、行きたくなってるんじゃないのお?

 ナントカとネコみたいにさ。

 じゃあビルの高層階に居るしかないよなー?




 こうして、俺達のアドリブの集積である作戦、ドウワ・コンクリート・ジェット・カタパルトが完成した。


 このアイディアが誰からともなく出て、その場のノリで詳細と名前が詰められてた時、狩狼さんはこう言った。


「かしこー…!天才ー…!」


 かしこい。


 ………かしこい?

 かしこいかな?

 あれ、かしこいかこれ?

 むしろ馬鹿じゃないか?

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