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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第十四章:じ、上等だ!纏めてかかってこいや!

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373.分かりました!耳を揃えてきっちり返しときます!

『攻撃!』

『ディフェンダー・ワン、トゥ各位!』

『やってる!』


 中に潜んでいる魔力の気配が、突入班の魔力爆破に対抗するように大きく揺らぎ膨らんで、それを察知した彼ら全面エントリー6パーティーは守りを固めた。


 防御を主体とする特色のパーティー、ディフェンダーに任命された者達が前に立ち身を挺し、攻撃を受けつつカウンター気味に一気に押し入り、魔力なり魔法なりの操作で注意力が多少なりとも散漫になっている敵の使い手に、全周圧迫殺をお見舞いする。


 こういった場合に取る択を事前に決めていた彼らは、防御を構えようと足は止まらなかった。

 示し合わせと思われないよう少しだけタイミングをずらして踏み込んだ彼らの内、西、つまり司令部側の者達だけが、それをぶつけられた。


 萌黄色の根。

 ビルの支柱に巣食っている。

 それが生長し、あるものは先で突き刺すように、あるものは丸めた側面で打つように、彼らへ伸び出された。


『こちらディフェンダー・トゥ!会敵エンゲージ!魔法色からしてアミボシからの攻撃と推定!』

『オペレーター・トゥから第二隊へ!第一隊には激しい妨害無し!攻撃は続行!くれぐれも根を張らせるな!シールドもアーマーも突き破られるぞ!どこかに種が仕込まれている!それを破壊しろ!』

『ディフェンダー・トゥ!やっている!そんな命令が無くとも!』

 

 彼らの一人が生み出した大量の褐色蛆虫が根に纏わり付いて自らを石化する事で敵を固着させる!

 更にその内の一部は柱に付着し食い進む事で魔法生成植物の源たる種子を掘り当てようとしている!

 

『オペレーター・トゥから第二隊!第一隊からの報告によるとその階に本体はいない!各フロアに罠を仕掛けて上階に籠城していると推測される!』

『面倒だな!一番上まで天井ぶち抜くか!これは!あ!サポーター・トゥな!昇る奴と追撃のフリして穴開け係やる奴で役割決めて!』

『アタッカー・トゥ!いっそのこと最下層の柱を全て破壊して、階を一個ずつ撤去する改装工事をしてやる、ってわけにはいかないだろうか!?』


 一人が両掌に火球を生成。

 撃ち出して一本を燃やし、再度生成しブレードの形を作り根元に深々と刺し込んで熱膨張も使う事で内から溶解させる!


『焦って飛び降りてくるかもな!乗った!あーつまりサポーター・トゥはそれに乗ったから!』

『ディフェンダー・トゥ!こちらも——』


 と、巻き絞めるように根を這わされていた柱の一本が、内側から派手に散発さんぱつ

 種子から生成されている萌黄色が砕き折った!


『なん!?…か分からないが敵が柱を破壊し始めたぞ!おい!サポーター・トゥだ!』

『敵から?』


 ビル崩壊から離脱する際のゴタゴタと、その時地上で発生し巻き上げられる粉塵ふんじんえんに紛れて、行方を有耶無耶にするつもりか?

 

『オペレーター・トゥから第二隊へ!一度外に出て衝撃に——え?』


 その時オペレーター・トゥには、第一隊を率いるオペレーター・ワンから、意外な報告を上げられた。


 アミボシの魔法による、どころか、なんの攻撃も罠も、第一隊の方には用意されていない。

 交戦は、片側だけでしか発生していなかった。

 時間稼ぎというだけの為に、どうしてそんな偏った、西から攻められること単賭(たんが)けのような、危険な橋を渡るのか?


 否、賭けですらない。

 25パーティーが争うこの戦場では、あらゆる方角から敵が来るのは必至。


 全方位に置いておけば、ほぼほぼ必ず役に立つ。

 やらない理由が……


 第二隊達の耳に届く破砕音!

 が、今度は少しくぐもっている!

 少し遠く、何かが挟まり隔てられているかのように…

 

『上だ!』


 それで彼は思い至った。

 その言葉が蘇らせた。


『こちらサポーター・トゥ!上の階の柱がぶっ壊された!奴ら本気でこのビルを、』


 西側から進行している第二隊。

 そちら側にだけ仕込まれた魔法。

 岩をも砕く根。

 中央のビルから第二隊を見ると、その背後に司令部がある。


 だったら、


『第二隊撤退!司令部まで走れ!』


 その手が一番。


『奴らビルを()()倒す気だ!』




——————————————————————————————————————

 



「よし!3階まで破壊したぞ!そろそろ来たんじゃあないか!?来てるんじゃあないか!?」

「あ!これ倒れる!これ倒れるよ!」

「エグいってー…!下見れんー…!」

「みんなしっかり掴まってね!」


 足場が傾く!

 空が青さを増す!

 水平な目線で見上げる形になりつつあるから、広がったように錯覚してるだけかも!


 流石は亢宿君の瞬間成長植物魔法!

 いつぞや戦ったマフィアと比べても、威力が明らかにおかしい!

 魔法一つで下の階の足止めと支柱破壊を全部やっちゃってるし、屋上からだから射程距離もアホ程ある!


 味方で良かった!

 って言うかトロワ先輩、校内大会の時この人抑えてたってマジですか!?


「ドウワ!カミザ!よろ!」

「りょ~!」

「遊覧飛行はプロに任せれば万事解決!」

「やめなー!?今ので不安カチ盛りなんですけど!」

「マジエッグー…!マジたまー…!」


 ミヨちゃんが俺以外4人をリボンで引き寄せ、訅和さんは完全詠唱態勢に入ってる!

 発射準備完了!

 そして地面は垂直に近付いて上と横が引っ繰り返って「跳ぶよおおおおお!」

 ミヨちゃんが今や壁になった床を蹴って水平跳躍!


「“我が家へようこそ(オイキュメニステ)”!」


 訅和さんが完全詠唱を成立させて白い立方体で全員を包む!


FLYYYYYY(飛ぉ、べえええええ)!!」


 いつも通りに空を渡る俺が、魔力爆発によって加減速や角度調整を行い、狩狼さんが予め発射していたブラッドハウンドが示した場所へ、二・三回の爆破で先んじて壁を破損させつつ右肩タックルで立方体を叩き入れる(ダンクシュート)アリガト(ダンケシェーン)!言ってみただけ!(((減点ということで)))ゴールに入れたのに!?


 って冗談を今は忘れて、


ずごおおおおおおオオオオオオオ……!

ず、うううう、ぅぅぅぅぅぅん——!

 

 ゆっくりとビルが押し倒れ、腹から飛び込まれたプールみたいに、砕けた地面が高波を打つ!

 土砂を含んだ重い風が、方々に破片を舞い上げる!

 多種の魔力がアラームランプのようにチカつき、蜘蛛の子を散らすように退走たいそうしていく!


 巨大質量横転の混乱が、俺達に自由に動く間を与えてくれた。

 敵軍総司令部に突撃おじゃましてもお咎めナシ。


 正面から来たし、ノックもしたし、無作法とは言わないよな?


 人手はいっぱい足りてるわけだし、


 どんな大掛かりなお持て成しを用意してるのかなー?


 楽しみだなあー?

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