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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第十四章:じ、上等だ!纏めてかかってこいや!

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355.え、あ、そういう感じ?まあ慣れてるからいいけどさ part2

「Hey, Jipanese!」


 笑いの余韻を引き摺りながら、リーダーが俺を呼ぶ。

 そして両手の人差し指と中指を伸ばして口に入れ、左右の頬を真一文字に引っ張って、


yeiiiiii(イィー)!」


 歯磨きのお手本みたいな顔を作った。


「?」

yeiiiiii(イィー)chiiiiii(チィー)nyiiiiii(ンニィー)!」

「????」


 首を傾げて見せても、なんか内輪で頭をはたき合う、どつき漫才みたいなノリをやるだけで、特に説明してはくれなさそうだ。


『あっ』

『あっ・・・スゥゥゥゥ・・・!』

『クリカスさあ…』

『えー、クソです』

『センシティブネタやめてね』

『ススム、そいつら敵だ』

『今すぐ逃げろススム』

『やっぱりな、俺はどうも信用ならないと思ってたんだよ』

『後出しじゃんけんニキは今座ってて、それどこじゃない』

『人種差別先進国がよ…』

『に、丹本も人の事言えんから…』

『“一部の人”だけらしいから…()』

『刺青入れたら普通に親に泣かれる定期』

『さっきまでクリスティアの素晴らしさ語ってたヤツ、冷えてるかー?』

『っぱ墨入ってるヤツはダメだわ』


 しかもコメント欄が変な加速を見せる。

 内容はと言えば、ポジティブな盛り上がりって感じではない。

 有り体に言えば「荒れ」かけている。


「ちょっ、皆さん?大丈夫ですか?どうしました?」

「Hey!」


 ススナーにワケを聞こうとしたが、その前にリーダーが端末をこちらに向けるのが速かった。


『すいません。よく聞き取れませんでした』

「え?あれ、もう一回言った方が」


 地面に何かが叩き捨てられ、踏み潰された。

 俺がさっき渡したドーナツだ。



『本日の収穫の半分、それで良かったでしょうか?』



「うぇえ?」

『よろしいですね?』


 さっきまでコア回収に回っていた人達が、みんな立ち上がって俺を向き、魔具だとか銃器だとかを向けている。


『すいません、返事が良く聞き取れません』

「うあー……」


 下顎の力が抜けた状態で、キョロキョロと見回した俺は、


「そういうこと?これもしかしてカモられてます?」


 取り敢えずコメント欄に見解を求めた。


『はい』

『うn』

『ええ、まあ』

『カツアゲされてますね』

『こーれ黒です』

『教えてあげようススム!さっきそいつらがやってたギャグは良くないんだ!央華語によくある発音と「とりあえずニヤニヤしててキモイ」っていうステレオタイプを合わせたサベツパフォーマンスなんだ!』

『サンキュー解説ニキ、ふぁっきゅークリカスドブカス』

『ススム、久々だな、お前が配信上で他ディーパーに喧嘩売られるの』

『低ランク狩りのおっさんってどこにでもいるんやな』

『むしろ治安は悪いってあれだけ』


「えー…?困ったな…」


『困ったなじゃないが』

『ススム、軽くない?』

『ススム、危機感ぶっ壊れてないか?』

『深級深層経験者の余裕』

『まったく響いてねえ!』

『今ドギツいヘイトを受けてんの分かってるかススム?』

『強者ムーヴやめろ』


 いやね?顔が良く見えないせいで、馬鹿にされてるのに気付くの遅れたのは、まあちょっと「たるんでるぞ」案件なんだけどね?

 見縊られるのは今更だし、逃げようと思えば普通に逃げられるし、そんなに大変な状況でもないし……


 ドーナツを台無しにされたのは悲しいけど、触れた物を捨てられる経験なら、小中学校で通った道だ。

 俺の消しゴムが「ローマン菌」とか言われて、触れたらアウトな鬼ごっこの道具にされ、キモイ虫みたいにキャーキャー言われて、クラスの中であちこち押し付け合われてた記憶も………本気で悲しくなってきたからこの話やめようか。


 要するに、最悪実力行使も出来るくらい、包囲がなってない、って言いたい。


 カメラを破壊しようとチャンスを窺ってるのがいるから、そいつからは目を離さないようにしないといけないけど、それ以外は立ち姿から隙だらけで脅威を感じない。モンスターと比べるとまだまだ可愛いくらい。


 ただ、変に騒ぎを大きくして、出禁とかにされて、「素行不良者」として免許返納とかになるかもってのが、ちょっと怖い。クリスティアはダンジョンの管理が厳しめなので有名だし。


 どうだろう?別に稼ぎ自体には余裕あるし、あんまり惜しくもないから、言い値を渡してもいいかもしれない。衝突を避ける方向で行くか。


「うーん。まあ迷惑を掛けたのは本当ですし、払う物払って見逃して貰う方向で——」



「ちょっとちょっとちょっともう!なぁにやってんのかなぁこれぇえ~!」



 驚いた事に、その声は丹本語だった。

 俺の前に並んでいたパーティーが、一斉に後ろを振り返りながら、割れるようにして発信源から遠ざかる。


 立っていたのは、白いフルプレートアーマーを引き連れた、白ベースに水色光沢が入り、双頭の猛禽のロゴが入ったジャンパーを羽織る、ヘソ出しホットパンツのお姉さんだ。

 凍った大河の如きウォーターブルーの長髪は、頭から腰まで体の右側に寄せ上げられている。ギザギザして斜めっている前髪の下、雪原にも見える白肌は、暑い赤らみを内から湧かせ、青い目は半分程目蓋に隠される。赤いリップがしっかり塗られた口に、スキットルの先を挿して喉を蠕動させているのを見るに、


 この人飲んでるし、酔ってる。

 

「おにぃぃ~さん方、あれだ?戦力のけーさん、間違っちゃうタイプだぁぁよねえ?よくもまあこんなに書き割りばっかりぃ……え?なにぃぃ?」


 円形のバイザー、円がデザインされたサーコートを身に着けた甲冑姿の一人が、彼女に何か耳打ちする。


「言語ぉ?いーでしょべつにぃー!ノンバーバルコミュニケーショォォン!身振り手振りがあれば、言いたい事は通じるよぉお!ホラぁ見てよあの、話しが通じない酔っ払いを見る目ぇ……あ、通じてない!これ通じてないわ!ニハハハハ!つーじてないよこれぇ!ぜぇんぜん話になってないよぉ~!おっかしぃ~!?ニッハハハハハ!」


 なんか一人で勝手に喋って、勝手に笑い始めた。

 まあその、丹本語話者の俺から見ても、話通じなさそうだし、英語話者から見れば4割増しで怖いだろう。


 何よりなんでこの人、ダンジョン内で飲んだくれてられんの?その神経に一番ビビってるよ?俺が。


「まあいいじゃん!こいつらってどうでも!私が話したいのわぁ……」

「それじゃあ僕はこの辺で……」

「おーいファミザスサムぅ?」

「知らない名前ですね。というわけで僕はこの辺で」

「しらばっくれるなよおいファミリー・ザ・スタブ」


 クソッ!しれっと先に行こうとしたのに凄い勢いで肩組まれた!知らんふり出来ない!いきなり低い声ださないでコワイ!ってかサッム!?肌冷た過ぎだろどうなってんだ!?あと誰だよその暗殺一家みたいな名前のヤツ!?


「アタイ、あんたの守護天使サマだよ?拝みなさいよぉ~。天使……ブハッ!ニハハハハハ!てんしだって!似合わねー!」


 だから一人で喋って一人でウケるのやめて!

 ってか酒臭っ!

 本当に誰だよあんた!?

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