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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第十三章:まずは国内!目指せ世界一!

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333.裸に剥かれてるみたいな恥ずかしさがあるな……… part1

『はい皆さん、こんススでーす。お待たせしました』


『こんススー…こんスス…?』

『いらっしゃいませは?』

『いらっしゃいませはどこ・・・?』

『いらっしゃいませがないじゃん!』

『切らしてんだよ…!いらっしゃいませくれよ…!』

『こんススって何!?何なの!?』


『ええ……?そんなに気に入られてるとは知りませんでした…。あのぉ、挨拶にも個性あった方がいいかな~って、この間思い立ったんですけど…』


『今更無理だぞ、ススム』

『1年以上言うのが遅いぞススム』

『カミザススム、既に浸透している物を、無理に変える必要は無い』

『少なくともこんススは無いと思うな!ススム君!』

『ススム君元気出して!私は好きだよその挨拶!』


『まあまあ皆さん。ちょっと一回心を白紙に戻して、生まれたままのまっさらな気持ちで考えてみてください。「いらっしゃいませ」と「こんスス」、どっちが僕らしいと思いますか?』


『分かったパンツ脱ぐ』

『パンツは既に脱いでるぞススム』

『言われてから脱ぐのは二流だからな』

『今の季節寒いから、履き直してよくなったらすぐに言ってくれ、ススム』

『悲報、人気配信者カミザススムさん、視聴者に服を脱ぐよう強要』


『いや生まれたままの姿になれって言ってんじゃないんだよ。心の話してんの。ちゃんと聞いてました?服を着ろ』


『パンツは?』

『結局パンツは履いていいのか駄目なのかどっちなんだよ』

『ススム、パンツの説明責任から逃げるな』

『パンツを脱いで良いのか?ススム』


『パンツは履け。なんで服と別カウントなんだよ。そもそも脱げとも言ってないです。全部着てください。で、こんススの話に戻るんですけど』


『靴下はどうします?脱いだ方がお好みですか?』

『分かったススム、ちょっとオシャレするから待ってろ』

『今日の俺のコーデどう思う?ススム』

『ススム、俺の家には黒い服しかなかったぞ』

『ススム、服を買う為の服が無いぞ』

『ススムのパンツは何色?ボクサーの黒?』

『服を着たのに頭が寒い、何故だススム』

『髪の話してる人もいます』

『ハゲも見てますと』

『パンツは履くとして、それならばズボンを脱ぎますが、よろしいですね?』

『謎の交渉ニキすこ』


『だから…っ!ぶ…っ!ちょっと…っ!脱線やめて…っ!ぷぶフ…ッ!笑っちゃって話進まな…っ!ブハ…ッ!はっはっはっはっ…!』


「いや挨拶ネタでどんだけ引っ張んねん!」

「んであんたは何遊んでんのよ!」


 見事なハリセン炸裂音が部屋に響いた。


 天上高校第一視聴覚室。

 天上パーティーは改めて情報の交換や整理、それを基にした対策の構築に邁進していた。

 何故そこにハリセンがあるのかと言うと………真相は闇の中である。


「いったー!?ちょ、なんや志摩子ぉ!」

「なんだはこっちのセリフ!リーダーが一人だけサボってると示しが付かないんだけど!?」

「誰がサボっとる言うねん!ワシはなあ!日魅在君の最新情報がロハで貰える言うから、こうやってしっかりリアタイで齧りついてやなあ!」

「時間が惜しい!後でアーカイブの大事な所だけ抜き出して見なさい!」

「アカン!そーゆー事言うとる奴が、大事なモン見逃して後から泣きを見るんや!ワシはそのパターンに詳しいんや!」

「どうせアニメかゲームの話でしょ!」

「アニメゲームを馬鹿にするんやない!人類文化の到達点やぞ!」

「論点が無限にズレる!まずその配信閉じろ!」


 ノートパソコンを取り上げる来宣と、ブー垂れる政十。

 一見多忙さや疲労によってピリついているようにも見えるが、実際の所はいつもの光景であった。


「お二人さぁ~ん?夫婦めおと漫才は良いんですけどぉ~?」

「「まだ夫婦めおとじゃ(や)ない!」」

「それもどっちでも良いんですけどぉ~?」

「取り敢えず奴については、一通り出揃った…」


 幾つかのキャスター付きのスタッキングテーブルを並べ、部屋の中央に設けられた広いスペース。

 その上に各種資料が整序されて並べられていた。


「これから具体的な案を出し合うに当たって、改めて全体に共有しておきたい…」

「おっしゃ、やったるでえ!」

「切り替えの速さこっわ!なんでそこは素直なのよ」

「生徒同士が仲睦まじくて、先生ニッコニコになっちゃうゼ」

「仲良くありません!」


 ともあれ、全員揃って卓を囲み、一人の怪物と向き直る準備を整える。


「そいじゃ、“奥歯ガタガタ!第一回カミザススムしばき散らかしたる会議”始めるで!」

「人聞きが悪すぎる!あと『チキチキ』みたいなノリで『ガタガタ』言うな!」

「ガタガタ抜かすな!」

「先生は『ガタガタ』って言いたいだけでしょう!」

「いえぇ~い!」

「どうやって泣かせて差し上げましょうか…?ふすすっ…!」

「毎度の事ながら不安になって来た……!」

 

 天を仰ぎ始めた来宣は放置し、極辷が資料に書かれた内容を読み上げていく。


「日魅在進、2045年…丁度零環(れいわ)元年の10月10日生まれ。AB型の天秤座、干支は甲子きのえねねずみどしだな…」

「プロフィールが細かすぎてキモいですぅ~…」

「しゃーねぇだろ。魔学の世界じゃ何にこじつけてパワーアップされるか、分かったもんじゃねーんだからよ」

「10月の窟害後の診断時で身長155cm、体重58kg、BMIは24.1…」

「標準域ギリギリね。そんなにふとってるようには見えないけど」

「筋肉は脂肪より重いですからねぇ~。外見そとみじゃ分かりにくいですけど、結構筋肉多めな体付きしてるんじゃありませんかぁ~?」


 単なる漏魔症罹患者であった時から、単身でダンジョンに潜っていた男だ。

 魔力に依らない身体能力を、他のディーパー以上の熱心さで求めただろう事は、想像に難くなかった。


「家族構成は両親と兄が一人、だったが、8年前の永級窟災で奴を残し他界…。この方向で揺さぶる手も考えたが……」

「止した方が良いと思います」


 寿の表情が固くなる。


「彼女にそれを知られた際のリスクが、大き過ぎます」

「せやな。心理戦はもうちょい、『スッポーツマンシップ』を装える範囲内で行こう思うわ」


 極辷も頷き、その手は遂に、彼の戦闘能力に関するレポートに伸びる。


「奴が持つ特性の中で、特記事項と言える点が、3つある…。

 一つ、魔力の観測が手練れのディーパーであっても困難…。

 二つ、魔力の感知・操作精度が極めて高水準…。

 三つ、単位魔力量辺りの効力が破壊的…」


「見えんリーチ、見えん爆発、おまけに見えん程速くなれる本人。三拍子揃ってまうがな」

「効力の高さと魔力配分の精密さによって、今や身体強化だけでも、中級を踏破出来るくらいの実力になっています」

「鬼神()如し」


 正面戦闘、特に接近戦は愚策。

 かと言って、


「遠くから狙えばそれだけ守られやすいし、避けられやすい」

あまつさえ、一度間合いに入った後に、逃げ遂せる事が出来ますかどうか……」

「少なくとも間違いなく、こっちのリソースを切らんといかん事になるやろなあ……」


 特に見えない爆発が厄介だ。

 逃げようとした進路上にそれを用意されると、吹き戻しによって逆に彼へと近づけられる事になる。


「これまでの映像でも、魔力爆破で危険域に押し出すという始動が、ほとんど必勝パターンになっている…」

「7月に明胤さんが開いとった大会で、エカト家のガキとやっとったのを見て来たんやが、あの魔力爆発、電流を通す道を分断しくさりおった。放電現象が起きひんような負圧を作るレベル、ってことや」

「骨が折れる程の衝撃波が、いきなり背中を叩いたりするんだから、そりゃ隙を晒すわよね」

「致死性牽制」

「んでぇ~?逆にこっちからの不意打ちを狙うとぉ~?」


 今度は魔力感知能力が立ちはだかる。

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