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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第十二章:過去はいつだって不意打ちのように顔を出す

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311.強行偵察!……で合ってる? part2

『そっちから見て2時から3時の辺りからMの一斉攻撃!正面上空からF追加!だいたい10!それと9時くらいからもMの矢が来てるっぽい!ってヤッバ!右翼の防御厚めにして!ガチ弾幕来てる!』


 アルパカ人形で遠視を獲得した六本木さんが、都度報告を上げてくれる事で、遠くからの攻撃に備えられる。が、それにしても凄い数、凄い猛攻である。M型からの曲射なんて、ほとんど雨だ。それもしっかりこちらの位置を把握している。F型が導きの灯火となっているのだろう。低くを走っていれば撃たれづらい、みたいな事は残念ながら無かった。


 が、まともに相手になるのは矢張りその二種類くらいだ。道の脇にモンスターが並べられるものの、追い縋れてる奴がほとんど居ない。

 これなら『後ろ!Cが2!』

 報告が入ったすぐ後、俺の探知範囲に凄い勢いで食い込んで来た2体!


「なんて速さ……うわっ!そう来るかっ!?」


 振り返って確認した事で絡繰りが判明!F型がC型の角に火を点け、ほとんど暴走状態にした上で直進させている!


「だが視界を失うようではなあ!」

 

 先輩の言う通り、迫力はあるがそれだけだ。

 

「次の角右行きます!こぉん!」


 ミヨちゃんの声に従い道を逸れる!牛2体は急には止まれずそのまま大通りを真っ直ぐ走って行った!


「あれじゃあ味方の矢にもやられちゃうだろうし、そこまで問題じゃないな!」

「気を抜くな!狭所きょうしょでは塞ぐ側が有利だぞ!」


 俺達の前に続々と集結するG、V、L型達を、先輩と眷属狼が引っ掻き咬み付き、俺の魔力とミヨちゃんの魔具で叩き退かして横壁にぶつける!

 倒すのは面倒で、かと言って殺し切れないと脅威度が増していく。

 だけれど、そもそも戦う気が無くて、振り切って戦闘を終わらせる事が可能なら、やり過ごし続ければそれで良いのだ!


 隣のレーンに出た所で、進路を再び本丸へ向ける!

 これを繰り返して行けば『は!?何アレ!?』

 そこで六本木さんが何かを見つける!

「なに!?何か問題!?」

『8時からデッカい波と船みたいなのが…!』

「波?船?」


 俺は屋根の上に跳んで、そこを蹴り渡りながらそちらを確認。

 本当だ…!

 巨大な水流に乗って、帆を持たない巨大木造ボートみたいな物が、俺達が目指す建物目掛けて猛進している!


「マジでなんだあれ……?と言うか、先端に、何か……六本木さん!見える!?」

『ちょい待ち!あの先っぽに………はあ!?辺泥ぇ!?』

「先輩!あれ八志教室です!」

「してやられた!オレサマ達を待っていたな!」

「私達の周囲に敵を集めて、警備が薄くなったルートを攻める、って事ですか!?」


 D型に先に到達されたら、マナーとして俺達は手出し出来ない。

 7層到に来た時点で、最深到達班の座は硬い。それ以上深掘りする意味は本来なら無い。だから無茶をせず、時間を掛けた安全な攻略をしていたのだろう。


 俺達みたいに7層到達を成し遂げて、D型に届き得るパーティーが他に居たとしよう。そういうのが追い着いて来た時にはそこを利用しつつ楽に、そして誰よりも早くD型を倒して見せればいい。

 深級8層より深く潜るなんて学生には不可能である以上、理論的最深潜行がD型討伐達成なのだ。他に並ばれても、最速が最優とされるだろう。つまり俺達は、彼らがトップを取る御膳立てをしてしまった事になる。


「やられたあ!そんなのアリかよ!」

「こうなると、あの人達がD型に負けて、スゴスゴ退却してくれるのを期待するしかないけど……」

「どういうモンスターなのか、その情報は持っているだろうな。でなければあれ程自信満々に、正面から乗り込みはしないだろう」

「じゃあ、まああの人達なら勝つよなあ……」


 俺達の周りに密集してた気配が、より強大な敵の出現に騒然となって、そちらを押さえる為に動き始めたが、もう遅いと見ていいだろう。

 彼らはその前に建物内に突入して、


「うん?」


 その時、ゴール地点の扉も窓も、一斉に開いたのが見えた。

 中からM型の矢衾やぶすまが放たれ、更にL型やC型も大量に現れて、

 

 屋根が左右に開いた。


「E゜っ!?」


 F型の群れが飛び立つ、その後から、重い地響きと共にせり上がって来る物があった。

 後光?

 いや、折り紙だ。

 金の折り紙で作られた光背こうはいだ。

 その下からは黄金色の禿頭とくとうが現れ、袖が広い朱色の着物と、黒い五条…もしかしたら七条袈裟。巨大で金ピカなお坊さんみたいなヤツだ。

 そいつが八志教室一行の方へ向いて、背負われた曼荼羅がベコベコグネグネと凹凸を作り出し、ビカビカと目が痛くなるような輝きを増して、


「なんか、なんかやばいんじゃあ——」


 幾条もの光線が発射された。


「うわっ!?」

「ビーム!?」

「と言うよりレーザーだ!恐らく光を収束させて撃ち出している!」


       近     空       時  連

       く   に 中 気     間   射

       遠 描   に   に   差    で

       く     引     焼 無     な

     十 を     か       き      く

   数   問     れ       着 付     面

 本     わ     る       弾   く    の

       ず     直       命     金   進

             線       中       色  攻



 木造船の前には水色防御フィールドが展開されたが、他モンスターによる同時攻撃にプラスしてのレーザー照射だ。耐えられずに撃ち抜かれ、金色が着弾した場所から激しく発火し、水塊の一部が急激に気化。

 そして突如下部が爆散し、船はバラバラになった。

 軽い水蒸気爆発が起こったのだ。


『ちょっ、戻って!一旦バック!命令な!』


 六本木さんの判断は正しいだろう。ちょっとシャレにならない感じだ。

 俺達3人はその場で回れ右、気持ち和らいだ敵の包囲を蹴り飛ばし、ラポルトまで帰るのだった。

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