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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第二章:高校受験ってこんなに辛いんだな…

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27.高校受験チャンネル(物理) part2

 軽い水分補給を済ませ、段々と破壊が酷くなっていく街道を進む。

 もともと曇りだったが、この階層の空は、火災によって発生する黒煙みたいなもので、一面覆われている。不吉な感じが増してきた。

 

「……結構居ますね……」


 早歩きで30分。これくらいの階層には人が多いから、再び会敵できるか不安を感じていたが、どうやら杞憂だった。

 数は……7、いや8かな?実戦経験を積む相手としては、こういう「少し危ない」くらいが理想か。

「樹上に4体……、あれみんなF型でしょうか?そして瓦礫の陰から見てるのが、M型と、GかV型?あ、でも、L型が混ざってる可能性があるのか」

 なら、下の4体へ先に仕掛けるか。L型が最優先。これは揺るがぬ鉄則だ。

 そう決めて一歩踏み出した俺は、

 

 不穏な痛みと動作を感じて直ぐに左腕を前に両腕を交差させながら横に跳ぶ。

 ドン!ドンドドン!4回!時間差で、そして俺の回避先を潰すように4点!

 最初の一発が右に跳んだ俺の脇腹を掠め、しかし先回りしたもう一発を避けることができずに、ガードしたその正面から突き刺さる!コアを動力とした防御膜を喪失!

「ぐぅうっ!」

 動かなくなった左手や軋みを上げた全身の骨をかえりみる間は与えられず、V型2体が飛び出し、頭上にはF型、いや、F型は降下してこない。その狙いを問う余裕もあらばこそ、俺は第二射が来る前にそこらの民家の残骸らしき構造物に飛び込んだ。


「4発!?下の2体はV型、ってことは、上側の2体以上がM型かよ!」


 読み違えた!

 こいつらがこういう事をやって来る、それは配信などで得た事前知識で知ってはいた。

 だけど、小細工はもっと後の階層でやってくると、そう思い込んでいた!

 予想していたより、敵の連携が緻密になるのが早い!


「ここはマズい…!」

 出入口を全て固められたら、姿を現した瞬間に撃たれる。そうなる前にと壁に開いた穴から出て通りの反対側の建物に——

〈キャッキャア!キャッキャア!〉

 上から猿叫えんきょう!F型が俺の真上で騒いでやがる!ここの建物はどれも穴だらけだから、空飛ぶ奴らは容易く俺を捕捉するのか!

「おいちょっと…!静かに……!」

 そこで壁越しに気配が猛接近したのを感じた俺は跳び離れる!直後打撃による破壊!大振りな槌のような武器でV型が壁を破ってきた!その後ろで()()()と立ち上がるM型2体!俺は窓から飛び出し射撃を受けないように、駄目だ!頭上にもう2体のM型が配置完了してやがる!殺気と肉体の動きを捉え、発砲タイミングを読むことでギリギリかわ「あがっ!」せていない!踝がスウスウするレベルで肉が削られた!


「くぉんの…!」

 出血しているところから見て、魔力の痛覚じゃない。マジで当たってる。多分骨まで届いている。

 それでも片手と魔力でナイフを数投し内1本がF型の右肩に傷を〈キキキキキキ!〉そこにL型が駆け付け錫杖を鳴らしながら右手をかざし、ボソボソ言いながら治癒を完遂!「な!お前まで居るのかよ!」俺の不満は聞き流され妨害魔法と更なる銃撃が足を負傷した俺へと向かう、

 前に、

「巻き取りィィィ!」伸ばしたケーブルを繋いだナイフをさっきの攻撃に一本混ぜておいた!後方の柱に巻き付いてくれたそれに俺の体を引っ張らせる!バックパックが地面に削られるも離脱には成功!


「来るな!」

 ナイフを更に数本くれてやりながら、撤退するこの時は流石に、英単語がまろび出るような事は無かった。全力疾走の甲斐あって、そして最も速い索敵担当のM型が、遅れているV型から離れ過ぎることを嫌ったことで、命からがらだが追手を撒く事ができた。


 けれども、と、髪を掻きむしりながら考える。


「機動性重視のダンジョンで右足をやられて、しかも明らかに、俺のやり方が通用しない編成が出てきた………」


 現段階で、俺がこれ以上深く潜るのは、


「皆さん、本当にごめんなさい…」


 無理だ。

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