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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第十章:欲を張るなら、力を示せ 

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231.全軍前進! part2

 ジィチチ、ドドン、ボゴボゴン!ジィチチ、ドドン、ボゴボゴン!

 ジィチチ、ドドン、ボゴボゴン!ジィチチ、ドドン、ボゴボゴン!


「“見逢って(マリアナ)——!」「——融け合う(マリファナ)”!」

「おいでシーズ!」「家族睦まじく!」


 ドーブル達の完全詠唱!

 呼ぶのは当然、弟分シーズ!

 

 彼女達の引き寄せる力、

 シーズに宿った止まらない力、

 二つの魔法の相乗効果で、

 二人に合うまでブレーキ無し、

 人型暴走機関車の完成!

 その背を追うはその他大勢!

 風切る男の作り出す、

 スリップストリームトンネルに!

 先頭車両に連なる列車、

 まさにその形容の通り!


 ポッポッポポポウッ!ポッポッポポポウッ!

 ポッポッポポポウッ!ポポポポポポポウッ!

 パパパウパウパウ、パパパウパパウ、

 パパパウパウパウ、パパパウパパウ、


 舌で跳ねる炭酸のように、

 湧いては弾ける破裂音!

 六波羅さんの音楽がアガる!

 シナプスのボルテージは最高潮!


 世界は更に俺達から遅れる!

 バッタの笑顔に歯を出して対抗!

 脳内物質が過剰分泌!

 魔力と魔法の強さもプラス!

 拳!爪!牙!が薙ぎ倒す!

 バッタだけにばったばったと!


 しかし敵もさる者、永級とill(イリーガル)

 くっつき合って高まり合って、

 防御と耐性を身に着けて、

 磨かれたような白い歯が掠り、

 徐々にではあるが生気を吸い上げ、

 向こう見ず達の暗昼行あんちゅうこうを妨げ、


 次第に俺達は速力を減じる。

 露払いが水を吸い重くなる。

 これではじきに後続が追い着く。

 この中でシーズが止まってしまう!



「“割れて芽吹き戻るイマユマナ・ウィラ・コカ”!」

「“首を括って楽園へイスタム・メスフェタム”!」



 クワトロとウーナの詠唱が聞こえる!

 俺達の横から枝葉が伸びる!

 虹色魔力で活けられたそれの、

 先端にケミカルなピンク色が付着!

 鼻先にちらつかされた餓鬼共は、

 こぞって喰らって鬼気ききを削がれた!




「セロトニン?」

「そう、それが出るんでちゅよお」



 

 ウーナの魔法は、やはり麻薬的な効果を持っているらしい。

 脳の中で様々な物質を過剰分泌させ、機能を狂わせる。

 それによって作られる物の中に、セロトニンがある。


「そうか、人間の場合、満腹中枢を刺激するのはセロトニンの役目!」


 六波羅さんが彼らの意図を言い当てる。

 

「つまり、それを口に入れてやれば、やつら腹一杯になって居眠りを始めるのか」


 ロクさんが感心したように頷いた。


「だが“醉象ローカスト”は、密集すれば魔法効果への耐性を獲得する」

「確かに、ウーナの能力と相剋コンフリクトを起こした場合、どちらが勝つかは断言できない」


 ニークト先輩が懸念点を上げ、クワトロがそれに追随する。


「飽くまでも、予備の策でちゅよう。アブなくなったら、試せばいいの」


 確かに、弾は多ければ多い程良い。

 用意だけはしておくべきか。


「なら説明しておく。俺の能力で大麻サティバ芥子ポピーの性質を持たせた植物を生やし、それに付与する形でウーナが魔法を行使する。食ってくれりゃあ、効果の適用対象だ」

「ま、まあ、あの様子だと………、食いはすると、思うよ、うん」

「あの」


 ミヨちゃんが手を上げる。


「バッタにセロトニンを与えて大丈夫なんでしょうか?あれって相変異の原因だったような」

「そうなの?」


 俺はまず「相変異」に詳しくないです。

 なんかバッタは、ギュウギュウに密集して互いに後ろ肢を触れ合ってると、何故か色が黒っぽく変わって、通った後には何も残らないくらい、獰猛な食い尽くしモンスターになる、らしい。生物の不思議だ。


「諸説だ見世物女!セロトニンは用途が多過ぎてそれ以外でも大活躍している!使い方によってやりようは幾らでもあるって事だ!植物の中でも産生されるくらいだからな!効果に疑問が出そうな事を使い手に吹き込むな!」

「ご、ごめんなさい……」

「そ、それと、あれのベースとなるモンスターって、“箴埜筵インプレッシヴ・デプレッシヴ”のG型で、人っぽいから、たぶん、大丈夫、って言うか、ママは大丈夫って思って、ハイ……」

「はあい、ママは自信を持ちまちゅねえ?」


 なるほどなるほど………


「それならさ、俺が先行してるわけだから、バッタとバッタの間に、特に後ろ肢周りを重点的に、魔力爆破でスペースが開くようにすればいいんじゃないかな?」

「ローカル対策?」「耐性も減らせる?」

「良い案だな。後は、俺達追走組もある程度互いに詰める事で、ローカルを利用して自身の魔法能力を強化する、という対抗策も取れる」

「今のご時勢の真逆を行く対応だな……」

「正直あまり気が進まないけど……分かりました。私のリボンを1本使って全員結んで、シーズさんに引っ張って貰います。ただし、変な所触ったらディーズさん投げ捨てますから」

「詠訵さんはご自身もしっかりと防御して下さい」

「僕からすると、僕の能力を変に解除しちゃわないか、そっちが不満なわけよ。お互い様、なんならこっちの方が不安は大きめだから、妥協するべきなの。だいたい非常時にセクハラを叫ぶのって逆に非常識だと思うんだよね。緊急時に余計な事まで考えなきゃいけなくなって色々遅れるって言うか、応急処置だって」「はあい、シーズちゃんはこっちネンネしまちょうねえ?」

「先輩、多分近距離攻撃はほぼお願いする形になりますけど……」

「問題ない!オレサマを誰だと思っている!お前はバッタ共を切り離す事に集中しろ!」

 

 さっすが先輩、

 なんとでもなりますね。

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