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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第九章:ワルモノ共が、続々と

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224.無軌道の末に part1

 “69(シックス・ナイン)”。

 その道では名の知れた、二人組の殺し屋である。


 「殺し屋」?

 「壊し屋」と言った方が、良いのかもしれない。

 隠密行動も出来なくもないが、得意とするのはハチャメチャにする事。

 彼女達が通った後に残るは、引き裂かれた衣服と、食い散らかされたご馳走、

 破き飛ばされた命の残り滓。

 何も残さないような、お行儀の良さはなく、

 ただただ、みだり矢鱈に、汚く無秩序に、破綻する。


 何か、どうしようもなく憎い奴を、苦しんで歪ませてかつてなく無様に原形を失わせたい。そう思っているならば、彼女達に依頼するのが良いだろう。

 この世の何よりも前衛的で、美術館にも無いようなオブジェを、作ってくれるだろうから。




「“聖釣タナ・タプ”!」


 オットーの簡易詠唱。

 その背から蛸の足が生え、加速機構搭載型魔具であるナイフを無数に投げながら距離を詰める!

 

「“口付シックス”!」


 髪を逆立てた女、シクシィが詠唱で返す!

 ナイフは回避されない!二人にそのまま突き立つ!


「!……オイオイ…!」


 血が出ていない。

 と言うより、刺さった箇所が“傷”になっていない!

 オットーの蛸足が伸びる!

 長髪の女、ナイニィの腕をもごうとし、巻き付いた所でその肌にズブリと沈む!


「ナンダヨコノ手応エ…!」

「“御預ナイン”!」


 彼女の簡易詠唱によってナイフと蛸足が根本から断ち切られ散らばされる!


「やーん!7本になっちゃった!」

「それ無くなったら、今度は手足も行こうぜ?」


「“強弱均衡同害報復ダニャム・エンサム・アナ・ラバリム”!ケジメ!」


「あれっ」


 ナイニィの腕が切り離される。

 

「結構重めにいけたドス。その足、意外と大事にしてるドス?」

「ウルセエナ。イイダロウガ。愛着ガアッテモ」

 

 ジャミーラの完全詠唱。

 左の掌の上に、人差し指だけを立てた右手を乗せる。

 指の上には一本のバーが横置かれ、両端に皿が吊り下げられる。

 秤だ。

 煉瓦のように赤茶けた石で造られた、天秤がそこにある。


「キャ~ン!シクシィ!腕がなくなっちゃったよ~!」

「あー、待て待て待ってろナイニィ。ほうら、こうして、」


 腕を拾い上げたシクシィが、断面を合わせ、そこに熱烈なキスをすると、


「ほうら、元通り」

「や~ん!ありがと~!」


 あっけなく接合されてしまった。



「分カッタカ?ジャミーラ」

「融合と分離タイプ、って思うドス。自分に取り込む力と、自分の一部を切り離す力、ドスね。何かが刺さっても、自分達と一体化させて、余計な枝を切り落としちゃえば、異常ナシ、って寸法ドス」

「俺ノ完全詠唱モ、効キハ薄イカ。全ク、最近ハ本当ニツイテネエ」

「斬るドス。爆発ドス。溶かすドス」



「どうだ?ナイニィ?」

「きっと“目には目を”、だよ~。お互いの価値観の中で、大事さを測って、同じくらいの重さを取り立てるの」

「呪いか?」

「その系統だね~。もう一人は脳ミソ筋肉」

「俺と同じタイプか」

 


 両者共に、手札の開示が終了。

 ここからが本当の殺し合い。


「考エテモ仕方ネエ!」オットーの蛸足が背中から薙刀を抜く!「要ハ頸斬ッテ頭蹴リャアイインダロ!フットボールミテエニ!」スロットにカートリッジを挿入し超振動と高熱を発生させる!

 

 縦軸独楽回転!蛸足と共に薙刀を横に払う事で本命の木を林に隠す!

 蛸足が彼女達に触れる度に切り飛ばされ「!……ケジメつけられないドス!」支払いが履行されない!「“御預ナイン”!見えちゃった~!切っとくね~!」「お前は本当に最高サイコーさいっこうだぜナイニィ!」二人は互いのスカートの中に手を突っ込み、棒のような物を抜き出して「“口付シックス”!」一本のポールに接合加工!「フォオオオオウ!」地面に突き立てたそれを使ってシックスが直上ジャンプ!上下逆様のポーズで見下ろす!

 ギリギリで躱された薙刀はポールを打ち、景色を歪ませながらも肉には届かず、更に融合させられる!


「“御預ナイン”!」


 バラバラに別たれた魔具!

 ついでにそれを掴んでいた蛸足も持って行かれた!


 バック転で距離を取るオットー!

 

「ヘイ判事ジャッジ!サボタージュカ!?小遣イナラヤルカラ、ストライキハ後ニシロ!」

「分断の女の方に、繋がりを断ち切られるドス!掴んだ瞬間気付かれるドス!どんな神経してるドス?」

「天才肌カヨォオオ!ソンナンガ裏稼業ナンテヤッテンジャネエェェ!」


 極めて自然に、大気組成の一部のように振舞い、敵に触れ、報復を行うジャミーラの魔法。それを見破られ、触った端から切られるのだ。例を見ない敏感肌と言えた。


「ナイニィ、あいつ、あれで終わりか?」


 上下逆さでポールを這い、顔を相棒の横にまで下ろしたシクシィ。


「ダメダメ。グランドマスターって、こんなもんじゃないでしょ?あれきっと、結構燃費が良いタイプだよ~。焦らないの!シクシィ」


 品を作って体をくねらせ、恋人の口に舌を入れるナイニィ。

 

「オイ、何カアレバ今聞クゾ?」

「良い考えがあるですドス!」

「ドレクライ『良イ』ンダ?」

「魔力オールインするドス!気合ドス!カチコミドス!」

「不安シカネエゼ……」

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