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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第七章:「校内じゃ負け知らず」ってショボく聞こえるけど、この学園だとそうでもない

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159.そんなんアリかよ!?の連続 part3

 パラスケヴィ・エカトの雷魔法。

 その能力が、高エネルギーを撃ち出す、というだけではないのは、数少ない彼女の模擬戦闘記録から予想された。


 落雷のような攻撃は、

 単に放っているのでなく、着弾点にも何らかの細工があるのでは?と。

 

 だから、そこに注意して戦ってみたわけだが、




「これは!聞いて!ないよ!?」

「なんでよけんのー?シャカシャカうっとうしーんだけど!」


 空中に設置した魔力を破裂させ、それを踏み渡って常に上を取り続ける少女!


「そりゃ避けるだろ!何度も言うようだけど!当たったら確率で今生の別れだぞコレ!?」

「死んでもせんせーが何とかしてくれるってー!安心してくたばってくださーい!」

 

 思った通り、地面だ!

 電子操作かな?

 特定の地点にプラスの電荷を集めてるんだと思う!

 って言っても、問題はそっちの方じゃない!


「空気が…!?」

「!……へぇ~?ホントに細かいヤツー……」

 

 おまけみたいなノリで、落雷の経路の大気圧が下がっている!電気への抵抗力が小さくなり、より低い電圧での絶縁破壊を起こしているんだ。

 偶然じゃなく、魔力を伴った作為的な変化。

 彼女の能力は、ただ放電するだけじゃなくて、


()()()()魔法……!」

 

 電流の通路を生み出すのか?

 そう思えば、あのライトイエローの線も、本質的には電路なのだと分かる。

 気圧を低め、電界を操作する事で、電子の動きを補助・誘導して成立。

 電気を纏った物質的武装と言うより、

 概念的な“道”の役割を持っているんだ。


 エカト家は出口を探すとか最短経路を見つけ出すとか、そういう事が得意だって、ニークト先輩が言っていたけど……、

 それで大気まで操作しだすの、拡大解釈が過ぎませんかね!?


「すごいすごぉい!そこまで見破ったの、生徒じゃ数人!……で?」


 いや、「で?」、と言われましても。


「アタシの魔法がどういう物か分かって、それで?」

「それ、で、って!?」

「アタシがアンタを倒すのに、どんな問題が起こるってぇ!?」

「それは!ほんとに!そう!」

 

 大気操作の魔力は、雷撃の一瞬前にしか出ない。

 ただ、地上の魔力を感知出来れば、着弾点から軌道を予測し、先読みによって回避する事が出来る。


 それだけなのだ。

 

 そういうわけで、何とかかんとか避け続けるしかない、今までと何も変わらない。


 俺は彼女に、有効な攻撃を当てられない。

 どころか、その魔法能力の詳細を暴いてしまった事で、俺に対する効力が上がっているわけで——


「今ので、アンタは、有利になったのか、聞いてるんだけどぉ~!?」

「ごもっ!っとも!」


 魔力爆破とジェット噴射によって横に避け、高度が低くなってきたら下に魔力を撃って、爆風と反動で跳び上がる。

 これを繰り返して、辛くも直撃を免れている。

 が、これでは負けないだけだ。

 勝たなければいけない。

 じゃあ勝ち方は?

 それが分かるならとっくに実行してるよ!


「ハァー……、もういいやー。アンタの曲芸自慢に付き合うの、ムカつくしぃー」


 エカトさんが、そこで急に攻め手を緩めた。

 その全身から、眩い魔力の発散が起こって、


「ああっ!待った!」


 魔力射出の反動で直線飛行!

 それを止めに行く!

 が、それより彼女の魔法が速い!


「“月は欠け蝶は舞うラブランデス・ラヴナンデス”」

 

 両手の指ピストルの銃口を上下互い違い、逆方向を差すように構え、親指の腹同士を密着させ、イナズママークを作る!

 まず魔力の大規模爆発が起こって俺は彼女に辿り着けず吹き飛ばされる!

 体勢を直して床に叩きつけられるのを防いだ俺の周りを、

 ライトイエローの線が何本もはしり、取り囲んでいる!


「これは、もしかして、」


 簡易詠唱と同じ、電流が通る為の?

 その一本に、なみなみと注がれる魔力。

 俺は反射的に距離を取る。

 何本かが肌に擦れて、軽い感電が起こったが、

 しかし正しい判断だったと、自信を持ってそう言える。


「問題!このネズミ以下のガイジューは、どこまで避けれるでしょ~?」


 さっき大量の力を籠められた線上に、

 全身をライトイエローの雷線でぐるぐる巻きにして、

 鎧を形成していたパラスケヴィ・エカト、

 その手刀が空を切っていたからだ。


「正解は~?」


 バチバチと光をいや増しながら、

 

 電荷を纏った彼女が、

 

 姿を消して、


「この後すぐ!」


 俺の隣の電流が爆ぜた。


 そちらに向き直るまで待たず、


 稲光が宙を裂いた。

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