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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第五章:怖れるな、その目も耳も、かっ開け

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98.かつてないほど雑に全速力

 レール上をスライドしてM型が右から5体、左から6体!

 さっき振り切ったと思った奴も追って来ていたか!

 移動しながら銃口はこっちに向けた彼らがガラクタの類を撃ち出してくる!

 

 ズガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!

 ダガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!

 

 俺は低姿勢で走りながら魔力流動による防御を展開!後方への魔力ジェット噴射で加速!

 弾速や威力はホリブルの鉄砲や銭ガトリングの方が上だ!当たりにくいし、当たっても速度によって弾く事が可能!こいつらが一番強いのは、止まっている敵を跳弾も使って囲む時だけ!

 行く先を塞ぐように伸びるダクトの上に乗り上げながらスライディング!減速無しで乗り越える!

 直進!

 必要でないなら進路を変えるな!

 方向転換は最小限に!


 目の前にまた障害物!

 パイプが張り巡らされ複雑な地形を描く!

 横に逸れて行くM型達!レールが入れないくらいややこしい構造か!


「問題ねええええ!」


 鋭角跳躍!縦のパイプの逆側に抉り入るようなギリギリを攻めたジャンプ!そのパイプを後ろ足で蹴る事で減損させずにベクトル変更!次のパイプの向こう側へ!後ろに蹴る!次のパイプへ!それを繰り返す!


 跳ね回るボールだ!

 お前はピンボールの球になれ!日魅在進!


 無機物森林地帯を抜けた!

 レールに乗って回り込んで来る連中はまだ時間が〈ビィイイイイ!ビィイイイイ!〉「ああくそっ!」

 F型がアラームを鳴らしたせいで、M型4体を積載したV型が左右から出動して来る!V型が動ける床自体はさして広くないが、彼らに乗ってるM型が常設レールに跳び移って、そのまま俺を追尾し始めた!更に前からも警報を聞きつけた追加のG型・M型共が登場!

「時間が無い——」ダンジョンケーブルを魔力で掴み上側を渡る細い配管の一本にカラビナを引っ掛け「——って言ってんだろおがあ!」巻き取り機構!魔力ジェットによって前方へブランコのように加速跳躍!カラビナを放してケーブルは回収!天井を蹴ってレール上に着地!走る!


 足場が細いぃ?

 上等上等!

 今更この程度の曲芸、何するもの!

 広く平らな通路のような場所に出る!「俺を止めたいなら!」検問のように横並ぶV型!「速く動くだけで即死するようなダンジョンを!」それに乗ったM型群の砲口が火を噴く!「持ってこおおい!」正面の一台に突っ込む!

 V型に近付けば他のV型に載るM型からの猛攻が、その横に広い車体に阻まれる!前からの射撃を流動防御と強化された肉体で受けながらV型前面の圧延機めいたロール状殺戮刃を跳んでかわし、移動直線上に居たM型一体を右肩で突き飛ばした!

 そのままその肩を前へと落としてながら魔力でその場の形をスキャンし、魔力ジェットも併用しながら上手いこと前転!のちジャンプ!


 見える先に壁、行き止まり。

 いや、狭くなってるだけだ。

 通路が続いてるのは左側。レールの上を跳びいで向かう。

 あった。

 倉庫のように見える、大きな金属扉。

 6層へ繋がるラポルトは、あの中だ。

 当然その前には、G型からF型まで、総出でお出迎えで、「…壁って道に出来るかな?」やってみよう。


 壁にジャンプ。

 魔力ジェットで態勢を横倒しに変えて、駆けるように壁を蹴る!同時に肩あたりから壁とは逆側へ、斜め後方のジェット噴射も行う!上から押さえつつ後ろから押すような力を働かせ、壁走りを実現!

「行けたあああ!」

 行けたわ!

 見えた中で一番走りやすいルートが使える道としてひらけた!だったら突っ走ればいいだけ!


 扉に到達!

 流動防御を張ってそれでも貫通してくる一部攻撃を喰らいながらおっもいそれを引き開けて、閉める!


「ハァーッ…!ハァーッ…!」


 休憩したい所だが、奴ら、扉をこじ開けて入ってくる事もあるらしい。それに、佑人君が心配だ。あまり止まらずに行きたい。

 リズム、というのがどこまで役に立っているか分からないが、持久力に関しては、朝のランニングがしっかり活きていた。

 ラポルト前に進みながら息を整える。

 それが開くのを待つ僅かな間に、どういうコメントが付いているのか、ちょっとした気分転換に覗いてみると、


『視点のせいで分かりづらかったけど、やっぱ壁走ってたよね?』

『ニンジャだ!』

『Ninja!!!!』

『ninjaaaaaaaaaa!!』

『Ninchad』

『結構なニンジャ』

『Ackchooww!!!』

『ニンジャ、しっかりススムっぽかったぞ』

『ススム、お前ニンジャだったのか』


「いや違うわ」


 なんか、「忍者」についての間違った認識を、助長してしまったような気もする。

 特に国外へ向けて。

 

 ……いや、今更か?

 分からないが、一応謝っとこう。


 遠い昔の諜報員の皆さん、ごめんなさい。


 私達にとっての忍者とは、やたら目立つ黒づくめで、壁とか水上を走る変態です。


 大丈夫です。

 現代のスパイも、高い所からぶら下がるものだと思われてるので、被害はあなた達だけじゃありません。

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