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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第四章:途方もない先を目指しての一歩は、やたらと重いし火傷しがち

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70.初めまして、よろしくね(半ギレ) part3

「つっても、形になるわけ?こんなんで?マジムリゲ。ワンチャンもナシ」

「じゃあ、試しにロールを割り振ってみませんか?今ここには、八守君を除いて7人なので、どこかが被っちゃうんですけど、参考にはなると思うんです」

「ああ、それは………」

「……何?どうしてこっちを見るの?」

「発言しても……」

「ああもう良いわよ。好きにしなさい。単位が欲しいのは私も同じだから、今は詠訵さんのやり方に合わせてあげる」

 

 ありがたき幸せ。


「僕は詠訵の提案に賛成です。これからこのメンバーでどうやって戦っていくのか、それを現実的なラインで見る事ができると思います。先生に頼んで申請して貰えば、それでダンジョンに行けたりするんですよね?明日にでも、足を運んでみるのもいいかもしれません」


 最悪模擬戦用アリーナの一つを借りて、互いの実力を確認するのもアリだ。


「で、手始めにですが、例えば全体の司令塔、K(キング)ポジション。これは、今場を回してる詠訵にやって貰えばいいと思うんですが、どうでしょう?」

「え、私!?」

「どーかん。かんぜんどーい。良い事言うねえ、彼くん」

「こもりちゃん!!!」

「うわあびっくりしたあ。冗談だって」


 訅和さんの扱い方が、分かって来た。まともにやり合っていたら、心臓が幾つあっても足りない。ここは受け流すのだ。


「見世物女がトップだと?認められるか!」

「そうッス!そんなの……なんかとにかくダメッス!」


 まあそこからイチャモンが出るのは分かってました。狙い通り。

 「パーティーを組むかどうか」から、「パーティーを組む時どのポジションになるか」、論点をズラさせて貰った。この場では絶対に一匹、釣られる奴が居るから、移行は簡単に済んでしまったよ。


 偉大なるニークト先輩のお蔭で、自然な流れで、話し合いのテーブルに持ち込めた。

 それでは先輩、分かり切った対案をどうぞ。


「ニークト先輩は、どなたを推薦するんですか?」

「それは——」

「それは勿論——」



        「頭空っぽ女だ」「ニークト様自身ッス!」


「は?」             「え?」



 ふっつー、に、「当たり前だろ」という顔で、六本木さんを指すニークト。

 指名された本人と、ニークトを推薦する気バリバリだった八守君は、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。ってか、全員が驚いてる。

 俺も多分アホヅラだ。


(((ススムくん。い顔をしていますね)))


 俺も確定でアホヅラだ。


「なんだお前ら?能力と経験から言って、この場にこいつ以上の適役がいるか?ああ、見世物女にベタベタしてるストーカー女か?その女は魔法の特性的に悪くはないが、しかしオツムが足りてないだろ」

「何をぅ?」

「いや、何て言うか……。てっきり、誰かの下には付かない主義かと……」

「こればかりはローマン君に同意するわ。あなたなら絶対に、自分自身を推すと思っていたのだけれど」

「マジウケるー……」

「オレサマはK(キング)には向かん。今後一切、就く気も無い。N(ナイト)R(ルーク)、100歩譲ってQ(クイーン)のどれかだ。が、あのモジャ頭がどこかに行ってしまった以上、オレサマをR(ルーク)に置くのが最適だ。少しは頭を使え低脳共」


 そ、そうなんだ……。

 ま、まあ、ニークト先輩がそれでいいなら、いいんだけど。


「じゃあ、えっと、六本木さん?K(キング)ポジション、やってみる?」


 詠訵がなんとか、議題を戻した。


「…は?え?は、ハアッ!?ハア~ッ!?」


 すっごい狼狽えてる。今日一番パニクってるぞこの人。


「な、なんであーしなんだよ豚ァ!?」

「誰が『豚』だ誰が!ここに居るヤツの中で、一番お前がマシなんだ!お前の性格最悪で小癪な悪知恵には、目を見張る物があるだろうが!空っぽでも詰め込めば幾分か有用にはなる!」

「結局消去法かよ!知らねーし!あーしはKなんてめんどいロール、ゴメンだから!ってかお前!あーしと戦った事無いだろ!」

「模擬戦に参加した事はあるだろうが!映像記録だって残ってるぞ!そんな基本的な事まで忘れたかバカ!」


「まあまあまあまあ……」

「えっと!ごめんなさい!確認なんだけど、六本木さんは、どうしてもやりたくないんですか?」

「………つーか、やりたくなる理由って、ある?」

「えっと、こもりちゃんは?」

「私はヨミっちゃん推しだから」

「じゃあ……他に無ければ、私がK(キング)に入るって事で、良いですか?ニークト先輩?」

「…チッ、役立たず共め。致し方あるまい」

「許してやるッス!」

「人を思い通りに動くモノみてーに見下しやがって。超MM(マジムカつく)んだけど…!」

 

 よ、詠訵ごめん。

 詠訵VSニークト先輩なら、片方大人だから穏やかに進むと思ったんだけど、対立軸が予想外の方向に飛んでいっちゃった。


(((数刻前の、策士気取りの顔、お笑いぐさでしたよ?)))

(むぐぐぐぐぐ………)

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