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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第四章:途方もない先を目指しての一歩は、やたらと重いし火傷しがち

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70.初めまして、よろしくね(半ギレ) part1

 このまま座っていてもしょうがないので、俺達は互いの顔が見えるよう座り直した。

 乗研とギャル二人を除けば、授業に参加しようとする意志自体はあるメンバーだったので、そこは助かった。多数派の力によって、取り敢えず名乗る流れに、全員を巻き込めたから。


「まずオレサマからだ!行け!八守!」

「みんな知ってるっしょ?時間の無駄じゃね?」

「ここにいらっしゃいますお方は!ニークト!悟迅!ルカイオス様ッス!下々平伏するッス!」

「マジ空気読んでくんね?うっさいだけなんだけど」

「ご、ごめんなさいッス……」

「お前は正しいぞ八守ィ!愚民共はオレサマの名と崇高さにひれ伏すべきだからな!だいたいお前らは——」

「時計回りでいいな?乗研竜二だ。主にN(ナイト)R(ルーク)ポジション担当。嫌いなモンは行儀が良いだけで偉そうな顔をする雑魚だ。以上。次」

「おい!」

「ジュリー・ド・トロワ。ポジション希望はN(ナイト)のみ。私以上の適任はいないと断言できる。ただ、他にいないからどうしても、って言うなら、Q(クイーン)をやってもいいわ。嫌いな物は慎みも清潔感も無い弱者。お次どうぞ?と言っても、貴方も有名人だから、必要ないかもしれないけど」


 銀髪さんこと、トロワ先輩からボールが回って来た。

 ニークトが何か言ってるのは、ノイズキャンセリングするが吉、というのが共通認識となりつつある。なんだかんだこの短時間で、全員彼に適応してしまった。


「ど、どうも、日魅在進です。パーティーは最近ようやく組めた所で、何処が得意とか分からないんですが、多分P(ポーン)N(ナイト)が向いてると思います。嫌いな——」


 いや、これ空気が悪くなる一方だから、変えた方がいいな。


「えっと、好きな物は、シャン先生みたいな、強い男です!」

「#^∵!?」


 文字起こしが困難な凄い声が聞こえたので、発生源に目をやると、隣の詠訵の瞳孔が点のように収縮し、絶望したような顔を作ってこっちを見ていた。

 え?な、なに?


「おっとお?日魅在君は、そういう殿方がお好みなのかな?はかどるねえ」


 訅和さんが、よく分からない事を言う。

 お好みって………ウェ!?


「いや違うぞ!?俺が言ったのは俺自身としての理想像と言うか目標として見てる憧れって言うかそういう事であって今のは決して俺の性癖曝露じゃないからな!?」

「も~、そんなに強く否定しなくても、分かってるって~。ほんの冗談だってば。ね?ヨミっちゃん?」

「え!?あ、うん、勿論、分かってたよ?…ふぅー……」


 も、弄ばれてしまった……。

 なんか俺、女性相手だと、イジられキャラが固定され始めてない?


(((「され始める」………?)))


 あれ?もしかしてもう手遅れ?俺ここから抜け出せない?

 おいこらカンナやめろ黙って首を横に振るの。まだ分かんないだろ!?なあ!?それから机の上に座って足を組まれると、スリットの内側が見えそうになって、その、困る。


「おほん。詠訵ミヨです!ポジションはN(ナイト)B(ビショップ)と、Q(クイーン)の経験もあります。好きな物は、頑張ってる人です。これからみんなと仲良くなって、強いパーティーを作っていきたいです!よろしくお願いします!」


 詠訵ぃ~。

 この場で頼りになって癒しにもなるの、あなただけだよ~。

 本当にあなたがここに居てくれて助かった。

 心があったまっていく~…。


(((次回から、それを言う度に、減点しますから)))


 なんで!?


「イヨッ、ぱちぱちぱち」

「チッ、ウッザ」

「ふぁー……」

「何をまとめ役みたいな顔をしている!いいか!?オレサマが中心だからな!」

「ニークト様より頼りになりそうな事言うなッス!“テッペンボーイ”ッス!」

「……テッペン…?………??………」

「ふん」

「………」


 訅和さんが拍手し始めたので俺も合わせたが、なんか他の奴らの反応が悪い。ってか態度が悪い。は?何シラけてんだ?ふざけんなよ?お前らそれが意を決して切り込んでくれてる、く~ちゃんの献身への返答か?なんで「バカかコイツ?」みたいな感じなんだ?何様だ?ニ礼ニ拍手一礼の後に賽銭を投げ——

 いかん、内なるヨミトモを抑えろ。


「じゃあ次、私だねぃ。訅和交里。16歳でーす。ポジションは、P(ポーン)B(ビショップ)が良いと思われ。あ、でも、(キング)経験もあるよー。<スキナモノハー?<詠訵ミヨだよー!」

「ひゃっ!?ちょっとお、こもりちゃん!」


 一人寸劇みたいな物を挟みながら不自然な流れで詠訵に抱き付く訅和さん。ここだけ日常系ゆるふわアニメかな?空気感が違う。みんなこれくらい、詠訵に夢中なら話が早いのだが。


「あーハイハイ、あーしの番に進んで良きー?六本木ろっぽんぎ。これ苗字な。名前出しはNG。ガチトプシー(トップシークレット)ってヤツ。まあ別に困らないっしょ?ポジションはPかBやってる。で?なんだっけ?好きな物?それとも嫌いな物だっけ?それで言うならアレ、臭い奴とかマジムリ。同じ空間に居るのも耐えらんない。じゃ、ムー子。あとよろー」

「ふわぁー……」


 金髪ギャルこと六本木さんがダメな流れを戻してしまった。そして彼女から繋がった黒髪さんの方は、今日何度目かの欠伸をして、


「………」

「………?」

 おーい?

「ムー子、ちょいちょい。ここでガン寝やめなー?」

「んー…?あー…GM(ゴメン)…」


 「GM」…?

 ま、マイペースですね……。

 幸い会話内容は把握してるようだが、どういうスタイルのディーパーなんだろうか?


しゅろう六実むつみぃー…。ねむみ…、つらたん…。ポジションはぁー、Bがよきー…。個人的に、マジ()()()()になるのわぁー、きゃわゆでヤババなものぉー…」


 途中から何も分からなくなった。

 独自言語かな?


(((「可愛い物が、本当に好きです」、と言ってますよ?)))


 あって良かった、カンナ翻訳。

 一家に一台、脳内カンナ。

 なんで俺より、詳しいんだお前。

 

 あとカンナ?狩狼さんの隣で、机の上に全身載せてうつ伏せで寝そべるの、やめよ?気になって仕方ないし、潰れた胸とか、盛り上がってる腰下部分とかが、視界に入るの、その、すごく困る。


「……!!!“越権行為”だ八守ィ!」

「それッス!もっと小さくなってろッス!」


 そして八守君。君のうろ覚えクイズのお蔭で、我々は束の間の平和を享受した。

 お手柄だよ。ありがとう。

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