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ザ・リベンジ・フロム・デップス~ダンジョンの底辺で這うような暮らしでしたが、配信中に運命の出逢いを果たしました~  作者: D.S.L
第四章:途方もない先を目指しての一歩は、やたらと重いし火傷しがち

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66.は?ナイナイ(笑) part1

 いらっしゃいませこんにちは!日魅在進です!

 僕は今、丁都内の東究とうく百貨店に来ています!

 見て下さい!一階からゴリッゴリの化粧品売り場!顔の良いモデルさんのドアップ写真が並び、ファッション弱者を威圧してきます!

 お目当ての魔力シールドジェネレーターを販売している、「潜行関連商品専門」である“アヅマダイブ”は、最近人気という事もあって3Fと行きやすい低階層にあるものの、この危険地帯を抜けなければならないとなると「カミザ君?行くよ」う、有無を言わせてくれない……。


「な、なあ詠訵?わざわざ神宿しんじゅくまで来なくても、ネット通販で良かったんじゃあ…」

「ダメだよ!ディーパーの道具は、自分の命を預ける相棒なんだから、自分の目と手で直接確認して、信用できるものでないと!」

「で、でもさあ」

「ジェネレーターの事といい、カミザ君は軽々し過ぎるよ!もっと命を大事にしなさい!」

「ぐぅ。な、ならせめて学園から近場の、もっと規模が小さい所とか…、ほら、詠訵ぐらい凄腕なら、『世間には知られてないけど、良い物売ってる店』とか知ってたりとかは…」

「そういうのは、まず一般的に流通してる物の中で、自分に何が合ってるか、傾向を掴んでから!最初からトンガった個人製作魔具を使うなんて、危ないし遠回りだよ?」

「そ、そういうものですか……」

「それに服とかオシャレグッズとかは、こっちの方が種類があるし、可愛いのも多いからね」

「へ、へ~………」


 ………

 ん?

「ん?」

「うん?」

「服なんて買うつもりないけど?」

「私は買うよ?」

「そっか」

 ならいっか。

 

「………」


 良くねえええええええええええ!?!!!?


「あれ、ん?んんンンンン?」

「どうしたの?」

「いいいいいいや、なんなんなななんなんなんでも」

「プッ、フッ、フフフフフ、な、なにそれ?どういう反応なのかなあ…?」

「いやー!?俺の中で持ってた常識ってゆーかあ!?言葉の定義があ!?間違ってたみたいでえ!?」

「ふーん、そうなんだ?」

 

(((あれ、ススムくん?)))

「ングッ!?」

「え、大丈夫?」

「う、ううん、なんでもないぜ?」


 目の前に降ってきた、上下逆さまの灰色の芸術。

 俺の肩に手を置いて、上から覗き込んでいる、だらしない姿。

 だけどそれはそれで、だ。

 下に広がる長髪と、影が掛かって妖美さを増すかお、いつもは見えづらい喉元と耳。

 それらがまた違った神秘性を備え、急に視界に入って来たので、危うくエスカレーターを転げ落ちるところだった。

 というか落ち着いたら、近さと密閉感への意識が湧き始め、白昼堂々イケナイことしてる気分になってくる。カンナがいつも以上に、ウィスパーボイスを強調するから、余計に。


(ちょ、なに!?ほんとにそういうのやめて!?)

(((私が得た知識では、こういった休日に、男女連れ立ってするお買い物は、“逢引”、または、“デー(ないないないないない!!ぜぇんぜんっ、そんな事ナイ!)ですが(俺にも詠訵にもその気が無いから違う!はいこの話終わりぃい!)ふむ、それでしたら、そういう事にしておきましょう)))


 「そろそろ角度が良くありませんし」、といつも通りによく分からない事を呟いた彼女は、俺の視界から消えて行った。だが去り際の笑顔を見るに、あれは全然分かってない。

 く、悔しい…。

 俺はカンナに恩を返したいし、その為にカッコよく決めて、見ている彼女を楽しませたい、のだが、基本は弄られて面白がられてるだけ。

 だがいつか、

 いつか実力で、お前を驚かせてやるからな!


「カミザ君?」

「え?」


 詠訵に呼ばれた俺は、そこでエスカレーターの終わり際に足を引っかけ、つんのめって前倒れ「カミザ君!?」たが前転を一発挟むことで体勢を立て直し、何事も無かったかのように立ち上がり、歩き出す。


「どうした?詠訵?」

「……フフッ、いや、私は良いんだけどね?」

「うん?」

「すっごい見られてたよ?」


 俺は周囲に軽く気を配る。

 みんな驚くか笑いをこらえている。

 うん、

「ご迷惑オカケシマシタ……」

 逃げよう。

 足早に次の階へのエスカレーターへ。


「……も、ほんと、だめだって、カミザ君、全部ツボ…フ、フフ、」

(((ふふっ、飽きさせませんね…くふふ、私は宿主に、ふ、恵まれました…ふふふふ……)))


 あああああああああああああ!!

 なんで俺はいつもこうなるんだああああ!!

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