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腕から流れた雫は  作者: 藍
1/1

〜僕を救ってくれる人が君だったらよかった〜


「おはよう。よく眠れた?」


 入って期待人物をみて僕は目を見開いた。

 だってあなたはあの人にそっくりだったから


 〜第一章 逃げたけれど〜


「はぁっ…はぁっ…」

 思わず家を飛び出してしまった。

 今まで我慢してたのに…どうして急に…


 僕は紅月こうづき いばら

 歌って書いていばらって読む。

 紅月財閥の一人娘だけれど、僕は周りのように愛されたことがない。

 僕の歌っていうこの名前も、好きじゃない。

 むしろ、昔から嫌いだった。

 当て字だし、母様と父様の欲だけが詰まったこの名前。

 一般家庭のような愛情をくれさえもしないのに

「学校では恥を欠かない様にしなさい」

 なんてなんてわがままだろうか。

 愛情は貰わなかったけれど一応育ってきた僕はいまは聖麗高校の三年生だ。

 家ではなるべくいい子でいる僕が私って言わないのは精一杯の反抗。

 でも、これも父様や母様の前では言えないのだけれど。

 だから、結局は意味がなかった。

 ただ、唯一昔から月の前では自分でいることができた。

 月というのは僕の専属の執事。

 夜闇よいやみ 月華げっか

 僕と彼は二つ年が離れてる。

 月のほうが二つ上だ。

 月というのは僕だけが月華を呼ぶときの呼称。

 ”特別”がほしかったから。

 昔からほぼずっと一緒にいたから僕は月の前では僕でいられた。

 隠さず、僕でいられた。

 月の前ではありのままでいられる。

 月といると楽しい。

 僕は自然と必然に月を好きになっていた。

 思いを胸に秘めたまま、月は高校生になると同時に別のとこに行ってしまった。

 ここらへんの高校よりもいいところに行くって言っていた。

 難しいけれどそこの高校から推薦をもらったからって。

 高校を卒業したら戻ってくるっていってたから僕はおとなしく待つことにした。

 笑顔で送り出して笑顔で待ってようって。

 あの家でもちゃんと待っていようって思ってた…


 でも月は帰ってこなかった。

 なにかあるんだろうって思って、ずっと自分に言い聞かせてた。

 ちゃんと待ってようって。

 きっとなにかあるんだ。

 大丈夫。すぐ戻ってくるさ。

 でも、戻ってきてくれなかった。

 連絡も、何もなかった。

「さすがに、もう…無理だよ…。」

 僕は月がいたから頑張れた。

 月が好きだからずっと待ってた。

 一人でも、いい子で待ってたのに。

 思春期を過ぎた女の子にとってはもう苦痛でしかなかった。

 平気でなんていられるわけがなかった。

 僕の心をあらわにするかのように、はたまた僕の存在を隠すように僕が家を出てから激しい雨が降っている。


 僕はいつもポケットに入れているカッターを取り出し刃を三、四つ出してそのまま自分の右手首におしつけた。

 ザシュッ

 「…っっ」

 傷口からじわーと血が出てくる。

 でも、雨ですぐに流れてしまうからそこまでわからない。

 それに夜でくらいので誰も僕に気づかない。

 車は通っても雨で見えないだろうし夜にこの雨だからそもそも出てくる人だっていない。

 僕は同じところに何回も切ったり、他のところを切ったり、右手首だけじゃなくて左手首や足にも切った。

 痛みなんてなくて、何も感じなくて、流れる血液とは裏腹に僕の心が癒えるはずもなくあちこちに傷が広まっていった。

 普段なら血はだいたいすぐ止まるけれど傷口が雨にさらされているせいかなかなか血がとまらなかった。

 とりあえず一通り切って少しだけ落ち着いた後、カッターについている血を拭ってポケットにしまった。

 誰も僕が紅月財閥の娘なんて思わないだろう。

 でも、それで良かった。

 

 おろした腕からは変わらず雨水に混ざった血が流れていた。

 (これも切れ味落ちたな…)

 切れることは切れるが切れ味が落ちたカッターというものは毎日使っていればわかるものだ。

 僕は踵を返し歩く。

 家とは反対方向に。

 行く宛もなく家から離れるようにひたすら歩く。

 お金に心配はない、けど、勢いで家を飛び出してしまったためこの後のことをよく考えていなかった。

 家に戻ることはできないしそもそも戻る気もない。

 だからこうして行く宛もなく歩いているのだが…

 「っっ!?」

 とたん激しい頭痛が起こった。

 雨に打たれすぎて体を冷やしたからと思ったがそんなことではない。

 ならば変わらず血が止まっていないから、血をなくしすぎたからかと思ったがこれ以上に血をなくしたことは今までに何回もある。

 わからない…頭痛と同時に目の前がぐるぐるして、くらくらもしてきた。

 「なに…これ…」

 僕はあまりの痛さとめまいでしゃがんでじめんに手を付けようとしたが、

 ドシャッ!!

 「っっ。」

 あまりにも血をなくしすぎた僕の腕は脆すぎて、もはや人形の腕よりも使えず土砂降りの雨に濡れたコンクリートの上に倒れた。

 しばらく動けないまま頭痛と戦っていたが耐えきれず僕は気を失ってしまった。

 「…ぅか!?」

 誰かの声が聞こえた気がするけれど、雨の音にかき消されそのまま僕の意識は闇に落ちた。

 

今回は数ある中から私、あいの物語を読んでくださりありがとうございます!

これはまだ一章目ですが今後の反応によって二章目をかくか決めようと思います(一応アナログの方で続きは考えておりますので…)

中学生の頃から小説を書くのが趣味でいずれは投稿して色んな人の感想が聞きたいと思っておりました。

主人公はどうなっていくのかそして執事は一体どこへ?

読んでてすこしでもワクワクしていただけたら嬉しいです!

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