高倉敏としての決意
学校に登校すると、話題になっていた。「昨日の活動のことか、、」
同級生から「百瀬くんの動画観たよ。古風な歌唱だけど上手だね。」とか「放課後聴きに行っても良い」など。
そういえば、高倉敏は芸名?
「うん」と百瀬は答えた。
女子同級生から「神埼さんたちと関わらない方がいいよ」
「何で」と百瀬が答える。
「だって、、ね、、」とふたりの女子同級生が言っていると、、
「そうよ」と登場してきた女性、、とても美人だけど、嫌味な奴だなと百瀬は思った。
「名前は?」
「森野こずえです」「女優をやっています」
「はぁ、、」
「神埼さんは地下アイドルで底辺だし、才能も何にもないわ。それに、比べて百瀬さんは才能豊かで歌唱力は本格派で、お芝居もできそうだし。何もない神埼さんと付き合っても百瀬さんには得がないわ」森野さんは言う。
「はぁ、、才能ですか、、彼女は16才でしょう。まだ才能の開花の年齢ではないと思いますし。また、アイドルは長くできないかもしれないけど、次のキャリアアップしていくものではないですか。少しずつやれる事を増やしていけば良いと思います」かなり、百瀬はムッとした。
「どの時代にもいる。偉そうな大女優気取りの人間。16才で何もかも知っているつもりなのが、、頭が痛くなる」百瀬はそう思った。
「百瀬さんはお優しい方だけど、質の高い楽曲を扱ってまた、高い、素質を持っているのにこれは、社会の損失よ。貴方なら、大きな事務所を紹介しますわ」
「森野さん、有り難い申し出だか、お断りだ。その様な傲慢な態度なら貴女は芸能界ではやっていけない。 息の長い女優にはなれないな。森野さんから私の才能を買ってもらっても嬉しくない。それに、貴女の口利きが無くても大きな会社から専属を頂ける自信があるので」
森野さんを確実に怒らせた。百瀬に危害を与える事はないが、神埼さんに何かしらするのではないかと井上は考え不安になった。
百瀬が森野に反論し喧嘩を売った。しかも、神埼さんを庇うために。しかし、貴女に危害を与えるかもしれないとメールを井上は送った。
教室は冷えきった。キンキンに、、
百瀬はカッカして、かなりイライラしてストレスが溜まった。「今日は3人と音楽ができないから帰る。ごめんね。井上君」
「了解。百瀬くん」
「あと、「小さな喫茶店」と「赤い灯青い灯」の練習用の録音を渡しておくね」
「ありがとう」と井上は言った。
「ムカムカするな、、」とブツブツ言いながら、、歌で発散しよう。
「丁度、アコーディオンもあるし、「希望の海」を歌う」公園で歌うのでした。軽い発声練習をしたあと。
「♪〜♪」
気分が良くなった百瀬はヒット曲のひとつ「青空人生」を歌い始めた。
希望の海で、ギャラリー(同級生)が集まってており、そこに彼の十八番であった「青空人生」をぶっ込むのである。
「♪〜♪」
公園が自分の学校に近かったので、同級生が聴いていて、大喝采を受けた。
「久しぶりのこの快感、、現代社会でも歌手をやろうかな。お芝居もリズムボーイズや自分の時代の歌謡曲を掘り起こし現代に復興させよ。あと、神埼さんと井上君と東君のパワーアップさせる事。前世の夢であった、音楽学校にも進学する」この世界の夢ができ実行する目的ができた。
そのあと、学校に引き返し音楽室に戻った。
「百瀬くん?」3人は声が重なった。
「百瀬はやめてくれ、芸事をする時は、高倉敏と言って欲しい。子どもっぽい発言だけど、過去に踏ん切りが付いた。この世界でも歌手やお芝居もやる。人気歌手と言われつつ、音楽学校に進学しあと、貴方たちをできるだけ、サポートして、覚醒を助ける」
さて、宣言したからには、発表会の練習だ!
厳しくなるかもだけど、頑張ろう。20時頃までみっちりやったのであった。
今日は切り上げだ。帰りましょう。百瀬が言い切り上げた。
帰宅中、神埼さんから声をかけられた。
「森野さんと喧嘩した?私のことで」
「あの様な傲慢な人間は嫌いだ。謙虚さが無いとね。別に同級生から嫌われても、高校を卒業したら縁が切れるものだから関係ない。悪意や嫉妬は努力と才能で打ち払う。ただ、それだけ」
「それに、神埼さんには感謝しているよ。この時代でも、高倉敏として生きようと決意ができたから。ありがとう」百瀬はニコッと笑った。続けて「お互いに頑張ろう」
神埼は「うん」と答えた。そして、「百、瀬、、高倉くん、今度、自分が歌っている会場に来てくれる。今週の日曜日」
「いいよ、、どうせ、暇人だから。それに、新しい体験は勉強になるから行くよ」チケットを貰い別れ帰宅した。
「当日、、迷うから4時間前には家を出ないとな」と百瀬は思うのであった。
参考曲
「希望の海」唄 小畑実 昭和17年 ビクターからリリース
「青空人生」唄 高倉敏 昭和24年 コロムビアからリリース