神埼蘭子の憂鬱1
つまらない、授業が終わり井上と一緒に音楽室に直行した。
「小さな喫茶店」と「赤い灯青い灯」のメロディーとひと通り歌を合わせて、各自で練習とした。
音楽室なのだから、ピアノがあるので、自分の記憶を頼りに、新しい曲を書き起こしていた。
「百瀬君、、」
「ん、どうしたの神埼さん」
「お取り込み中悪いけど、「シナの娘さん」を演奏してくれない」
「良いよ。譜読みと演奏しながら歌うのは難しいか」
神埼は「ごめんなさい」とすごくすまなそうな顔をしている。
「そんなことはないよ」「たしか、スマホに録音できるらしいから、録音して」
音を聞きながら歌えるようにテンポがゆっくりしたタイプと通常のテンポをふたつピアノで録音した。
「自分が歌手の時はリハーサルからテスト、本番でSP盤レコードは今の技術みたいに、失敗したら消すことができない。本番は一発録音が殆どだった。現代の方が楽だ。あと、スマホのカメラの性能が凄すぎる」
百瀬は思いつつ
「みんな、忙しいと思うから3日1回落ち合ってリハーサルをしよう。各々の練習をしつつ。この曲は売るわけではないから肩の力を抜いて楽しもうね」
と、百瀬は言い、その方針でやる事になる。
「18:00だけど、今日は早めに解散しようか。あと、百瀬君にアドバイスをもらいつつ頑張ろう」そう井上が言い解散した。
一緒に帰らないかと神埼から誘われたので、一緒に学校から下校することになった。
「今日はありがとう。百瀬君」
「全然、お易い御用ですよ」
「百瀬君は歌も上手いし楽器も上手いし楽譜も読めるから凄いよね。プロの歌手になりたいとか思わないの」
「どうかな、音楽学校に進学したいかな。まだ、分からない。でも、神埼さんもプロとして頑張っているのだから立派だよ。」
「私は立派な歌手ではないよ。、、、底辺アイドルだし」神埼の表情が暗くなる。続けて「歌も下手だし、憶えるのも遅いからポンコツだよ」
「そうかな、アイドルという職業は分からないけど神埼さんは綺麗な歌声を出すから素敵だと思う。経験の違いだけで、才能とは別の能力だよ。歌も楽器も上手くなるのは経験。ただ、楽譜を書くのは勉強が必要だけど。
でもね、歌が好きで嫌なことがあってもやめない事と継続することが肝心だと思う」「人を感動させたいとか自分の歌声で生きる希望を与えたいという気持ちを持つみたいな」
「… 」神埼は黙り込む。
百瀬は、困りながら「いずれ、理解できる、、と、思う」
「うん」と神埼は良い、微妙な雰囲気になりつつ帰宅した。
おぼつかない、操作でネットでアイドルグループを調べて動画を視聴すると「激しいダンスをやりながら歌うのか、、ハードだな」という印象を持つのであった。
明日から、練習をしつつ発生の練習を始めることにしようと、思っている時にスマホからメールを受信したので見てみると神埼からのメールだった。
「百瀬君、さっきはごめんなさい。兎に角、歌は好きでいます。明日、放課後、少し歌の練習に付き合って下さい」と書いてあり「了解」と返信した。