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体育館裏の青春

作者: 砂上楼閣

人気のない体育館裏。


そこで、2人の男子生徒が荒く息をしながら立っていた。


「威勢のいい事言ってた割に、大した事ないんじゃないか?」


「おいおい、舐めてんの?……瞬殺だよ」


互いに挑発しながらも、疲労感は隠せない。


真冬だと言うのに、彼らの頬には汗が浮かんでいた。


「思えばお前とも長い付き合いだよな」


「はっ!いきなりなんだよ。昔話でも始めて時間稼ぎか?」


寒風が吹き抜け、少なくなった冬紅葉をさらっていく。


しかし身震いするほど冷たい風も、火照った彼らには心地良い。


「そろそろどっちが上か、はっきりさせてやろうって話だよ」


「……上等ぉ」


再びぶつかり合う両者。


激しく、荒々しく、しかしぴたりと息が合って、ぶつかり合うタイミングが見事に噛み合っていた。


何度も何度もぶつかり合い、それが数分も続けばさすがに2人の息も切れてきた。


「……どうした、そんな、もんか……?」


「はぁ……へっ!……ぬるくて、ため息が、出ちまう、ぜ!」


息は荒く、余裕を見せようとするも、全身に熱がこもり、頬は赤く染まっている。


限界は近い、しかしそれを認めるわけにはいかなかった。


真冬の寒さなどもはや気にもならない。


2人は息を合わせたように上着を脱ぎ去った。


真冬の冷気と雄々しい熱気が反応して、2人の身体から湯気が立ち上る。


「いくぞおらぁ!」


「やってやんよぉ!」


全身に響く衝撃。


全力のぶつけ合い。


駆け引きなんてものはなく、フェイントもない。


限界など知ったことかと動き続ける。


すでに掛け声は獣の唸り声のように不明瞭で、踏ん張る足腰には寒さとは違った震えがきている。


しかし、やめない。


意地と意地、プライドとプライドを賭けて、相手より先に止まることなど出来はしない。


「うおおぉぉぉ!」


「うらぁぁぁぁ!」


互いの全力と全力がぶつかり合い、そして…






大の字で横になりながら、2人は互いの拳をぶつけ合った。


「へっ、また引き分けかよ…」


「おいおい、倒れたのはお前のが早かったろ?」


「言っとけ」


「ははっ」


真冬の寒さも、地面の冷たさも、今は心地良い。


「やっぱ寒い時はこれだよな」


「ああ、最高に熱くなった」


「あー、尻が痛え…」


「ま、こればかりはなぁ」


2人はしばらく熱を持った身体を冷えた地面で冷やしながら、語り合うのだった。






尻相撲、それはお尻を使った遊戯。


手や足を使わず、あくまでお尻で相手を円の外へと押し出し勝敗を決める。


おしくらまんじゅう同様、お尻を、身体をぶつけ合うため冬の寒さの中でも暖を取ることができる。


やり過ぎは怪我の危険性もあるので注意が必要である。

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