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ドレトルたちは、酒場へやってきていた。
実は、城へ行くチームと、商材仕入れにいくチームに分かれていたため、
合流するためだった。
「奴隷たち売れてよかったっすね。」
「ああ、良い感じの儲けになったしな。」
そんな他愛のない会話をしていると、別チームも合流した。
「旦那。今もどりやした。」
「おつかれさん、首尾はどうだ?」
「エルフのガキが3。魔族のガキが1。人間が2。仕入れやした。
全部女ですな。」
「傷や怪我・飯はどうだ?」
「ノイマンの野郎が全部綺麗にしましたぜ。飯はツルンのやつが用意してたんで大丈夫でしょう。」
「そうか。ノイマン。ツルンご苦労さん。んじゃ、飲もうぜ!」
「「「「「かんぱーい」」」」」
木のジョッキをかち当てて、10人の男どもは宴を始めた。
そこで困るのは、店と店にいた客だ。
ガラの悪い男が10名ほど集まって酒盛りを始めたのだから
皆が怯えていた。
当然、ウェイターもウェイトレスも身の危険を感じたのか彼らから離れようとする。
「おい。ねえちゃん。注文取ってくれ。」
「ひ・・ひゃい!ただいまあ」
が、そこを空かさず呼び止めるご一行だった。
「酒がねえぞ!酒!」
「ひゃぁい。ただいま!」
「肉おせーぞ。肉こねーぞ」
「ご・ごめんなさぁ。すぐ持ってきます!」
「こっちも酒くれ!」
「はぁい!すぐ行きます!」
「食いもん足りてねーぞ!どんどん持ってこい!」
「は、はいぃ。すぐ持ってきます!」
・・・別に、彼らはそのウェイトレスを名指しで注文しているわけではないが
他の子たちが怯えて関わるの避けているため、必然と彼女に集中することになっていた。
ひぃと涙目になりながら必死に給仕するウェイトレス。
「ねえ。ウェイトレスさん。これなんだけど」
そう、傍に近づいて声を掛けたのは、恰幅の良いニヤニヤ顔の男だった。
その男は、手にもっているものを見せる。
「ひぃぃ。」
恰幅の良い男が持っていたのはナイフだった。
刃の部分は手で覆ってはいたが、紛れもなくナイフ。
ウェイトレスは、腰を抜かしたのか尻餅をつくかのようにそのままへたり込んでしまった。
エプロンが開け、白く華奢な脚が露わになる。
「ああ、ウェイトレスさん、脚が見えてしまっているよ。」
「待ちな!」