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王都へ続く道を3台の馬車が走っていた。
アクドー商会が運営する商隊だ。
この商会が扱う商材は、奴隷・禁制品・麻薬等
普通の商会では取り扱わないシロモノを扱っていた。
「野郎ども。襲撃には気を付けて王都までいくぞ」
馬車を護衛するかのように最前列で馬を駆る男が叫ぶと
7名ばかり同じく馬車を覆うように並走する者たちがおおーと叫ぶ。
そして、さらに速度を上げて駆け抜けていくのだった。
先頭で走る男。
短髪の赤髪。
目つきの悪い釣り目。
頬には十字の刀傷。
そして全体的に子悪党感のある佇まい。
彼こそは、このアクドー商会の会長 ドレトル・アクドーイ その人だった。
さらに、一緒に活動している社員達も押し並べて悪党顔ばかりで構成されていた。
疾走する馬車の荷台から可憐な少女が顔を出す。
その首には奴隷の証である隷属の首輪が取り付けられていた。
馬車を駆る男は、彼女の頭を押さえて叫ぶ。
「おい。顔出すんじゃねぇ!怪我するぞ」
「ご、ごめんなさい!」
そう言って、少女はまた、荷台へと隠れた。
王都まで、あと少し。