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告白 おとかーる

使用お題:「パズル」

 男の子から初めて告白されたのは中学生のとき。同じクラスの斉藤くんだった。

「僕と付き合ってください」

 という斉藤くんに麻美はこう聞いた。

「私のどこが好きなの?」

 斉藤くんは、えぇっと…と少し考えてから

「初めて見たとき、可愛いなって思って…」

 可愛い?

 小学校に入って友達になったのがゆいちゃんという子で、ゆいちゃんを初めて見たときに(何て可愛い子だろう)と思った。「可愛い」という言葉はゆいちゃんみたいな子のためにあるんだ。私はちっとも可愛くない。そのときから、麻美は自分が可愛くないことも、ましてや美人でないことも知っている。だから可愛いというのはありえない。心がグラグラする。

 はい、残念。

 斉藤くんからの告白は断った。


 次に男の子から告白されたのは高校生になってから。一年先輩の小野さんだった。

「私のどこが好きなの?」

 小野先輩は、どこって…と少し考えてから

「何でも一生懸命なところかな」

 一生懸命!

 麻美が一生懸命なのは、人よりも不器用でトロいからだ。他の人よりも頑張って頑張ってようやく人並みくらいになる。一生懸命なところがいいというのは、何事も卒なくこなす人がさらに上を目指して努力するからいいのではなぃだろうか。人並みになるために一生懸命な私とは違う。心がグラグラする。

 はい、終了。

 小野先輩からの告白も断った。


 三回目に告白されたのは大学に入ってから。同じゼミの長井さんだった。

「私のどこが好きなの?」

 長井さんは、そうだねと頷いてから

「麻美さんを守ってあげたいと思ったんだよ」

 守ってあげたい?!

 麻美は誰かに守ってほしいなんて思ったことはない。自分の身くらいは自分で守るし、誰かの後ろにいて守られるのではなく、隣を一緒に歩いていたいのだ。それに守って「あげたい」なんて、どんだけ上から目線?あなた何様?!心がグラグラする。

 はい、論外。

 長井さんからの告白も断った。


 そしてその告白は社会人になって少し落ち着いてから、二年後輩の吉川くんだった。

「私のどこが好きなの?」

 そう聞いた麻美を前にしばらく考えると

「理由なんかありません。初めて見たときから『絶対この人が好きだ』と思っただけです。それにどこが好きか、なぜ好きかなんてことを理路整然と説明出来たりしたら、それはもう恋なんかじゃないと思います」

 吉川くんのその言葉は麻美の中に真っ直ぐ入り込み、心のどこかの欠けていたところにピタリとはまった。無くしてしまったジグソーパズルの最後のピースが見つかってパズルが完成したときのようで、グラグラしていた麻美の心は不思議なほど安らいだ。麻美は大きく安堵の息をつく。

 この人と一緒にいたい。

「ありがとう。これからよろしくお願いします」

 麻美は彼の目を見つめて、柔らかく微笑んだ。

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